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プロローグ2 女神のとある1日


私は女神である。

誰が何と言おうと女神である。担当している世界は

[地球]と[グラムジャムド]である。


あ、担当しているというのは、

元々、世界というのはたくさんあって、数えるとキリがない程あるの。世界を作り出している創造神様は1人しかおらず、1人で、そんな数えるとキリがない世界の管理なんて出来ない訳だから、こうして女神1人1人に世界が割り当てられて、管理を任せられてるって訳。


そんな中でも、私はもっとも管理が難しいとされている「地球」を担当している超エリート女神なのだ。

もう2000年以上は「地球」の管理を任せられている。私の前の担当女神は1度「地球」上から生物を全滅させて、降ろされた。


世界というものは生物がいないと、成り立たず、消されてしまうのだけど、僅かに残った微生物とかで「地球」は何とか保てていて、私が「地球」の担当になった時は「あ。これ終わったな」て思ったよね。


でもそこから、色々なんやかんや頑張って、生物を増やして、今や他の世界に比べても、トップクラスで生物が多く、管理が難しいと言われている。

そんな、「地球」を管理し続けている私は、超エリート女神なのである。(えっへん★)


でも、それだけ生物が多いと、日々死んでいく生物も多いもので、最近、生み出される命の数と同じくらい生物が死んでいる。

私は世界を管理しているが、生き物の生死や人生に関しては寿命等もあるし、そこまで関与しきれない。


そんな中、私がずっと目をつけている生物がいる。

それは、夜城アラタという人間である。

彼はとても可哀想であった。いくら私が生き物の人す生に関与出来ないと言っても、ここまで酷いものはなかった。


彼は物心着く前から、両親を亡くし、親戚をたらい回しにされ、ようやく引き取ってくれた母方の遠い親戚には、毎日暴力を振るわれ、挙句に小、中、高、いじめの対象。高校では逆レ〇プされ、精神病を患う。

見てられなくて、何度も創造神様に掛け合って、彼を助けさせて欲しいと頼んだ。


でも、たった1つの生物にそこまでの肩入れは許されないと叱咤された。

そうこうしている内に彼は死んでしまった。

薬をたくさん飲んで、ベランダから飛び降りてしまった。18年の命だった。


いても立ってもいられなくなって、彼の魂を呼び寄せた。

元々、死んだ魂はそのまま創造神様のところに送られて、新たな肉体を与えられたり、そのまま神界に行ったりするんだけど、創造神様は死んだ魂の数なんて数えてないから、簡単に呼び寄せられたよね。


そんで肉体を生成した。彼の生前に姿を模して作った肉体に彼の魂を入れれば、それで彼は生き返る。

でも、そのまま彼を「地球」に戻すわけにはいかない。創造神様にバレたら怒られちゃうし、それに彼自身、「地球」に戻っても幸せになれないだろうなぁって。


そこで私は考えたの。

私が担当しているもう1つの世界、「グラムジャムド」に転生させてあげたらいいんじゃないかって。

「グラムジャムド」はいわゆるファンタジー世界で、魔法や異能力が日常で存在している世界である。


ここなら、ある程度、女神の加護として能力を彼に与えることが出来るし、なにより…「地球」より管理がしやすい!

生物は多種多様だけど、人数として計算すれば、「地球」の半分以下しかいない。それにこの世界は、宗教上の観点で、女神の干渉がある程度、許されているところがあるの。それが管理しやすいというところね!


それなら、彼の手助けも出来るし、彼を幸せにしてあげられると思う。

そうと決まれば、私は早速、彼の肉体に様々な能力を付与していく。瞬足、筋力up、千里眼等の肉体的能力、探知系能力や幸運体質、金運up等、体質的能力。


そして、これが1番重要な能力だ。

いくら、能力を持っていても、死んでしまっては幸せにはなれない。彼には[グラムジャムド]で幸せになってほしいのだ。

そんな想いを込めて、"不老不死"を与えた。


[グラムジャムド]では、"不老不死"の生物が少なからず居る。

そういう生物たちは、神に近い存在とされ崇められている。その点踏まえると、彼に不自由させることは無い。


そうやって、彼に能力を与えていると、ふと彼の閉じられていた両目が開く。ゆっくりとその場から起き上がると、不思議そうに辺りを見渡して、私の姿を捉えるとじっと見つめてくる。


まあ、女神だもんね。

美しくて、見蕩れてしまうのも分からなくないわ。仕方ないわよね。

彼の目線に少し身じろいでしまいそうになるのを、抑えて、私は女神らしく胸を張って、こう話した。


「私は女神。貴方は前世で稀に見る不幸体質によって、18という若さで死にました。私はそんな貴方を放っておけなかったので、こうして私の力で蘇らせて差し上げました。

次の人生では幸せになる為、さまざまな能力も授けます。

魔法や異能力のある異世界に転生し、幸せを掴み取って下さい。」


私が話終えると、少しの間を置いて、彼は静かにその場から立ち上がり私の真横をすり抜けて行く。

振り返ると、床に散らばっていた本やら資料等を足場に、彼は、神木にロープを括り付ていた。


それは、僅か15秒程度の短い時間であった。括り付けられたロープは首が通る程の輪っかが器用に作られ、そこに彼の首が掛けられていく…ーーー



「なんで?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!!!」


首に縄を掛けるという意味を理解した私は慌てて、彼の元まで走り、彼の首に掛けられた縄を解く。

すると、彼はすぐ様私には目もくれず、横をすり抜けて数歩歩く。そこにはどうしてあるのか分からないナイフが地面に落ちていて、彼はそれを拾い上げると、何の躊躇いもなく自分の喉元に突き立てて…ーーー


「死にます。」



「だからなんでーー?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

私は叫んで、慌てて、彼の後ろに回って羽交い締めして、ナイフを喉元から降ろす。そのまま振り落としてしまいたかったが、私と力が同格でなかなか振り落とす事が出来ない。


少しでも、力を緩めるとそのまま上にあげて、喉に突き刺してしまう。あー、もう!なんで私は体力upなんて能力付与しちゃったんだろ!



