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チートな冒険者ギルドの受付嬢  作者: 秋華(秋山 華道)
チートな冒険者ギルドの受付嬢
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攻撃魔法の習得

森の中での生活もそろそろ終わりに近づいた頃、俺たちはあまり会いたくない魔物に出会っていた。

「レイスか。アンデット系はSAN値が削られるから嫌なんだよな」

アンデット系は主に精神にダメージを与えてくる。

全く大丈夫な人もいるけれど、俺はあまり大丈夫ではなかった。

「お兄ちゃん!木刀神剣が通用しないよ!」

「そりゃ相手は幽霊だからな。魔法攻撃でしか倒せないだろうな」

とはいえ俺はほとんど攻撃魔法を持っていない。

相手はアンデットだから倒す方法はあるんだけど、こういう相手に出会うたびに『攻撃魔法を覚えないといけない』と痛感する。

そういえばミケは何か使えるのだろうか。

それならまたミケに教えてもらうのもいいだろう。

俺はミケに聞いてみた。

「ミケは何か倒せそうな攻撃魔法は持ってるか?」

「はっはっは~お兄ちゃん。何を言っているのだ?そんなの持っているわけがないのだ!私は攻撃魔法が何も使えないのだ!」

自慢する事ではなかった。

つまりもしも魔法でしか倒せない敵が現れたら、俺たちは勝てない可能性があるという事だ。

最悪凶悪な魔法を二つばかりマスターはしているので、死にそうになったら使うかもしれないが、できれば使いたくない。

威力もヤバいし魔力消費もヤバい。

「まあ今回は相手がレイスだから、倒せるんだけどね」

俺は回復系魔法は大得意である。

蘇生も含めてすべて使えるのだ。

完全にヒーラー、或いはクレリックと言った感じだ。

そういうクラスの者が大抵使える魔法が、『ターンアンデット』である。

攻撃魔法とは違うが、俺はその魔法でレイスを退けた。

「ミケは一応魔法は使えるんだよな?」

「魔獣の中でも高貴な猫魔獣なのだ。魔法は本来大得意なのだ!」

なるほど。

それなら他に結構いい魔法が使えるかもしれない。

俺はちょっと期待して聞いてみた。

「じゃあどんな魔法が使えるんだ?」

「ん~‥‥回復系全般」

俺と同じか‥‥

「それとね、うんとね‥‥それだけ、かな」

それだけかーい!

