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バルドの案内で砂丘を越えると、巨大神殿がよりはっきり見えた。

石造りの外壁はところどころ崩れ落ちているが、なお壮麗な姿を保っている。

沙耶は胸が高鳴るのを抑えきれず、夢中で外壁へ駆け寄った。


「やっぱり……この風化は砂の侵食が主因ですね。石材は砂岩、それを繋ぎ合わせているのは石灰質。かなり頑丈な構造……でも、ここまで保存状態がいいのは奇跡です」


彼女は壁に刻まれたひび割れを指先でなぞり、角度や深さを確かめる。

「風の通り道も……ここの摩耗具合から、数百年どころじゃありません。千年以上前の建造物の可能性もあります」


バルドは背後で腕を組み、ぽかんとした顔で聞いていた。

「おいおい……何を見てそんなことが分かるんだ? 俺にはただの古い石壁にしか見えねぇ」

「でも、痕跡は語っているんです。当時の職人がどう石を切り出し、どう積み上げたのか。その暮らしの断片が、今もこうして残っているんです」


沙耶の声には熱がこもり、頬は紅潮していた。

そんな様子を見て、バルドは思わず笑ってしまう。

「本気でそんなことに命を懸けてんのか」

「ええ。危険でも、ここでしか分からない真実がありますから」


戦士は大剣の柄に手を置き、にやりと笑った。

「変わった女だな。だが……嫌いじゃねぇ」


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