呆然と生きる俺
俺は瑞 立花、高校生…初登校だ。
いきなりだが…外の空気を遠慮なく吸い時間を忘れながら歩き続ける…それが幸せと感じるのは俺だけだろうか…
いや…俺と、ごく一部の人だけかな…一時的に忘れられる出来事があるから…かな…
◇ ◇ ◇
HR…
「まあ…定番の自己紹介でもしてもらいますか…できたら特技とか…むりはしなくていいよ」
定番の自己紹介…そして俺の番がやってきた…
「俺は瑞 立花…です…」
一応俺は少しは特技は考えたが…得意なのはゲームぐらい、そんなことみんなの前で言うのは恥ずかしい…
◇ ◇ ◇
物置小屋…
やはり俺はこういう狭くて薄暗くて静かな所が好きだ落ち着ける場所だからな…
物音のしない部屋の中で…呆然と今を過ごす…時間を贅沢に使える幸せは今と言えるのは俺だけだろうか…
「むぅぅぅ…」
俺は目を瞑り、時間を忘れだす…
「むぅぅぅ…」
「むぅ?」
俺の右から寝息が聞こえるぞ…気のせいかな…?ここに俺以外いないはず…
俺は右に目をやると…
(か…可愛い…)
俺の目に映ったのは思わず見惚れてしまうほどのかわいらしく整った素顔…力があまりない俺でもおぶって歩き回れるぐらいの小さな体…そして…あまりにも近い…!しかも!俺の真横で…体重が俺の方によっている…!
「む…?」
あ…起きちゃった…
「お…おはよう…」
「え…?えぇぇぇ!」
これは…まさか…!
「違う!違うんだぁぁ!」
「わ…わたしが…見えてるの…?」
「…へ?」
てっきりビンタでもされると思いきや…意外ッ…だけど…
「「見えてるの…?」とは…どういうこと?」
「えっえ…えっとぉ…」
「お…落ち着いて…」
そんなこと言いながら俺も落ち着けてない…こんな可愛い子を前にはドキドキしてしまう…
「わ…わたし…透明人間なの!」
「…え?えっとぉ…?」
さすがにこれは…困惑して変なセリフを…?だけどそんなことを困惑してもそんなこと言う訳がない…なんて考えてると腕時計が俺の視界に入る…
「ヤバイ!もう授業時間だ!」
俺は教室に走り出す。
「ま…待ってぇぇ!」
◇ ◇ ◇
「すみません!遅れました!」
「おう、早くしてね~」
先生は俺の後ろにいる少女に見向きもせず教卓に上がる。
ほんとだ…彼女は気づいていない…本当に透明人間なんだ…
2月25日追筆
他にメインの作品があるためペースは遅めです。
申し訳ございません。