検視代38000円
検視にもお金がかかる。その代金がいくらかを病院が教えてくれていたので、そのお金をおろしに行く。葬儀にももちろんお金がかかる。大分多めにおろす。
聞いていた時間に警察署に行ったが、検視を担当する先生はまだ来られていないとのことで、一回家に帰る。
改めて警察署に向かう。
それでも、まだ先生は来ていなかった。そろそろ来ると言うのでそのまま、警察署で待つ。葬儀場には連絡が行っていたのか、すでに車が来ていた。
呼ばれて別室に移動した。そこで、待機する。
しばらくした後、検視の先生が職員と一緒にやってきた。向かいに座って、説明が始まる。
「今回は、事件性がないということで、解剖まではせずにご遺体に針を刺す形で死因を調べました」
人当たりのよさそうな先生で、話し方もわかりやすかった。その話を聞いて、父の死をすとんと納得したのである。
父の死は心筋梗塞による急性心不全。
母がもっと早くに病院に行っていれば、とこぼした。しかし、先生は防ぎきれるものではなかったという。
半数はそのまま亡くなり、半数は半身不随になると言う。
命が助かった場合でも、寝たきりになるケースを例として話される。
だから、父の死は寿命だったのだと。私は、父の死を納得したのであった。
「さて。これはどんなに悲しくても誰でもお支払いいただくことになるのですが」
「はい」
検視代38000円を支払う。まさか、医師に直接払うとは思わなかった。




