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3


その日の夕刻、二人は神殿の周囲を調べながら歩いていた。

赤く染まった空の下、風が唸りをあげて砂を巻き上げ始める。


「……まずい、砂嵐だ!」

バルドの声と同時に、視界が茶色の壁に覆われる。

沙耶は必死に顔を覆い、風に踏ん張った。


しかし――足元の砂が崩れた。

「きゃっ!」

身体が下へと引きずられる。


バルドがすぐさま手を伸ばし、沙耶の腕を掴んだ。

「離すな!」

ぐいと引き上げられ、彼女は辛うじて地面に転がり出る。


崩れた場所は深い穴になっており、底は闇に沈んでいた。

沙耶は震える息を吐きながら、穴の縁に身を乗り出す。

「……これ、落とし穴……? でも、自然に出来たものじゃない。壁が均等に削られて……人為的な構造だわ」


彼女の瞳は恐怖と同時に輝きを増す。

「ここ、もしかしたら地下通路の入口かもしれません!」


バルドは呆れたようにため息をつく。

「落ちかけて死にかけて、よくそんなこと言えるな」

「だって、ここにしか残っていない“真実”なんです」


彼女の瞳の熱を見て、バルドはしばし言葉を失った。

次の瞬間、思わず笑い声を上げる。

「……お前、やっぱり面白ぇ女だ」


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