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チートな冒険者ギルドの受付嬢  作者: 秋華(秋山 華道)
チートな冒険者ギルドの受付嬢+愉快な仲間たち
33/35

敵は神の山にあり

この日、突然朝里ちゃんがいなくなった。

最後に見たのはギルドのバックルーム。

そこにいたのは卑弥呼で、話によると何も言わずに職員通路へと出て行ったらしい。

様子も少しおかしかったとか。

既に日は暮れ、外は暗くなっていた。

俺と嬢ちゃんは卑弥呼の命により、朝里ちゃんを探しに出た。

クエストから戻ってきた冒険者に朝里ちゃんの事を尋ねたら、どうやら北の森の霧の中へと向かったらしい。

山中さんを捜索した時の事を思いだす。

「朝里ちゃん。何も喋らず様子がおかしかったと言っていた。山中さんの時に似てないか」

「あの時‥‥蝶々ちゃんは‥‥洗脳‥‥されてた‥‥」

「誰がどうやって洗脳したのか分からないけど、もしそうなら嫌な予感がするな」

正直あの場所はヤバいと思う。

北の森、霧の中の先、

決して入ってはいけないという神の山がある場所。

魔獣は数が多いし、それ以上に何か嫌な気配がする。

もう二度と入りたくない場所だったが、流石に朝里ちゃんの為ともなれば、俺たちは行くしかなかった。

「霧が薄くなってきたな」

「うん‥‥この辺りは‥‥木々も‥‥少なくて‥‥命の存在も‥‥感じられない‥‥」

嬢ちゃんの云う通り、確かにそんな気がする。

俺の知っている言葉で言い表すのなら、魔界か地獄といった雰囲気だった。

俺と嬢ちゃんは、探査魔法で朝里ちゃんを探した。

魔獣が沢山集まってくる。

この辺りには猫魔獣や熊魔獣ほどの魔獣はいないが、とにかく数が多い。

俺たちの敵ではないが、面倒くさかった。

「早く見つけて連れ帰りたいのに」

「私の‥‥魔法なら‥‥五秒で‥‥殺れるけど‥‥」

「いやそれ禁止だから。この辺り大変な事になるから」

俺は魔法を使おうとする嬢ちゃんをなだめながら、魔獣を高速で屠って行った。

しばらくすると、生きている魔獣はほとんどいなくなった。

この前来た時にも結構倒したのに、一体どこから魔獣とやらは湧いてくるのだろうか。

猫魔獣とかを見る限り、しっかりと繁殖しているのだろうけれど、だとするならは、この辺りの魔獣は繁殖力が強いという事なのだろう。

しかしこの外へは出て行かないわけで、まだまだ俺には分からない謎がこの世界にはありそうだった。

つか嬢ちゃんは相変わらずブレないな。

魔石をもれなく回収する嬢ちゃんは流石だった。

俺と嬢ちゃんは更に奥へと進んでいった。

すると、間もなく朝里ちゃんが探査魔法に引っかかった。

「やっぱりここにいたか」

「うん‥‥でも‥‥やっぱり‥‥洗脳されて‥‥いるみたい‥‥」

朝里ちゃんは神の山の手前、直ぐの所に立っていた。

神の山は岩山で、朝里ちゃんの後ろには、急な崖がそびえたっているようだった。

「一応洗脳解除の魔法!」

「私も‥‥洗脳の‥‥上書き‥‥」

結果は分かっていたが、両方とも効果はなかった。

「無駄じゃよ。この洗脳はわししか解けん。或いは死ぬかじゃの」

朝里ちゃんがいつもと違う喋り方でこちらに語り掛けてきた。

洗脳した術者の喋り方なのだろう。

山中さんの時と全く同じだ。

「今日はお主たち二人だけじゃの?全くこの前は勇者まで来よって、遊べなかったではないか」

何を言っているのかよく分からないが、此処にくるべきは、俺と嬢ちゃん二人だけって事か。

「でも今回は此処に朝里もおるでな。この子も使って遊ぶとするかの」

洗脳された人はおそらく俺たち二人の案内役で、本来の役割は此処までという事だろう。

しかし今回はこの朝里ちゃんも含めて、何かをしようとしているようだった。

「一体何をするつもりだ?できれば朝里ちゃんを返してもらいたい。つかお前誰だよ」

「朝里ちゃんを‥‥かえせー‥‥誰だよー‥‥お前ー」

嬢ちゃんは相変わらず緊張感がなかった。

しかしおそらくだが、この相手は嬢ちゃん以上の魔力の持ち主だ。

警戒しておかないとヤバいと思う。

まっ、嬢ちゃんはこんなだけど、内心はちゃんと警戒しているはずだ。

俺の知っている嬢ちゃんはそういう奴だ。

嬢ちゃんを見てると時々不安になるけど‥‥

「さてこれからゲームをするぞい。まずはわしについてくるのじゃ」

朝里ちゃんじゃないけど朝里ちゃんはそう云うと、神の山へと跳んで登って行った。

「入っちゃいけないんだけど、この場合はしゃーなしだな」

「うん‥‥人命‥‥第一‥‥」

嬢ちゃんが本当にそう思っているかどうかは別にして、少なくとも朝里ちゃんを助ける事が第一と考えている事は伝わってきた。

山を登っていくと、ドンドン霧は晴れて行った。

俺たちの力なら、頂上へはすぐに到着した。

そこには、広大な山の上の平地が広がっていた。

その平地をしばらく走って進んだ。

そして突然朝里ちゃんは止まり、俺たちの方へと振り返った。

