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出戻り令嬢、街を案内する ③

3/6 二話目



 次にラト君のご兄弟たちのお土産を選ぶことになった。何だかお父様に対するお土産はお母様とほとんど同じでいいらしい。


「ラト君、お姉さんは何歳なの?」

「俺より一つ上」

「そうなのね。お姉様はどういったことをしているの?」

「魔法の研究職をしているよ。二人とも」



 ラト君のお姉様は双子らしい。

 双子のお姉様たちが同じ仕事をしているというのも、仲が良いのだなとほほえましい気持ちになる。

 ラト君のお姉様たちも綺麗な見た目をしているのだろうか。



「ご結婚されているの?」

「一人はこの前結婚して、もう一人は相手が育つの待ってる」

「育つの待ってる??」

「俺の姉さんたち、少し極端だから。一人は凄い年上と結婚して、もう一人は凄い年下と将来の約束してる。なんか相手が育つまで待ってるって言ってたな」



 ということは、年の差夫婦みたいになるのかしら。

 それはそれでとても素敵だと思うわ。それにしてもそうやって一途に相手を思っている様子がラト君の様子からうかがえて、とてもいいなぁと思った。




 そういう会話を交わしながら、ラト君のお姉様たちのお土産を選んだ。この街ならではのお菓子だったりを選んでいた。なんかアクセサリーとかは、そのお相手からもらいたいって言っているらしい。


 きっと会うこともないだろうけれど、ラト君のお姉様たちのことを思うと何だか楽しい気持ちになった。



 ラト君の家族の方は、聞いている限りとても自由な雰囲気だ。

 そして何だか楽しそうに生きている様子がうかがえる。そしてラト君は家族を大切にしていて、その家族もラト君を大切にしている。




「ラト君の家族は仲よさそうでいいなぁ」


 思わずそう呟いてしまった。



 しばらくぶらぶらしていると、ラト君が何か差し出してきた。




「はい。ペネにあげる。これ」

「え?」

「ペネ、色々見ててほしそうにしてたから」



 ラト君はそう言いながら、包みにくるまれた一つのものを差し出した。その中に入っていたのは、花の飾りのついた髪飾りだった。

 確かにさっき、素敵だなって見ていた。

 その視線にラト君は気づいていたのだろうか。





「え、でも……」



 もらっていいのだろうか、なんて思って戸惑ってしまう。

 だって誰かから何かを買ってもらうなんて久しくしていない。誰かが自分のためを思って何かをくれるなんて……とじんわりと心の中が熱くなる。




「いいんだよ。ペネに似合いそうだし」



 そう言って笑いかけられたら、頷かずにはいかなかった。

 それに私は嬉しかったのだ。ラト君が私にプレゼントをくれたことが。何だか嬉しくて泣き出しそうな気持ちにもなった。



 でも楽しいお出かけなので、私は涙をこらえて、ラト君に「ありがとう。とても嬉しい」と返事を返す。




 ラト君が嬉しそうに笑って、私の髪に髪飾りを刺してくれた。何だか少しだけ恥ずかしい気持ちになりながら、嬉しくて笑った。



 

 それからラト君と一緒に他のご兄弟のお土産を選んだ。

 驚いたことにラト君の弟の一人は、もう子供までいるらしい。確かに若くして子供がいる人はいるけれど、ちょっと驚いた。ラト君は結婚もしていないけれど、もう伯父さんなんだとか。

 ラト君はその弟さんの奥さんの分まで選んでいた。



 何だかラト君には家族が沢山いるんだなって思う。ご兄弟の奥さんや旦那さんも含めて、沢山いるって楽しそうだと思う。

 




「あいつは子供が大きくなったらまた冒険者としてぶらぶらするって言っていたから、冒険者に役立つ物がいいとは思うけど」

「冒険者をしているのね。私はあんまり街から出たことがないから、色んな所に行く人は凄いなと思うわ」



 ラト君の結婚している弟さんは、冒険者をしているらしい。驚いたことに十一歳の頃から冒険者としてうろうろしていたんだとか……十一歳って子供じゃないかしら。

 魔物退治をしていて、誰よりも強いっていうお母様といい、ラト君のご家族ってすごく独特な人たちなのかもしれない。

 

 奥さんも冒険者として動いているらしく、やっぱりラト君の家の人たちってとても楽しそうだ。

 他の子たちはもっと小さいらしい。でも何だか小さい子供も、それなりに戦えるらしい。一番末っ子の妹さんはとても戦闘の才能があるとラト君がほめてた。


 なんというか、聞いている限りラト君の家って、お父様も含めて全員がとても戦闘能力があるみたい。正直言って、私は戦うなんて出来ないので凄いなと思う。

 でもまだ八歳の女の子に武器を買おうとするって中々不思議な家族だと思う。



 でも何だか独特な家族だと思うけれど、楽しそうな家族だと思った。



 私はラト君に街を案内出来たのがとても楽しかった。

 ラト君の話を聞くのも楽しくて、あっというまに時間は過ぎて行った。

 そして私はそろそろ屋敷に帰らなければならない時間になった。




「ペネ、またね」



 ラト君はまたねと言ってくれた。

 また話す機会もあるのだろうか。

 そう思うと私は何だか嬉しい気持ちになった。



 屋敷に戻る前に髪飾りをポケットに隠した。

 このままつけて戻ったら、両親や弟に何を言われるか分からなかったから。



 ぎりぎり、両親や弟に何か言われない時間帯に帰れてほっとした。



 ラト君と過ごすことは楽しかったけれど、屋敷に戻ると自分の現実を実感する。

 私はラト君やそのご家族のように自由に、自分の足で歩けてはいない。――あんなふうに自由に生きれたらと羨望を抱いた。




 

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