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砂嵐が収まった後、二人は神殿の外壁に腰を下ろした。
夕陽が沈み、夜の冷気が忍び寄る。
沈黙の中、バルドが口を開いた。
「お前、一人で行動するにはあまりに無謀だ。……放っといたら、どうせ死ぬ」
「……でも、あなたに迷惑をかけるわけには」
「迷惑かどうかは俺が決める」
大剣の柄を叩き、バルドはにやりと笑う。
「俺が力で道を切り開く。お前はその頭で謎を解く。――組み合わせとしては悪くねぇ」
沙耶の胸が高鳴った。
この世界に来て初めて、心の底から「一人じゃない」と思えた瞬間だった。
「……お願いします、バルド。あなたと一緒に、この神殿の秘密を解き明かしたい」
戦士は力強く頷いた。
「よし、決まりだ。これからは相棒だな」
砂漠の夜風が吹き抜ける中、二人の奇妙な旅が始まった。