09 父ちゃん
―「アンゼル……」
今夜はなんて月の光が美しいことだろう…アンゼル……まるで君を見ているかのようだね――
――明日…君は来てくれる…?…それとも…――
「……君に…あいたい…(*´д`*)ょーぅ!!」
…ちょっと一言。
……たしかこの話ってオレとアンゼルの愛の物語だよなぁ……?
……第一話の【01 我、次期魔王】以来、一度もアンゼルと会話どころか会ってるシーンさえないんですけど……? 何コレ? どんな話??……いい加減もうホント、本当にキレちゃうだゾ(^v^)
「まさか…このままオレ達二人の仲を引き裂こうと?!! なんッッてクソッタレな世の中なんだぁぁぁッッッホォウゥゥゥゥゥゥ!!!!
あいたいあ゛い゛た゛い゛~~。( ノД`)°。!!!!」
「レイド…何ヲ赤子のようニ泣きわめいているンダ?」
「父ちゃん…!!」
「フッ…この泣き虫メ…だガ、どんな時であろうとモ気を緩めてはいカン!
お前は皆の希望ノ光…【勇者】なのだカラ…!!」
「希望の…光………」
月の逆光を背に浴びながら、親指を突き立てワイルドに微笑むオレの父ちゃん…今は昔、【魔王】を打ち倒すべく正義の名の下に剣を掲げた【伝説の勇者デイル】…オレの大先輩…いや、大師匠だ。
剣技、心得、生きる術…この人に【勇者】の全てを教わった…………んだけど、
「…また、よれよれランニング(白肌着?)だけで出歩いて…父ちゃん、いい加減風邪ひくぞぉ…てか恥ずかしいし(;*´Д`*)!!」
「ムッハッハッハッ(´∀`)♪♪
ワシは【元・伝説の勇者様】ダゾ?? どんな格好をしていようガ、どんなに歳ヲとろうガ勇者様の気迫ガ失われるような事ハ……ぶぇしぃッッ!!!!」
「びゃぁぁぁぁッッ?!! きったねぇぇ((;´Д`))!!!
唾が、モロに口の中にィィィィ!!!? しかも鼻水ついたぁぁーーーッッTT_TT!!!!」
「スマンスマン(´∀`ゞずびび……びゃおぉぉぉッッ!!!!(←くしゃみ?)」
「わーーおッッ(>_<)!!!?」
――かつて唯一の【伝説の勇者】であった上に、容姿も中の上(上の下)だった事から女の人(特に奥様方)にモテモテだったらしいオレの父ちゃん……でもそんなのは昔の事。
今は…申し訳程度に生えた髪の毛、ぶよぶよのお腹、晩ごはんで食べたお好み焼きの青のりがついた前歯、そしてさっき言った様に、白い肌着に、更に色落ちしたハーフパンツ……(;´Д`)
えっ? 何故、父ちゃんの語尾がカタコト(英語混じり…?)なのかって??…さぁ…? その答えはむしろ、オレが聞きたい。
とにかく、…現役バリバリだった頃の父ちゃんを知っている人が今の父ちゃんを見たら、まずびっくらこいてひっくり返っちゃうね。…いつかオレもこうなっちゃうのかな…遺伝子的に((;´Д`))?!!
イヤン!! アンゼルに嫌われちゃう!!!!
「父ちゃん!! 明日の話し合いには、ちゃんとした格好で出てくれよなぁ!! そんなんでも昔は一応、勇者だったんだからさ!!」
「ククク…話し合い…カ……何ガどうなって、こんな事ニなっちまったんだかナァ…??
レイド、お前ハ本気で魔王と話し合う気なノカ?…言っておくガ、これは簡単な事じゃなイゾ? お前は皆を守ル、希望の勇者…失敗しまシタ~г(´∀`)ノでは済まさレン。」
ゆったりとした口調の中に混じる厳しい声音ーー父親としてだけではなく、先輩としての言葉だという事をオレは昔から良く知っているーー
だけど。
わかっているさ
「父ちゃん、オレは本気なんだ…本気でアンゼルを愛している…!! だから……」
「ooh(-_-;)……」
「【魔族】も愛せる…【人族】だって【魔族】を愛せるんだ!! そしたら【魔族】だって【人族】を愛してくれる…【人族】も【魔族】も愛しあえる!!
