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脳筋騎士のダンジョン討伐 〜毒を盛られた伯爵家の三男は脳筋貴族をやめて錬金術師になりたい〜  作者: Ruqu Shimosaka


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第8話 ダンジョン

 全ての装備を身につけて動きに支障がないか確認する。

 魔力の通しやすい特殊な金属でできた甲冑は顔を含めて全身を覆う。動いても金属同士が干渉しないようにしてあるため、動いても大きな音は立たない。甲冑の重量は凄まじいが動きに支障は全くない。

 甲冑と同じように魔力の通しやすい金属で作られたバトルアックスと盾を装備する。


「よし」


 今日は久しぶりのダンジョン。

 体調が回復していない場合には今日のダンジョンは辞退しようと思っていたが、目の下にあったくまも消えた。パーシーとクロエから顔色も悪くないと言われ、ダンジョンへ向かうことに決めた。


「アイク様、こちらも準備できました」


 従者のライナスが甲冑を着込んだ状態で声をかけてくる。


「ライナス、今日は休んでも問題なかったぞ」

「いえ、アイク様たちのように奥まで行くわけではありませんので問題ありません」


 ライナスのように貴族の子供とともに育った従者は、貴族と共にダンジョンへと向かう。ダンジョンの入り口付近は従者がモンスターを掃討して進み、貴族はダンジョンの奥に向けて魔力を温存する。

 貴族の子供が騎士となった後、従者も学園に入学して騎士になる者が多い。


「忙しくて休めていないだろ? 厳しそうならすぐに言え」

「はい」


 パーシーの従者とクロエの従者もいるため、ライナスが休んでも問題はないのだがな……。

 今日は俺が本調子ではないだろうと、パーシーとクロエがそれ奥にいかないと決めた。問題があるようなら引き返しても問題ない。学園も問題が起きた場合には引き返すのを推奨している。


「それでは行こうか」


 着替え終わったところで建物から出る。

 建物の前には学園の生徒が並んでいる。今いるのはダンジョンに一番近い農村。

 のどかな風景が広がっている。


 整列して待っていると複数の教師が前に出てくる。

 教師もまた甲冑を着ており、喋るためかヘルムだけは脇に抱えている。


「今日向かうのは数日前に発見された新しいダンジョン。ダンジョンが発見された日数からまだ低層のダンジョンである可能性が高い。地上を侵食するモンスターの数はまだ少ないと思われるが警戒を怠るな」


 セリアンスフィアの侵略者であるダンジョンは次から次に発生する。

 ダンジョンは発生後、時間が経つほど階層が増えていく。10階層以下の低層でダンジョンを駆除できれば周辺への被害を最小限に抑えられる。中層以降になってしまうとダンジョンを駆除するのが大変になる。


