思い出したくない思い出
「…やめろ…」
「え…?」
立花…あなたさえいなければ…あなたさえいなければぁぁぁ!
「ヤメロォォォ!」
ガンッガンッ!ガツッ!ドガッ!
俺は頭を抱えながらキッチンに脳天を打ち付け始めた。
「え…え…?」
「ア”ア”ア”ア”!」
(嫌だ…思い出したくない…それだけは…その言葉だけは…!その人はァァァ!)
◇ ◇ ◇
「うぅぅ…」
俺が目を覚ましたら周りは真っ暗になっていた……しかもベッドの上…俺の部屋だ…
「真白は…どこだ?」
「お兄ちゃん…」
トコトコ足音を立てながら俺の方へ駆け寄ってくる。
「す…すまない…」
「ごめんね…お兄ちゃん…わたし…何か…悪いこと…いったんでしょ?」
俺は真白の素直で純粋な心を垣間見えたと同時に罪悪感を感じた。
すべては俺が勝手に俺が暴れただけなのに…そして俺が…真白に何かも分からない罪の意識を植え付けたのか…それに結局…元をたどれば…すべて…すべて…
「…俺のせいだ…真白は…お前は…何も悪くない…」
俺は真白に背中を向けた。
「お兄ちゃん…」
◇ ◇ ◇
腹が減ってきた…今は…9時か…真夜中ではないが遅いな…だが腹の虫は鳴りやまん…
俺はのっそりと起き上がりキッチンへ向かう…
…地面に拭き取られた血の跡が…おでこに絆創膏が張られている…
申し訳ないな…真白には…
あれ?炊飯器…中身がある…真白が作ったのか!
俺は期待マックスで炊飯器を開封…
「え?」
す…少ない…?!ま…まさか…真白…が…食ったのか…!?
1.5合入れたはずが…大体0.2合ぐらいになってる…
まあ軽食だしそれぐらいでいいか。
俺は少ないごはんを茶碗につぎこむ。
真白…きっと食べるときは…美味しそうに食べるのかな~
俺は箸を握りごはんを口に運ぶ…
…!?…こ…これは…
べちゃべちゃしてるゥゥゥ…
た…確かに…思い返せば真白は炊飯器の使い方は知らない…それでもこの量を食ったのか?真白は…離乳食寸前の米を!?
まあとにかく…明日真白に炊飯器の使い方を教えよう…
◇ ◇ ◇
さて…寝るか…
俺はベッドの掛布団を剥ぐと…
…真白…丸まって寝てる姿が…寝顔が…可愛い…
危ない…さすがに同じベッドで寝るわけにはいかん、なんせ出会って1日も経っていない、早すぎる。
布団があるがやめておこう…床で寝るか…