「無駄よ!貴方には"不老不死"の能力を与えたわ!そんな事したって死ねないわよーーー!!!」



私がそう叫ぶと、彼は目をカッと見開いて、急に力が弱まる。そのまま私が羽交い締めをやめると、彼は力なく手の力を緩め、ナイフを地面に落とし、そのままその場に座り込んでしまう。


彼は何かブツブツと小言を発している。

私はそっと彼に近づこうとすると、彼の目の前に小さな水たまりが出現した。

彼はその水たまりに勢いよく顔を埋めて…ーーー


「ぶぶぶぶぶ…」



「だから、死なないってばーーーー!!!!」

勢いよく、彼の頭を掴んで水たまりから出す。

彼はそのまま項垂れてしまった。私は声を掛けようとするが、それを遮るように彼はポツポツと話し始めた。


「…僕は死んで幸せだった。死んだことでようやく解放されたんだから。それなのに生き返って、しかも"不老不死"って…。僕はもう何も考えたくない。死にたい…」


そう言って彼は項垂れたまま立ち上がれない。

ああ、私はなんて愚かだったんだろ。

彼を幸せにしてあげようと、転生させて、別の場所で生きろなんて。それは彼は望んでいなかった。


18年という時は長かった。

長い年月を経て、培ってきた経験や人格は魂に刻まれていて、そう簡単には変われない。

彼は充分過ぎる程、不幸を味わってしまった。今更幸せに…なんて言われても、幸せというものを彼は知らない。

そんな彼にとっては、きっと"死"こそが幸せなのだろう。


しかし、1度付与してしまった能力は取り消すことが不可能である。特に"不老不死"という能力は他異能力を駆使しても、消去魔法等使っても、消すことができない。

なにせ、生命に関わる超チート能力だからね!そりゃそう簡単に消せる魔法や能力なんか存在してるわけないじゃない。


…でもたった一つだけ、方法がない訳ではない。

[グラムジャムド]は魔法や異能力が日常にある世界なので、当然魔物や怪物も存在している。

約1000年に1度には、そんな魔物や怪物たちの長である魔王が出現し、戦争を起こしている。その度に勇者が選出され、魔王を倒しに行くのだが、魔王だって、長を務めている訳だ。

ちょっとやそっとじゃ、倒されないだけのチート能力を持っている。


そんな魔王を倒す為、創造神様が作られた剣がある。

"魔王の聖剣"。それは型破りな代物で、どんな能力、魔法も無効化し、斬ることが出来る。まさにチート剣。

作った当の創造神様ですら、その剣の存在を恐れているが、如何せん、魔王を倒すチート剣だ。


そう簡単に無くしては困ると、[グラムジャムド]と生物たちが何処か最果てに封印魔法を施して、隠してしまっている。

それは来る時、勇者しか封印解くことも出来ないと言われ、私たち神ですら場所を把握出来ていない。しかし…



「…1つだけ方法があります。」

私は彼の目の前へ行き、屈んで目線を合わせる。彼は静かに顔をゆっくり上げて私を見て「方法?」と聞く。


私は頷いて、"魔王の聖剣"の存在を彼に教えた。

それなら、"不老不死"も斬ることが出来ると。


その事を聞いた彼はゆっくりと立ち上がる。

立ち上がり、私の目を見る。その目は鋭い眼光を放っていて、強い意志が感じられた。



「その"魔王の聖剣"を探す。僕はそれを使って死ぬ。」



「"魔王の聖剣"は来たる時、勇者が魔王を倒す為に最果てに封印されています。探すのはいいですが、とても長く険しい道のりになると思います。それでも良いのですか?それなら何処かの街で自由に暮らしている方が幸せだと思いますが…」


私はそう提案してみるが、

「僕は死ぬ事が幸せなんだ。死ぬ為ならそんなの屁でもないよ。」

彼の意思は強く考えが変わる事はなかった。私は諦めて、[グラムジャムド]である程度生きていけるように、金品やら装備品、衣類を彼にプレゼントする。


「ステータスというものがこの世界には存在しています。見たいと思った時、空に掌をかざせば現れます。これで自身の能力や他生物のステータスを見ることが可能です。」

そう言って、手本を見せる。


彼は現れたステータスの画面に動じず、まじまじと目を通す。彼がある程度見終えたのを確認してから、「空に掌をかざしたまま、拳を作ると消えます。」

ステータスを消す。


彼は表情1つ変えずに私を見る。

私はそのまま、彼の後ろに異空間を出現させる。


「ここを通れば[グラムジャムド]へ行けます。1番外れの草原に転送させてもらいます。そこから少し歩くと小さな村があります。まずはそこから"魔王の聖剣"探しを始めるといいでしょう。

…残念ながら、貴方にはついて行く事は出来ませんが、この世界であれば、ある程度の干渉が許されています。

貴方が困った時は助力致します。」


彼は静かに私に背を向けて、異空間の中へとゆっくりと歩を進めていく。数歩進んだ所で後ろを振り返り、私に向かって

「ありがとう」

とだけ言うと、そのまま再度背を向けて、彼の身体は異空間の中へと飲み込まれて行った。



「ご武運を…」

私の声は彼に届いたか分からない。

唯、私は彼の幸せを願う事しか出来ない。

私は両手で自分の頬を叩き、気合いを入れると今日も世界の平和管理の為、仕事を始めるのだった。




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