18
竜としての姿を見せ終わったのでサルバジオンまで帰ってきたのだが、フレイは気を張りすぎてかなり疲労しているようだ。残りの3人が気にしていなさすぎるのだとも思うがな。
「とりあえずディスターの事はわかった。フラガ様から遣わされた竜。ってことでいいんだな?」
「遣いではないが概ねその認識で問題ない」
「そうか、それにしてもわざわざ遣いを出されるなんてよっぽどの出来事が起きたのか?」
「魔人の動きが活発化していて困っていると言っていたな」
「フラガ様を悩ませるなど、僕が魔人を滅ぼしてやろうか」
「おいザルド落ち着けって。そんな簡単に済むわけないだろ?」
「ウィドの言うとおりだ。最近はバートハーの町に入ろうとする魔人も増えてきている。何か良からぬ企みをしているのかも知れない」
「つまりは我が知りたいのは魔人についてだ」
その後魔人と人間の現状を色々と聞くことができた。なんでもこの世界には大きな大陸が二つあって人間はそのうちの片方にすんでいたそうだ。そしてこの二つの大陸の間の海は巨大なサメが通ろうとした船を丸のみにしたり、でかいイカが船体ごと絞めて沈没させたり、止まることのない魚が船底にぶつかり穴を開けたりして、もうひとつの大陸に行くことが出来なかったらしい。
しかしあるとき海がダメなら空を行こうとした人間がおり、ついにもうひとつの大陸に渡ることに成功したのだそうだ。そこで出会ったのが今では魔人と呼ばれている人間たちだった。
最初はもうひとつの大陸にも人が住んでいる事が判明しただけだったのだが、交流が進むにつれ差異があることがわかってきた。
それが技法と魔法だったのだそうだ。そしてどちらが優れているかで争いがおき、今に至るとのことだった。
どちらも人間であることに変わりはないのだが区別をつけるために魔法を使う人間を魔人、技法を使う人間を技人と呼ぶようになったらしい。
その他にも色々とあるらしいが今日は色々あったのでまたの機会にしてもらった。そして我が宿も決まってないというと、サルバジオンの一室を貸してくれることになり、暫くはサルバジオンのギルド員として活動することになった。
この世界でわからぬこともまだまだある状況なのでこ、の申し出はありがたく、これを足掛かりに少しずつ学んでいくとしよう。