表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋騎士のダンジョン討伐 〜毒を盛られた伯爵家の三男は脳筋貴族をやめて錬金術師になりたい〜  作者: Ruqu Shimosaka


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/233

第23話 地上のモンスター

 深層ダンジョン討伐の早朝。

 俺とライナスはガトリングを取り出して最終確認する。今日はガトリングを使って後ろで撃っているだけならいいのだが、そうはいかないだろう。

 2丁のガトリングはすぐに点検が終わる。


 テラパワーから持ってきた装備は大半を騎士団に渡した。

 俺たちが使うガトリングは2丁で、残りの8丁は騎士団。装甲車は負傷者や荷物を運ぶ車として使う。

 ベアトリクス様からはガトリングを持っていくようにと言われたが、ダンジョンの中に進む騎士団に装備を充実させた方がいい。武装がない装甲車も扱いに困るため、騎士団が運用してくれた方がいいと判断した。


 ガトリングを鞄にしまった後、体を軽く動かし体調に問題がないと判断する。

 ライナスに手伝われながら甲冑を着ていく。俺が甲冑を着終わると、次はライナスが甲冑を着るのを手伝う。


「ライナス、無理はするなよ」

「アイク様も無理は致しませんようにお願いします」

「できれば無理をしたくはないな」


 装備の点検が全て終わるとテントから外に出る。




 深層ダンジョン討伐の朝のため拠点は騒がしい。

 俺と同じように甲冑を身に纏ったものと、忙しそうに動き回る普通の服を着たものたち。戦闘員よりも非戦闘員の方が今は忙しそうだ。

 集合場所へと向かう。


 集合場所にはすでにクロエとパーシーが来ていた。クラスメイトも大半が集まっており、俺とライナスはガトリングを点検していたためか少々遅くなったようだ。

 ヘルムを脱いで挨拶する。


「クロエ、パーシー、おはよう」

「おはよう」


 クロエとパーシー以外にも、周囲のクラスメイトや顔見知りに挨拶を済ませる。

 皆どこか緊張した表情。きっと俺も皆と同じように緊張した表情を浮かべているだろう。

 力を入れすぎないように、まだ始まる前だと自分に言い聞かせる。


「スカーレットドラゴン王国の精鋭たちよよく集まってくれた。我々はこれよりダンジョンの討伐に向かう——」


 出陣前に演説が始まった。

 学園の生徒は後ろの方にいるため、前方で喋っている人は遠くて見えない。事前の紹介によると第一騎士団団長が演説しているようだ。第一騎士団団長は第一王子であり王太子殿下。未来の国王陛下。

 今回の討伐に出てくる王族はベアトリクス様だけかと思っていたが、王太子殿下が参加しているとはな……。

 おそらく王太子殿下もダンジョン討伐に向かうのだろう。


「諸君、この地をダンジョンから解放する! 我に続け!」


 王太子殿下の演説が終わると鬨の声が上がる。凄まじい声量に地震が起きたかのように地面が揺れる。

 演説で戦意が随分と向上したようだ。

 一緒になって叫ぶと戦意が高揚してくる。叫ぶというのは戦う前の覚悟を決めるための行為として馬鹿にならない。

 皆の叫び声の中、王太子殿下がっていく。


 しかし、我に続けか。

 地球だとありえないが、スカーレットドラゴン王国の王族は本当に前線に出るからな。王族が強いのはベアトリクス様やクロエを見たらわかる。王太子殿下もダンジョンを討伐する部隊の一人なのだろうな。


