■第12章:オレはシャワーを浴びる
オレは脱衣所で服を脱ぎ、そっとブラのホックを外した。
カチリという小さな音とともに、胸がふわりと解放される感覚がある。
そのままショーツも脱ぐと、全裸になった自分の身体が目の前の鏡に映る。
ふと下を向くと、視界の端に、自分のものとは思えないふくらみが映り込んだ。
――これが…オレの?
風呂場に入り、曇る前の鏡をまじまじと見つめた。
形のいい胸。指でそっとなぞってみたくなるような、自然な丸み。
きゅっとくびれたウエストに、柔らかそうな肌。
おへその下には、逆三角形に整った薄い体毛。
その奥に――思わず息をのむ。
ない。そこにあるべきものが、跡形もなく消えていた。
代わりにあるのは、縦に走るわずかな陰影だけ。
思わず目を逸らしかけて、再び鏡を見る。
視線が顔にたどり着いたとき、オレは動けなくなった。
あどけなさの残る、整った顔立ち。
少し濡れたような唇に、長くて艶のあるまつ毛。
そこにいたのは、間違いなく「美少女」と呼ばれる存在だった。
信じられない。けど、何度瞬きをしても、鏡の中の少女は、オレを見返している。
まるで「これが本当のあなたでしょう?」と語りかけるように――。
ふつうの男性なら、こんな姿の自分の身体に欲情し、いけない行為に走ってしまうだろう。
しかし・・・オレは欲情というより、憧れの想いで自分の身体を眺めていた。
オレはゆっくりとシャワーの栓をひねった。