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「ちょっとネリア、なにボーッとしてるの!早く髪とかして」
「すみません。失礼します」
サリーに注意されて思考の沼から抜け出す。
「大丈夫?調子悪いのかい?」
「いえ。大丈夫です。失礼しました」
お嬢様からそう言われ私はすぐに髪をとかす事に集中する。
(それにしても本当に綺麗なブロンド…さすが小説の世界とも言えるわね…)
支度が終わったら今度はお嬢様をダイニングに案内し朝食の配膳だ。
「カトリナ、おはよう。体調はどう?」
「おはようございます。ご心配頂きありがとうございます」
なんだか会話もぎこちない。
しかし料理が運ばれてくると空気が一変した。
「いや〜こんな豪華な料理が食べれるなんて。私は和食が好きだけどこれも美味しそう」
(和食…?この人、もしかして日本人?)
この世界はほとんどが西洋料理っぽかったし和食という概念はないはず。それを考えるとそのワードが出てくるのは日本人くらいだ。
「えっ?ワショク?」
旦那様と奥様は困惑の表情を浮かべていた。
「和食ないんですか?」
「聞いた事がないわ」
「そうですか…」
「まだ調子が悪いのか?」
「いえいえ。大丈夫です」
食べ始めてからも動作がぎこちなかった。
「食べづらいの?」
「あの…この世界に箸はないのでしょうか?」
「ハシ…?聞いた事がないわ。まだ記憶が混濁しているのね。ゆっくりでいいのよ。食べづらいなら小さく切ってもらいましょうか」
「すみません…」
奥様が近くの使用人に指示を出す。すると小さく切られて戻ってきた。
お嬢様は申し訳なさそうにそれを食べていた。
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