自覚・そして失恋?
初めての小説投稿になります。
拙い文ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。
「みゃーちゃん!」
そう言いながら相変わらず可愛い幼馴染は私に抱きついてきた
「おっと いきなり抱きついて来たら危ないでしょ? 」
「えへへ」
私が軽く注意すると、奈緒は楽しそうな笑顔を浮かべて笑っていた。
「相変わらず京と奈緒は仲いいよね」
「うん! 私はみゃーちゃんのことが大好きなんだもん!」
少し呆れたような表情で友人の麻那が聞いてきたが奈緒はそれに満面の笑みで返していた。というかなんでそんな恥ずかしいことが笑顔で言えるんだか。
「まぁ 奈緒に抱き着かれても表情が一切変わらない京もなかなかだけどね」
「これは仕事をしない私の表情筋が悪い」
そうなのだ、昔からどうにも私は感情が顔に出ずらい節がある。実際のところは奈緒に抱き着かれるごとに少し恥ずかし気持ちになっているのだがやはり顔に出ていないようだ。
「えぇー? そんなことないよ? みゃーちゃんだってちゃんと顔に表情出てるよ?」
しかしどうやら奈緒には分かるらしい。
これがいわゆる幼馴染パワーなのだろうか。
「ほらー! 今だって不思議そうな顔してるもん!」
「えぇ? 私には全然変わってないように見えるけど?」
どうやら幼馴染パワーは偉大なようだ。
ん? と言うことは奈緒に抱き着かれるごとにドキドキしているということもバレているのでは…?
「……いや、まさかね」
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ。それよりもう昼休み終わるよ? そろそろ自分の席戻らないと次の授業、社会科の齋藤だよ?」
「あっやば!」
次の授業の担当教師を告げると奈緒は急いで自分の席へと戻って行った。
ちなみに麻那は私の後ろの席だ。
いやぁ社会科の斎藤ってめんどくさいんだよねぇだからみんなこの時間だけは真面目に授業に取り組むんだよね。
面倒な授業も順調に終わりに近づき今はやっと6時間目だ。担当教師の話を聞き流しながらふと教室内を見渡してみる。
いやぁ後ろの方の席だからクラスのみんなのことが見える見える。多分この席に変わってから観察する癖がついたかもしれないなぁ。
そんなことを考えながら教室内を見渡していると何人の生徒が何かを回してるみたいだ。
よく見てみると小さく折りたたまれた紙を回しているようだ。
「定番だねぇ」
後ろの麻那も気がついたようで小さく呟いていた。全くもってその通りだと思った。
でも一体誰に回してるんだろう?
そんなことを考えながら見ているとなんとその紙は奈緒の所へ回っていきそこで止まった。つまりあれは奈緒へ宛たものということだ。
「あれは奈緒に向けたものだったのかぁ
なんだろう?告白かな?」
後ろで麻那が再び呟いていたが、それこそ定番がすぎるだろうと私は思った。
しかしそれと同時に、もしそうだったらとなんだか少し不安な気持ちが湧いてきた。
いったいこのモヤモヤした気持ちがなにか、それに辿りつきそうになった瞬間、授業の終わりのチャイムがなった。
結局この気持ちがなんだか分からないままだがそのうち消えるだろうと考え、帰るために奈緒に声をかけた
「奈緒、帰ろう」
「あっ みゃーちゃん! ごめん今日ちょっと用事があって一緒に帰れそうにないの」
頭にふとさっきの麻那の言葉がよぎったが、下手な妄想をするのはよそうと思い頭を振って忘れることにした。
「そっか、 でもあんまり遅くならないようにするんだよ?」
「うん 用事が終わったらすぐ帰るよ
そしたらまたみゃーちゃん家にお邪魔するね?」
私と奈緒の家は両親が遅くまで仕事で帰ってこない為、奈緒が家にきてご飯を作ってくれるのだった。
「わかった待ってるよ」
「うん じゃあ、また後で」
今日は奈緒と帰らないとなると1人で帰ることになるのか。
いつもは奈緒と帰ってるから1人で帰るのは久しぶりな気がするな。
なんてことを考えながら玄関まで辿り着き靴を履き替えようとして、ふと教室に小説を忘れたことを思い出した。
ちょうどいい所で止まってるから帰って奈緒が来るまで読んでることにしよう。
「教室閉まってなきゃいいけど」
読みかけの小説の内容を思い返しながら来た道を戻っていく。教室のまで戻るとドアが空いてることに気がついた。
良かったまだ閉まってないみたい。
「…倉木さん! 俺と付き合ってください!」
教室に入ろうとして中から聞こえてきた声に驚き身体が止まる。
この声は確か同じクラスの速水くんかな?
それに今、聞こえてきた倉木という苗字は奈緒のものだ。つまり告白されているのは奈緒…?
そのことを認識した途端心臓が鼓動を早めた。そしてあの時のモヤモヤした気持ちが再び、しかもさっきよりもさらに強く湧き上がってきた。ここから立ち去りたいのに身体が動かないままで聞きたくないのに耳は奈緒がどう答えるのかを無常にも聞いてしまう。
「ありがとう」
「ッ!!」
その言葉に思わず息を飲む。
まるで足元が崩れ去ったような感覚に陥った。何も考えられなかった。
ただここには居たくなくて。これ以上奈緒の言葉を聞くのが辛くて私はその場から急いで立ち去った。
気がついた自宅の私室のベッドに横になっていた。何も考えられなかった。
ただいろんな感情が混ざってぐちゃぐちゃになっていた。この感情がいったいなんなのか考えようとした。
『ありがとう』
それと同時にさっきの奈緒の言葉を思い出してしまい泣いてしまいそうになった。
そして私は初めて自覚した。
「私…奈緒のこと好きだったんだ」
そんな自分の気持ちに蓋をするように、忘れてしまえるようにきつく目を瞑った。
どうだったでしょうか?
もう少し続くのですよ˙꒳˙)