 王太子殿下の演説が終わると事前に指示されていた通りに動く。

 学園の生徒に伝えられた命令は地上モンスターの掃討。学生はいくつかの集団に分かれ騎士団とともに移動する。


「王太子殿下が来ていたとは知らなかった」

「僕も知らなかったよ」


 自然に視線がクロエに行く。


「知っていたわよ。直系ではない成人済みの王族も何人か参加するみたいね」

「他にも王族がいるのか。すごく強いんだろな」

「スカーレットドラゴン王国の王族ですからね」


 覚醒者であるベアトリクス様のように、緋色の髪に黒い角を持っているのだろう。

 ダンジョンの中は王族を含めた騎士団にお任せだ。


「俺たちは夜までの担当だったか」

「別の部隊が夜から朝までだね」


 深層ダンジョンの討伐は最低でも3日ほどかかる。

 平均的なダンジョンは100層で成長が止まると言われており、100層を1日で移動するのは不可能。

 1日で終わらせられるのは中層が限界で、成長が止まった深層ダンジョンとなると何日かダンジョンに泊まらなければならない。


「ダンジョンの中とは違って、地上は1日目で大半のモンスターを討伐できると思うが、ダンジョンからどれほど溢れ出ているかな」

「発生した時期もわからない古いダンジョンだろうから……いっぱい?」

「考えたくもないな」


 拠点から出ると、山へ近づくように歩いていく。

 まっすぐ進むと陸地がなくなり、海にぶつかってしまうらしい。

 少し歩くと林が見えてくる。ダンジョンとの境界線は林がある部分だと教わっている。歩きやすい平地から木の根がある場所は戦いにくいが、鬱蒼とした森でないだけまだいい。


「武器を構えろ」


 騎士から指示が出る。

 俺はガトリングを取り出して弾薬を装填する。


「木は切ってしまっても問題ないから派手に行こうか」

「自分の方向に木を倒さないようにね」


 パーシーから注意される。


「身体強化すれば問題ないだろ」

「そうなんだけどね」


 木の倒れる方向を考慮するよりモンスターを倒したい。


「準備は?」


 パーシーはメイスを手に持ち、クロエは大剣を抜く。


「問題なし」

「問題ないわ」


 ライナスたち従者も武器を構えて頷く。

 パーティー全員の準備ができた。


 騎士の前進命令を待つ。

 先ほどの演説で高揚した気分もあり、いつもよりは恐怖を感じていない。それでも緊張はしている。皆も同じなのか命令を待つ間、痛いほどの静寂が広がる。

 今いる場所とは別の場所から鬨の声が聞こえてくる。


「進め!」




 林の中に入ってすぐにモンスターを発見する。

 以前にも見たジャイアントラビット。低層でも1層によく現れるモンスターで、巨大な牙の生えたウサギ。ダンジョンの中だとそこまで強くはない。


「いっぱいいるな」

「アイク、見てないで撃って」

「はいはい」


 射程圏内に入ったところで、俺とライナスはガトリングを撃ち始める。

 弾丸が当たったジャイアントラビットは生き絶えていく。


「アイク、グレイトウルフの群れがきたよ」


 ガトリングに負けない声でパーシーが叫ぶ。

 倒したジャイアントラビットの奥を見ると確かに熊ほどありそうな大きな狼がいる。血の匂いに釣られてきたにしては早い。ガトリングの音に反応したか?


「撃ち漏らしたモンスターは任せる」

「任せて」


 この調子でモンスターが出てきてはガトリングの弾薬がすぐに尽きてしまいそうだ。どちらにせよ低層のモンスターにしかガトリングは効かないため、撃ち切ってしまってもいいか。

 ガトリングの弾薬を遠慮なく使う。


 ジャイアントラビットとグレイトウルフを倒し続けていると、血の匂いが広がったのかさらに別のモンスターが林の奥から現れる。

 別のモンスターを倒したと思ったら、次は別のモンスター。永遠とモンスターが出てくる。


「多すぎだろ」

「今のところは低層のモンスターだけど、まだ5層分だね」

「あと、5層分もいるのか……」


 おそらくパーシーの予想は間違っていないだろう。


「いや、中層のモンスターを入れたらもっとだよ」

「ダンジョンの核を破壊すれば大半のモンスターはダンジョンごと消滅するのに、わざわざ地上を掃討する意味がよくわかる」

「うん。それに地上に出たモンスターは残りやすいらしいからね」


 ダンジョンの核を狙って奥に進むのは、核を壊せばモンスターごとダンジョンが壊れるため。全てのモンスターを倒す必要はないのだ。


「ゴブリン!」


 どこからか叫び声が聞こえた。

 慌てて周囲を確認すると、メイスを持ったゴブリンが林の奥にいる。

 中層のモンスターにはガトリングが効かない。ガトリングから盾とバトルアックスに持ち替えてゴブリンへと立ち向かう。

ブックマーク、評価がありましたらお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