まあ魔獣ってだいたいそんなに多くの種類の魔法は使わないよね。

「じゃあ蘇生もできるのかな?」

「蘇生は‥‥できないのさ‥‥」

ちょっとミケは寂しそうだった。

ミケは決して魔力が少なくないし、普通なら使えてもおかしくないように見えた。

だから俺はちょっと蘇生魔法を教えてみる事にした。

「じゃあちょっとやってみるから、一度練習してみよう」

「う、うん。分かったのだ」

ミケが少し寂しそうな表情をしたままだったのが気になったが、俺は水晶からしまってあったニワトリを取り出した。

「じゃあこいつを俺が蘇生するから、同じようにやってみてくれ」

俺はニワトリを地面に置くと、両手をかざして魔力を注いだ。

直ぐにニワトリは息を吹き返し、立ち上がった。

俺はすぐにそのニワトリの首を掴み、ひねり上げて再び殺した。

「はい、今の感じだから。ミケもやってみて」

「お兄ちゃん。生き返らせてすぐに殺すのは、なんとなく心に雨が降るようなのだ」

確かに、どうせ食べるとはいえ、云われてみれば残酷だったように思う。

「悪い悪い。次が最後にするから。ミケも蘇生魔法やってみてくれ」

俺はそういってニワトリの死体をミケの前に置いた。

ミケは再び少し寂し気な表情をしたが、蘇生魔法に挑戦した。

だが結局、何度やってみても蘇生は成功しなかった。

後で聞いた話だけれど、蘇生魔法というのは本当にできる人が限られる魔法だった。

使える人は割と簡単に使えてしまうし、魔力消費がそれほど大きくない事もある。

でも、本人の資質が影響する所が大きく、ミケにはその資質がないという事を本人が自覚していた。


さてしかし、今回のレイスは倒せたけれど、このままではいずれ困る事になるのは明白だった。

一つでも何か使える攻撃魔法を得ておく事は必要だと俺は考えた。

森を出て、数日歩いた先に、ようやく王都ムスクレルが見えてきた。

約二週間の旅だった。

町に入ると、俺はすぐに冒険者ギルドに足を運び、姐さんへのメールを送信しておいた。

ギルドは町ごとの個人経営なので、マジックボックスの使用には当然料金がかかる。

とは言えギルド協会に加盟し連携しているので、身分証があればマジックボックスを借りられた。

ちなみにギルドは、複数存在する町もあれば、存在しない町もある。

俺が住むセカラシカは、俺が働く姐さんのギルドだけだが、この町は流石に王都という事で五件もギルドがあった。

今回俺が訪れたギルドは、姐さんの遠い親戚が経営しているギルドだった。

「これ、頼まれていた魔石です。それと素材、いくつかの契約書も預かってきています」

俺はそう言って水晶からそれらを取り出してテーブルに並べていった。

「ありがとうございます。ではこちら受け取り証となりますので、内容を確認してください」

対応してくれたのは、どうやら姐さんの親戚ではなく、ただの受付の人だった。

俺はその人に、この町の事を少し訊ねる事にした。

「王都には魔法書とかスクロールを売っている店があると聞いたんですが、何処にあるんですかね?」

俺は手頃な魔法を使えるようになる為、この王都でそういった関係の本やスクロールを手に入れようと考えた。

セカラシカの町にはそういう店は存在しないので、王都で買って帰りたかった。

魔法を使えるようになる為の方法はいくつかある。

魔法の仕組みを理解し、練習して使えるようになる方法。

或いは誰かの使っている魔法をじっくりと観察し、自分でその原理を読み取る方法。

後はスクロールによって実際に自分で魔法を発動し、体で感じ取る方法だ。

人によって得手不得手が存在するので、一概にどの方法が良いとは言えない。

ただ、俺に追記された記憶を見る限り、理屈の理解とか見て覚える方法では、攻撃魔法は覚えられない気がした。

だから俺は、スクロールを手に入れて、実際に自分で使ってみる方法で覚えようと考えていた。

ちなみに魔法書でも魔法を使う事はできる。

スクロールは一回きりしか使えないけれど、魔法書は何度でもそれを持って魔法を発動できるのが特徴だ。

しかし魔法書は値段がバカ高く、必ず発動できるものでもない。

魔法書は一冊あると便利ではあるけれど、体を動かす戦闘が中心の俺にとっては、あまり魅力的なものでもなかった。

「魔法書店は王宮近くに黒い建物がありますので、そこで買えます。スクロールでしたら各ギルドで売ってますよ。どういったものをお探しですか」

マジですか。

それはありがたい。

「欲しかったのはスクロールなんです。そうですね。アイス系とかサンダー系の攻撃魔法だとどんなのがありますか?」

俺が既に使える魔法は、エネルギー系とファイヤ系だ。

爆裂系は物理ダメージが大きいからあまり必要ないし、光系は威力の強いものは不要だしマジックミサイルがあれば十分だろう。

それにコロニーレーザーには光系要素も含まれている。

闇系は、地獄の業火に含まれるし、これもとりあえずはいい。

今欲しいのはやはりアイス系とサンダー系だった。

「そうですね。アイス系だとクラス壱からクラス五、それと今ならドラゴンクラスも在庫がありますね。サンダー系はクラス壱からクラスマスターまで揃っていますが、それ以上はありません」

