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脳筋騎士のダンジョン討伐 〜毒を盛られた伯爵家の三男は脳筋貴族をやめて錬金術師になりたい〜  作者: Ruqu Shimosaka


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第16話 ダンジョン中層

 10層のモンスターはクローベアーだった。

 大きな熊のクローベアーは強そうに見えるが群の数が若干少ない上に、力で押し勝てるためブラックウルフよりも戦いやすい楽だったりする。

 セリアンスフィアの人は熊相手でも力で負けない。


 魔力を節約して10層を突破する。

 中層である11層に下る道の前に立つ。ここから先は俺も未知の領域。

 学園の生徒は10層よりダンジョンが深い場合は撤退するため、一度も足を踏み入れていない。

 緊張しているとハルバートを持った騎士、ベアトリクス様が近づいてくる。


「アイザック、近距離で戦うのであれば、中層はしばらく様子を見てから戦いなさい。中層の敵は低層とは違う」

「はい」


 ベアトリクス様の忠告に従う。

 低層と中層は難易度が大きく違うと、学園の授業で何度も教わる。

 小心者の俺は本来行きたくはない場所。


「それほど緊張する必要はない。先ほどの様子を見た限り、アイザックであれば中層のモンスターも問題なく倒せる」

「俺を見ていたのですか?」

「妾が連れてきたのだ面倒は見る」


 ベアトリクス様は前線で戦いながら俺たちの様子を見る余裕があるのか。

 おそらく深層に行けるであろう、ベアトリクス様の技量はとんでもないな……。


 ベアトリクス様に中層で戦えるだけの実力があると認められたのは嬉しい。

 無理に戦う必要はないと言われているが、騎士団と一緒に行動をともにできて面倒を見てもらえる状況は普通ありえない。

 今後のためにも中層で戦えるか試してみるべきだ。


「戦いを見た上で、できそうなら戦ってみます」

「それでいい」


 俺とベアトリクス様が話している間にも騎士たちが11層に向けて下っていく。

 騎士の数が随分と減ったところでベアトリクス様が動く。


「行こうか」

「はい」


 騎士たちに周りを囲まれながら俺たちは11層の坂を下る。

 痛いほど心臓が鼓動する。

 緊張をしながら降りてきたが、11層でもダンジョンの見た目は変わらない。ダンジョン自体がうっすらと発光しており薄暗い。


 通路を進むと戦いの音が聞こえてくる。

 戦闘は部屋で行われており、騎士がモンスターと戦っている。


「ゴブリンか」


 ベアトリクス様が呟いた。

 騎士が戦っているモンスターを見ると、小柄だが筋肉隆々で緑色の肌をしている。しかも手には剣を持っている。

 ゴブリンと聞くと雑魚に思えるが、セリアンスフィアのゴブリンはとても強い。


 低層では動物などの武器を持たないモンスターしか基本は出てこないが、中層のモンスターからは二足歩行するモンスターが出てくる。しかも武器を持っており、持っている武器を使える。

 ベアトリクス様が忠告してきたのは、低層と中層で戦い方が違いすぎるためだ。

 中層からは対人戦に似た動きが必要となる。


「ゴブリンが持っているのが剣であれば、大規模に魔法を使わずとも倒せるか」

「遠距離魔法を使わないのですか?」

「持っているのが剣であれば、割と戦いやすい相手になる。槍などは集団でかかられると面倒であるが、剣なら相手の力を上まれば倒せる」

「武器の長さの問題ですか」


 ベアトリス様はハルバートを持っているが、他の騎士で長い武器を持っている人は少ない。

 騎士は力が入りやすく、壊れにくい武器を好む。

 技量でモンスターを倒すのではなく、武器が壊れそうなほどの力でねじ伏せる。


「アイザック、戦えそうか?」

「もう少し見ても?」

「もちろん」


 騎士と戦うゴブリンをよく観察する。

 ゴブリンは腰布を巻いているだけであるため、発達した筋肉がよく見える。何も防具をつけていないが、意外に動きはそこまで速くない。四足歩行に比べれば二足歩行であるため動きは遅いのか。