 セリアンスフィアの人々はダンジョンを見つけるために常に見回っている。

 田舎であると見つけた時には中層という可能性があるが、王都周辺は人口が多いのもあって見回りの頻度が高く、中層以降のダンジョンが見つかる可能性は低い。


「出発する!」

「はい!」


 教師は赤い羽根のついたヘルムを被り、先頭に立って進み始める。

 教師に続いて生徒たちが行軍を開始する。

 俺も遅れずに教師の後ろを追う。

 近くには同じように甲冑を着込んだパーシーとクロエがいる。


「パーシー、クロエ。念のために確認するだ。今日は前の方に配置してもらった」


 パーシーが頷きながら俺を見る。


「うん、卒業資格に挑戦するパーティーがいるから、低層を突破する道を切り開くんだよね」

「ああ。あまり奥には行かないので、魔力は最初から多めに使う」


 学園のダンジョン攻略は生徒同士が協力して突破する前提になっている。騎士団など大人数でダンジョンを攻略する場合は同じように役割分担がされる。

 少人数で攻略する方法もあるが、モンスターが復活するまでに削り切らなければならない。


 ダンジョンのモンスターは復活する。

 復活するまでに一ヶ月以上は間が開くが、ダンジョンもその間成長する上に、騎士も休みを取る必要性がある。実質的に少人数で攻略できるのは低層のダンジョンくらい。

 中層以降のモンスターは復活するまでの時間が伸びていくが、強さも段違いである。

 モンスターの復活速度が早ければ地上はダンジョンに侵略されていただろう。


「モンスター!」


 教師が指示を出すのが聞こえてくる。

 まずは生徒の従者が前に出てモンスターを倒す。ライナスが前に出てライフルに近い見た目の銃を構える。

 破裂音が続いて出現したモンスターは排除されていく。


「モンスターが出たか。早いな」

「ダンジョンは村から近そうだね」

「俺たちとしては移動が楽だが、ダンジョンが大きくなってしまうと避難しなければいけないか」

「早めにダンジョンを排除しないといけないね」


 倒したモンスターは兎のようにも見えるが、中型犬程度の大きさで肉食獣のような牙を持っている。セリアンスフィアではジャイアントラビットと呼ばれているモンスターだ。

 ジャイアントラビットは牙が鋭く、何も装備していない状況で噛まれれば無事では済まない。

 凶悪なモンスターのジャイアントラビットは群れを作っている。


 倒したジャイアントラビットを錬金術で作った見た目以上に物が入る鞄にしまっていく。

 血の匂いをたどって別のモンスターが来る可能性がある。時間をかけたくはないため、見張りを残して全員でジャイアントラビットのモンスターを回収する。


 ジャイアントラビットは口径の大きな銃に撃たれたというのに肉が弾け飛ばずに形を保っている。ダンジョンのモンスターは普通の動物に比べて随分と硬い。小さな弾丸では地上に出てくる弱いモンスターですら倒せない。


「今日の昼食はジャイアントラビットかな」

「モンスターはどれも美味しくて助かるね」


 不思議ではあるがモンスターは美味しい。

 ジャイアントラビットのような見た目で美味しいのはまだわからなくもないが、ゲテモノみたいな見た目でも美味しい。大量に取れて美味しいモンスターの肉は安く売られている。


 ジャイアントラビットの回収が終わると行軍が再開される。

 モンスターが出現したため、ダンジョンはすぐそこにある。


 歩いて進むと地下へと降りる大きな穴が見えてくる。

 ダンジョンだ。


「一層を攻略する!」

「はい!」


 一層のモンスターを全て討伐して安全な場所を確保する。

 外で野営をするとモンスターに襲われ続ける可能性がある。ダンジョンの一層であれば出入り口を限定できるため、モンスターが襲ってくる範囲を狭められる。


「クロエ、今日は最初から前に出て倒していいぞ」

「全力で行くわ」


 クロエは身長とほぼ同じ大きさの大剣を抜く。

 顔まで隠す甲冑を着込んでいるため見た目の違和感はそうないが、13歳のが振るうような剣ではない。


 俺も盾とバトルアックスを手にもつ。

 他のクラスメイトよりも前方に立ってダンジョンへと進む。

 全てを飲み込みそうなダンジョンの入り口を通ってダンジョンの中へと足を踏み入れる。ダンジョンはうっすらと光があり、少し湿度が高い。

 薄暗い光の中に反射する赤い瞳。瞳の正体は数え切れないほどのモンスター。


「突撃!」


 ダンジョンの中はモンスターが集まっており、銃で応戦するには距離が近すぎる。それに外のモンスターよりダンジョン内のモンスターは強いため、ライフル銃では一発で仕留められない。


「はあああ!」


 クロエが魔法を使いながらモンスターの中に飛び込む。

 巨大な大剣が振るわれると一度に大量のモンスターが切り刻まれる。

 クロエは防御を防具に任せているが、モンスターはクロエの間合に入る前に切り刻まれて近づけない。圧倒的な力でモンスターを捩じ伏せていく。


 俺はクロエが振るう大剣の間合に入らないように立ち回る。

 使う魔力の量を調整しながらバトルアックスを振るう。

 クロエほど一度にモンスターを倒せはしないが、保持する魔力の差を考えれば当然。


「雷撃魔法使うよ!」


 パーシーが大声で宣言する。


「クロエ!」

「うん!」


 俺が盾を構えて魔力を一気に注ぎ込む。

 クロエは俺の後ろに入って魔法に備える。


「サンダーストーム!」


 パーシーの魔法が発動すると雷の嵐がダンジョンの中を襲う。

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