この世界の魔法は、オリジナル魔法以外は特に名前がついていない。

俺のコロニーレーザーは、俺が作ったわけではないので、誰かのオリジナルを俺が使えるようになったという事になる。

この辺りの記憶は追記されていないので俺にもよく分からない。

クラスは神クラスの魔法で、最上位魔法と言える。

地獄の業火はファイヤ系の汎用魔法であると思われるが、おそらく習得している者はほとんどいないはずだ。

魔王クラスの魔法で上から弐番目に高いクラスの魔法である。

その下は悪魔クラス、ドラゴンクラス、マスタークラスとあって、クラス拾からクラス壱が最下位クラスとなる。

俺はスクロールの価格を聞いて、アイス系ドラゴンクラスを一つと、サンダー系マスタークラスを二つ購入した。

というかそれしか在庫がなかった。


俺たちは町の外へ出て、誰もいない荒野に移動して早速試す事にした。

「よし、まずはサンダー系マスタークラス、雷の魔法だ」

これは上空から対象に雷を落とす魔法である。

外でしか使えない魔法という事で成約はあるが、かなり強力な魔法だ。

俺はスクロールを開いて見る。

そこには何やら色々と書かれていた。

ふむ、スクロールとはこんな感じなのか。

自分でも書けそうだな。

とりあえず俺はスクロールに魔力を込め、魔法を発動してみた。

一瞬空が暗くなったかと思うと、雷が対象としていた岩に落ち、岩が砕け散った。

「へぇ~結構威力があるな。これなら大抵のヤツは倒せそうだ」

「お兄ちゃん、こっちにもビリビリき・て・る・よー」

「悪い悪い」

確かにこれは、他の者にも多少影響を及ぼしそうだった。

次にもう一つの方を開いてみた。

こっちは自分から電撃を発し、ダメージと麻痺効果、両方が期待できる魔法だった。

俺は別の岩に向けて発射してみた。

こちらも岩を砕いたが、威力は先ほどのよりも弱かった。

使いやすく麻痺効果もある為、威力のみに集約された魔法には及ばないといった所だろうか。

ミケが見よう見まねで今の魔法を発動してみようとしていたが、上手くは行かなかった。

「じゃあ次はアイス系か」

俺は最弱の、クラス壱ならどの魔法も使える。

最弱系の魔物や魔獣相手にしか使えないようなものばかりだが、その中にはアイス系もある。

対象を凍らせる程度ならできるわけだ。

しかし、死んだ対象ならそれで凍らせられるが、生きている敵をその魔法で凍らせても、直ぐに氷は破られてしまう。

そんな魔法とどの程度違うのか、そこに興味があった。

スクロールを開いてみた。

既に何かが伝わってくる感覚がある。

書いてある事も確認した。

なんとなくイメージが湧いてくる。

これは、クラス壱の魔法とは全く違うという事が既に分かった。

俺は適当な対象に向けて魔法を発動した。

直ぐに足元から氷が対象へ向かって発生する。

冷気が凄い。

瞬時に対象を凍らせ、尚もそれは対象の温度を下げているようだった。

「なるほど。クラス壱の氷はせいぜいマイナス十度くらい。ドラゴンクラスはマイナス二百度くらいまで下げられそうだな」

これは戦闘で割と使えそうだった。

発動してからコントロールも可能で、どうしてもこれだけは覚えたいと思った。

しかし練習しても、俺はどれも習得する事ができなかった。

「くそ!もう一度、いやもう何度か試せばできるはずだ」

しかし改めてスクロールを買うにしても高いし、さっきのギルドには在庫もない。

そこで俺は思った。

さっきのスクロールなら、自分で作れるのではないかと。

俺たちは早速町へと戻り、今度はスクロール用の紙を大量に買ってきた。

俺はそれに、先ほど見た模様のような文字のようなものを書いていった。

「おっ!行ける!」

少し性質が変わっているような気がするが、俺は試しに発動してみた。

先ほどよりも高い効果のアイス系魔法が発動された。

「なんかさっきよりもスムーズに魔法が発動した気がするよ!」

ミケの言う通り、スムーズな魔法発動だった。

それになんとなく、これならスクロール無しでも発動できる気がした。

俺はスクロール無しでもう一度やってみると、しっかりと魔法が使えるようになっていた。

どうやら魔法の発動の仕方には、その人にあったやり方があるようだった。

これは研究する必要があるなと思った。


この後俺は、町のギルドを全て回り、ファイヤ系、アイス系、ウォーター系、ライトニング系、爆裂系、光系、闇系、風系、自然植物系など、すべてのスクロールのクラス壱からマスタークラスを揃えた。

回復系もそろえた。

そしてそれらを参考に、自分でスクロールを作成し、全ての攻撃魔法を習得する事に成功した。

夢中になってやっていたから、流石に魔力も体力も持たず、この日は宿屋で死んだように爆睡した。

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