 だが発達した筋肉と武器の組み合わせは脅威。


 ゴブリンが岸に向かって剣を振る。剣の軌道は力任せにみえ、使いこなすとまではいかない技量に見える。

 騎士がもまた剣を力任せに押し込むと、剣を無視してゴブリンを切り飛ばしている。ゴブリンが防具を着ていないため、剣を無視して切り飛ばすのか。

 力が上まれば倒せるというのは、防具の有無も関係しているわけか。


 騎士とゴブリンの戦いを見た限り、俺と相性の良い相手な気がしてきた。

 ゴブリンの肉体がどれほど硬いかという問題はあるが、多めに魔力を使えば解決できそうな問題ではある。

 硬さといえば、ガトリングをゴブリンに撃ってみたい。


「ベアトリクス様、ガトリングをゴブリンに撃ってみてもいいでしょうか?」

「面白そうであるな。撃って構わない」


 許可が出たため鞄からガトリングを取り出す。

 射線上に騎士がいないゴブリンを探し出す。


「撃ちます」


 引き金を引く。

 ゴブリンに弾丸が当たるが、倒れる様子はない。

 完全に効いていないわけではないようで、痛がるような様子は見せている。ゴブリン、どれだけ硬いんだ……。

 これで中層のモンスターでは戦いやすいとは恐ろしい。


 残っている弾薬全てを一体のゴブリンに使い切るつもりで撃ち続ける。

 百発近く打っても倒せないため諦めかけた時、偶然だがゴブリンの顎に弾丸があたりのけぞった。ゴブリン相手でも当たりどころによっては効くようだ。

 次の弾丸がゴブリンに到達すると弾丸がゴブリンの体にめり込んだ。


「あれ?」


 思わず打つのをやめてしまう。


「弾丸がゴブリンの体にめり込んだ?」


 撃たれたゴブリンは動かない。

 理由がわからずに困惑する。

 隣にいたベアトリクス様が素早く動いて、ゴブリンを回収してくる。


「気絶して、死にかけだな。おそらく気絶して魔法が切れたのだろう」


 ベアトリクス様がハルバートを振ってゴブリンの頭を落とす。

 ゴブリンの血が足元に広がる。


「気絶。顎にあたったからですか。なるほど」


 魔法は意識がある状態でなければ使えないが、身体強化は魔力が完全に拡散するまで効果が続く。モンスターが同じような魔法を使っていた場合、気絶後すぐに銃弾が当たったため生きながらえたのか。


「相手を気絶させるような攻撃は、大部屋に出てくるユニークモンスターを倒す時に使える。覚えておくといい」

「はい」


 大部屋は中層以降に現れる。

 普通なら大量にいるモンスターがおらず、ユニークモンスターが単体で待ち受けている。ユニークモンスターは大量のモンスターと戦った方が楽なほど強い。

 俺の母もユニークモンスターと遭遇したために死んだ。騎士が死ぬ理由の中でもユニークモンスターは特に多い。


「ガトリングの命中精度はどれほどある?」

「弾丸をばら撒いているため、命中精度は良くありません」

「中層では牽制程度にしか使えないか」

「そのようです」


 ガトリングは元々中層で使えるとは思っていなかった。

 順当な結果と言える。


「アイザック、ゴブリンと戦うのはどうする?」


 ベアトリクス様に問われて迷う。

 ゴブリンは強い。しかし、身体強化に回す魔力を増やし、武器を強化すればどうにかなりそうだとも思う。


「やってみます」

「そうか。戦う準備を」

「はい」


 ガトリングを片付け、バトルアックスと盾を握る。

 深呼吸して、緊張のため浅くなっている息を整える。

 魔力で体と武具を強化する。


「準備できました」

「ではゴブリンを一体引っ張ってこさせよう」


 俺たちを護衛するように周りにいた騎士の一人が動く。

 護衛するようにではなく、実際に護衛なのだろうな。中層で戦うために補助までしてくれ、随分と手厚い支援に戸惑う。

 理由を問う暇もなく、騎士が連れてきたゴブリンが目の前にくる。


 騎士を見ていてこちらを気に求めていない、ゴブリンに切り掛かる。

 不意打ちで倒せる相手ではない。もし不意打ちで倒せるのであれば、戦い方を工夫すれば倒せる。

 バトルアックスがゴブリンをとらえそうになると、ゴブリンは素早く後ろに下がる。


「ギャギャ!」

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