「この辺りで良いじゃろ。まずはお前たちには、この朝里と殺し合ってもらう。お前たちが勝つか、この朝里が勝つか、どっちにしてもどちらかが死ぬまで戦ってもらうぞい」

「何言ってんだ?ふざけるな!なんでそんな事しなきゃならないんだよ!」

全く、誰だか知らないけどとんでもない事を言いやがる。

でも多分メチャメチャ強い相手なんだろうなぁ。

もう少し下手に出てそんな事を止めてもらうべきだっただろうか。

「なんでって、面白いからに決まっておるじゃろ?この世界をなんの為に作ったと思っておるのじゃ?わしの暇つぶしの為じゃ」

はぁ‥‥

なるほど。

なんとなく話は見えてきた。

そしてこの朝里ちゃんを操っているヤツの正体もな。

「暇潰しで人の命をもてあそんでもいいのかよ!」

「おぬしがそんな事をいうのか?だったらダンプカーにひかれてそのまま死んでた方が良かったのかの?」

やっぱりそうか。

「そんなわけないだろうが!でもな、だからといって一度与えた命を又奪ってもいいって理屈にはならんだろ!」

「まあそうかもしれんのぉ。だったらお主がわしを倒せばええ。結局この世界は力のあるもんが結果を決めるんじゃからの」

はいそうですか。

だったらやってやる。

こっちには嬢ちゃんだっているんだ。

あのクソジジイをぶっ飛ばしてやる。

「嬢ちゃん。俺は蘇生魔法が使える。なるべく楽に朝里ちゃんを殺っちゃってくれ」

「分かった‥‥軽く‥‥倒してあげる‥‥」

「おっと!お主が蘇生できる事は知っておるぞ。この世界に転生する時に、わしが案内したんじゃからな。だからこのままでは戦わせん。力を与えるのじゃ」

朝里ちゃんじゃない朝里ちゃんがそういうと、朝里ちゃんの魔力はドンドン大きくなり、それは嬢ちゃんに匹敵するものになっていた。

しかも魔力の質が、嬢ちゃんのあの禍々しいものに似ていた。

「これは‥‥SAN値が削られるな‥‥」

「私は‥‥大丈夫‥‥だけど‥‥朝里ちゃん‥‥強い‥‥」

朝里ちゃんが強いっていうか、朝里ちゃんを操っているジジイが強いんだけどね。

とはいえこれはヤバいな。

完全に俺は置いてきぼりだ。

嬢ちゃんの足を引っ張らないようにしないと。

「ではいくぞ?楽しい戦いの始まりじゃ!」

朝里ちゃんはこちらへ真っすぐ跳んできた。

俺と嬢ちゃんは左右に散開する。

直ぐにアサリちゃんは弱い俺の方へと向かってきた。

朝里ちゃんの刀が俺を襲う。

俺の胸をかすめる。

服が破け、少し血が流れた。

「俺の防御力でも駄目なんかい!」

「お主、朝里をただのバーサーカーと思ってなめておらんか?朝里の力はその程度ではないぞ」

「どういう事だよ!」

「戦っておればすぐに分かるわい」

くそっ!

一体朝里ちゃんに何があるって云うんだ。

そんな俺の横を強力な魔法が一瞬通り抜けた。

嬢ちゃんの魔法だ。

それが朝里ちゃんに向かう。

おい!

あんなの食らったら、朝里ちゃん消滅したりしないか?

しかし次の瞬間、朝里ちゃんの刀がその魔法を斬り裂き、魔法は消失していた。

「ふぉっふぉっふぉっ!無駄じゃ。朝里の剣には魔法を無効化する能力があるでな。魔法は通用せんぞ」

「なんだと!なんでそんなチート能力を?」

「チート能力なら、お前にも嬢ちゃんにもあるじゃろ。わしが与えた能力じゃからな。この朝里がバーサーカーで、神の加護を得たのは知っておるな。わしが与えた能力なんじゃよ。察しろ馬鹿もん」

そういやそうだったな。

おそらく不老の効果を得たものは、みんな何かしらこのジジイからチート能力を授かっているって事か。

嬢ちゃんは魔力、朝里ちゃんは魔法を無効化する剣、ミケは木刀神剣か?

「だったら卑弥呼にはどんなチート能力を与えたんだ?」

なんとなく気になったので聞いてみた。

「卑弥呼か。アレはわしのコマじゃからな。お主たちのようなチート持ちが分かる目と、強力な洗脳魔法をもっておる。尤も、洗脳した際わしのいう事を聞くようになっておるがの」

なるほど、卑弥呼が朝里ちゃんを洗脳したのか。

となると山中さんの時も、どこかで山中さんは卑弥呼と会っていたという事か。

「つか、だったら俺だけチート能力無しかい!!」

「そんな事はないぞ?蘇生魔法なんてそう簡単にできるもんではないし、成長と学習の能力も持っておる。お主はここ半年で大きく成長しおったが、普通優秀な能力者でもそこまで上手くはいかんぞ」

確かに俺すげぇな感じはあったよ。

あったけどそれがこのジジイに与えられたものだったとか、なんかむかつくな。

「さあくだらないお喋りはこれまでじゃ。早くお前たちが絶望に歪む顔が見たいわ」

本当に正確ひん曲がってるジジイだな。

さっきからジジイジジイ言ってるけど、朝里ちゃんの顔見ながらそんな事を考えてるのがそれもまた腹立たしいぜ。

しかしさっきから俺は逃げの一手。

嬢ちゃんも魔法が通用しないとなると決め手に欠ける。

戦いはしばらく膠着状態が続いた。

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