オレ達は手を取り合い、互いを支えあっていける筈なんだ!!!! この想い、わかってくれよッッ!!」
「ヤレヤレ…相変わらず我ガ息子ながら熱い奴ダヨ……
しかシ、魔王モそうだガ…『ミグーラド王』もよくお前ノとんでもねぇ提案をのんだもんダナ。
ン…? 待テヨ、…もしやお前……王や魔王には何モ了解を得ズ、独断で話を進めているンじゃないだろウナ?!」
「ンな訳ないだろ(;´Д`)!!?
いくらアンゼル一筋(●´艸) のオレでも、一応勇者としての自覚はあるのさぁぁΣ(=Д=)!!
魔王には、誠心誠意をもって話したから話し合いを了解してくれた!…ミグにも、その事前(魔王に伝える前)にちゃんと了解を得てたし、オレの提案は『人族と魔族の両方にとっても、悪い話じゃない』と、称賛までしてくれたんだぞ!」
「『ミグ』ではナイ!!『ミグーラド王』だろウガ(;´Д`)!?」
ああもう、父ちゃんはいちいちうるさいなぁ(-_-;)
…『ミグーラド王』ーもとい、『ミグ』とは…みんな、思い出してほしいーーこういう【ロールプレイング(RPG)】的な世界の事を。ほら、【勇者】と【王様】ってさぁ…助け合ってるっていうか、協力し合ってるっていうか、仲間には必ず一人はいるというか…
とにかく、なんにしても【勇者】と【王様】は何かしらの深い繋がりがある。そう、まさしくオレとミグはそんな関係。
簡単に言っちゃうと要するに……俺達人族の代表者(一番偉い人)である【王様】に代わり、危険な事を任せられるのが【勇者】という事なんだよ♪♪ しかも、歳も近いし、昔からオレ・スタン・アイリス・ミグーラドは仲良しなんだぁ♪♪ わかったかなぁ( ノ≧∀)ノ ??
…あらい説明&長文でゴメ~ンちゃい(´∀`)
「まぁ、本当は人族と魔族の今後についての大切な話し合いだから、ミグ本人は参加する気満々だったし、オレ的にもそれがよかったんだけど…さすがにそれは危険だからって理由で、ミグの出席を他の奴らに止められちゃった~(-_-)
ミグの出席は、もっと具体的な話が進んでからだって~」
「当たり前だろうガ(;´Д`)!! そんな危険な場ニ、王を出席させようとする奴があルカ!!
…まぁいイ…レイドよ、最後に問うガ……お前は何故、魔王の息子にそこまで惚れ込んでイル? 其だけの何かガ、奴にはあるというノカ?」
「あるよ」
「!…即答なんダナ…ククク……
それでは明日、その『アンゼル』とやらをじっくり拝ませテもらうとすルカ♪ 久しく魔王の奴に会うのモ悪くはナイ(^ー゜) 」
「絶対…驚くと思うけど(今の父ちゃんの姿に)
…ふふふ(〃艸〃) 明日、アンゼルにあえる(かもしれない)んだぁ~(●´艸) うれぴー♪♪
もう今夜はたぶん、興奮して眠れませんなぁ(;*´∀`*)!!」
「あほカ(-_-;)
明日に備えて今日ハもう眠らんカイ。ほらほら早く家にカエレ、帰レ」
「ん~…じゃあ、先に帰ってるからな♪」
そう言っテ、一度モ振り返ることなく走り去っていくレイド。
「フッ…………どこで育て方ヲ間違っちまったカナ…?
…よりにもよって『次期魔王』とハ…」
―レイドよ……悪いガお前の想いは決シテ……―
報われることはナイ――
……内容、わかりにくッッ((;´Д`))!?