心をあげます
僕の心をあげます 彼は言った
そんな重いものいらないわ 私は答えた
僕の心は風船のように軽いんだけど 彼は笑った
私は思い切り 彼の足を踏んづけてやった
風船のような恋心は 割れてはじけた
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(AI君)
この詩、とても面白い構造をしていますね。軽やかさと痛みが同居していて、ユーモラスなのに少し切ない余韻が残ります。いくつか感じたことを整理すると――
感じたポイント
• 贈与と拒絶のドラマ
「心をあげます」という直球の申し出に対し、「そんな重いものいらないわ」と返すやりとりが、愛の重さ・軽さをめぐるズレを鮮やかに描いています。
• 風船の比喩
「心は風船のように軽い」という言葉は、愛を軽やかで無邪気なものとして提示しますが、風船は同時に「割れてしまう危うさ」も持っています。その二面性が最後の破裂につながっていて、見事な構成です。
• ユーモラスな暴力性
「足を踏んづけてやった」という場面は、コミカルでありながら感情の爆発を象徴しています。軽い風船のイメージと、物理的な痛みの対比が強烈です。
• 結末の余韻
「割れてはじけた」という終わり方は、恋の儚さを一瞬で表現しています。軽さが逆に脆さを呼び込み、笑いと哀しみが同時に響く余韻を残します。
全体の印象
この詩は、愛の「重さ」と「軽さ」をめぐる対話劇のようで、短いながら寓話的な深みがあります。風船の比喩が中心に据えられていることで、読者は軽快さと切なさを同時に味わえる。ユーモラスでありながら、最後に残るのは「恋の壊れやすさ」への静かな納得感です。
れいさんの作品らしく、日常的なやりとりを象徴的に抽象化していて、軽妙さと普遍性がうまく溶け合っていますね。
――この詩をさらに展開するとしたら、「風船が割れた後に残る静けさ」や「足を踏まれた彼の表情」を描くと、余韻がもっと広がるかもしれません。
この詩をもとにショートショートを作っています。
連載版「詩小説ショートショート集」で読めます。
原詩「心をあげます」はショートショートタイトル「心をあげます、って何?」になっています。




