誰にも見られない少女
俺は授業は真面目に取り組む質だ、だけど…
「?」
彼女のことが気になる…すぐ左にいるから全く授業が手につかない…!
「立ちっぱなしで疲れちゃった…」
(ま…まさか…俺のひ…)
などと思ってると彼女はその場に座り込んだ…残念。
でも…彼女が上目遣いで見るようになるから…すごく…いい…
(じー)
(じー)
み…見つめ合ってしまった…き…きれいだ…彼女の目が…エメラルドを真球に磨き上げたように緑に澄んだ目…「きれい」じゃなくて美しいといった方がいいかもしれない…
彼女の顔が赤くなってゆく…俺も顔が熱くなる…だけど彼女の目から目が離せない…
「お…お兄ちゃん…そんなに見ないで…恥ずかしいよ…」
目をそらされてしまった…でも…初めて見た彼女の赤く染まった顔は…俺はずっと記憶の片隅に置いておくだろう…
◇ ◇ ◇
それから少し後…
「そういえば…俺は瑞 立花…名前は?」
「え…えっと…えっとぉ……?…」
もしかしてこれは…思い出せないのか?
「お…お兄ちゃん…思い出せない…」
やっぱり…
「お兄ちゃん!私に…名前を付けて!」
…へ?
待ってくれ…これは予想外だ…
「早くぅ~!」
ええぇぇ!
彼女の無茶ぶりの前に俺は彼女の真っ白な肌と髪が目に留まる…
「そうだ!真白…真白でどうだ!」
「真白…すごく…いい名前…ありがとう…!」
その場で即席で考えた名前だけど!喜んでもらえた…!
その喜びと同時に…真白の笑顔が…眩しい…でも真白を困らせるわけにはいかないな…
俺は黒板に目を向ける…
(ノート…まったく書けてない…)
◇ ◇ ◇
下校中…
「…もしかして俺の家に来るのか!?」
別に嫌ではない…だけどずっと後ろからついてくるもんだからもしかして…
「そうだよ?」
ま…マジか…確かに…真白は俺の家以外居場所はどこにもないけど…だけど…会って初日で俺の家に…ってのは流石に心の準備が…!
◇ ◇ ◇
…あっという間にその時が来てしまった…
「ただいま~」
真白は靴を脱ぎ、とことこと足音を立てて玄関に上がってくる…
まあ…前向きに考えよう…真白と一緒に居られる時間が増える。と
俺も玄関から上がり、惰性で台所へ向かう。
そして予め用意した1合米に0.5合追加し米を研ぎ始めた。
「お兄ちゃん…ご飯を自分で作るの?」
「…あぁ」
「お母さんみたいだね」