ヒトツ
たくさんあるもののなかから
ヒトツだけ選んだぼくのては
つめたくて でもキボウにみちていた。
つたえたくて、
つたえてほしくて
なにもいえないぼくだけど
これに頼ることで伝えたい。
これを見た彼女の顔は僕の想像していたよりも
嬉しそうで、
悲しそうで、
代わりに代償にしたものが、
彼女にとっての悲しみで
僕にとっても残念に思った。
彼女も僕に伝えたくて、
何かを代償にして
僕にたったヒトツたくさんの中から選んでくれた。
お互いがそれを見たときどう思ったのだろうか。
それぞれの代償が
それぞれの自慢で。
その自慢のもののために選んだものを
お互いに見せてしまったのだから。
きっと嬉しかっただろう。
自分のために選んでくれたものだから。
でも、そのまま微笑んでたくさんの中のたったヒトツを
空いている場所に二人でしまいこんだ。