20(ばぁば視点)
それにしても連絡したと言っていた婚約者が一向に来ない。両親は公務が忙しいんだと言ってるけどいくら忙しくても婚約者の見舞いくらいはできるはずだ。
それでもやって来ないということはもう王子の心はカトリナに向いていないのだろう。
なにをやっているのかは知らないがそんな奴の事を考えていても仕方がない。
それよりもお花の世話やお菓子作りの方が楽しい。
ミール家は花が好きなようで見事な庭がある。
そこには見た事がない花もあってそれを庭師とともに手入れするのが日課だ。
またカトリナは慰問活動に力を入れていたようでそのためのお菓子作りも楽しいし前の世界でもやっていた刺繍は目が見えやすくなってさらに捗った。
そんなある日。
今日も慰問に持って行くためのお菓子作りをネリアと一緒にしていたところお父様が急いで調理場入ってきた。
「カトリナ!」
「お父様、どうなさったのですか?」
焦った様子に驚く。
「殿下から夜会の招待状が届いた」
「なにも驚くことではないではありませんか」
「それが今日なんだ」
「今日!?」
準備に時間が必要なため通常、夜会の招待状は2日前に相手方に届けるのがマナーだと聞いた。それを無視して当日とは。いくら王子であっても最低限のマナーは守るべきだろうと思っても王族の招待には逆らえない。
「すぐ準備してまいります」
と申し訳ないが作りかけのクッキーを他のメイドに任せてネリアと部屋へ戻る。
(ついにその日が来たんだわ…)
内心そう思いながらとびっきりおしゃれにしてもらう。
普通このような夜会では婚約者がエスコートする決まりなのだがなんと招待しておいてエスコートもしない。
お父様は申し訳なさそうにしていたが私は決心してお父様に婚約破棄のことを告げた。ネリアは心配していたがまだこの世界の事を全て知っているわけではないし味方は多い方がいい。
お父様を味方にいざ決戦の場へ向かう。
(すっきり婚約破棄して自由になる!)
念のためネリアにも会場に紛れてもらう事にして私達は他の貴族へ挨拶に向かった。
基本的な挨拶と笑顔を忘れなければあとはお父様に合わせておけば大丈夫なはず。
その時。
「王家の皆様のご入場です」
(来た!)
私を含めて全員が一斉に頭を下げる。
「皆、今日は王家主催の夜会にようこそ。思う存分楽しんでくれ」
陛下が挨拶をし正式な夜会のスタートだ。
ネリアからの話で顔と名前は頭に入っている。
王様と王妃は一際目立つあの2人で間違いないだろう。
4人の子供は挨拶に回っている。
すると1人の男性がこちらへやって来た。
コールマン・キリトス第二王子。カトリナの婚約者だ。
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