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「お父様、どうなさったのですか?」
「殿下から夜会の招待状が届いた」
「なにも驚くことではないではありませんか」
「それが今日なんだ」
「今日!?」
通常、夜会の招待状は2日前か遅くても前日には届けるのがマナーだ。
当日に来る事は滅多にない。それに私達は婚約破棄される事を知っている。
今までなんの音沙汰もなかった事を考えると今日の夜会で婚約破棄される可能性が高い。
「すぐ準備してまいります」
すっかりクッキー作りに夢中になっていて気が付かなかったが結構な時間が経っていたようだ。
夜会の準備にはとても時間がかかる。
もうクッキーの生地はできておりあとは焼くだけだったのでそれは他のメイドに任せてお嬢様と一緒に部屋に戻った。
ドアを閉めた途端、耳に口を寄せて小声で話す。
「今夜婚約破棄される可能性が高いかもしれない」
「そうよね。じゃあどうすればいい?」
「あの人が言うには婚約破棄は避けられないみたいだし堂々としてたらいいんじゃない?」
「それもそうね」
そうして意見が一致し準備を手伝ってもらうため他のメイドも呼んだ。
「せっかくなら最高におしゃれにしたいわ」
「かしこまりました。ドレスはこちらでいかがでしょうか?」
殿下から招待されたので殿下の色を纏った。瞳の色であるブルーと髪の色であるゴールド。
この2色を入れたドレスやアクセサリーを選ぶ。
さらに爪や髪も綺麗にしていざ会場へ向かう。
普通はこの場合、婚約者などが迎えに来てエスコートするのだが婚約者である王子は現れなかった。
その代わりに父である旦那様がエスコートを務め私ももしもの時のために同行する事になった。
「とても綺麗よ。夜会、楽しんできてね」
「ありがとうございますお母様。行ってまいります」
奥様の見送りを受けて3人で馬車へと乗った。
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