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神代勇人は雄染常態!  作者: 忍龍
序ノ口というか前菜というか、備えが無いから憂いまくり
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09

 『カミシロは異界人、目に見えて変化のある術らしい術を見たのはこれが初めてだろうから驚いたのだろう』



 そう言いつつ、やや錯乱気味の勇人青年の意識を取り戻させるようにして ぺちぺちと頬を打つ白装束の方は、その一方で彼の精神に直接語り掛けたのでございます



 (巫女たちはうら若き乙女、旅はけして短いものでも単純なものでもない、万一のことがあっては困る、彼女達を目にする者は皆、そなたが見た姿を見ることになろう)


 (えっ、いい年した男が巫女さんの衣装を窮屈そうに着て女言葉使ってる姿をかッ?!)


 (……言葉遣いや立ち居振る舞い含め五感総てを惑わす筈なのだがな、そなたは異界人ゆえに生物でない衣服や振る舞いにまでは術が及ばないだけだろう、問題ない)


 「いや問題ありだろありありありありッ!っていうか今聞き捨てならないこと言ったぞおい五感って何だ五感ってぇぇえええッ!!」


 『『『?!』』』


 『やはり魔物?!』


 『五感…幻惑…いえ、憑依系のものかもしれませんわね』


 『じょ、浄化をぜぇ…しなけりぇばひゅぅ…』


 『きゃんきゃんきゃん!!(お父ちゃんどうしたお父ちゃんどうしたお父ちゃんどうしたっ)』



 彼の更なる叫びに幼獣正宗は周囲を警戒して走り回り、巫女達はびくりとなって勇人青年を凝視なさいます



 『慌てるな巫女たちよ、術について言葉では説明し難いことを念話で伝えているだけだ、案ずることは無い』


 『まぁ、そうでしたの』


 『そうか、やはり理解できないものは脅威、使えなくても知っているのと知らないのでは雲泥の差、せっかくだからよく学ぶ』


 『あんしん…ひぃ…しましたぁ…ふぅ…げぇっふげふ!』


 (いらぬ心労を負わせぬよう能力自体に変化は無く、巫女たち自身はその効果を受けず違和感も感じぬ、総ての者がその姿について彼女たちに伝えることはできない)


 「いや自覚ないのはまずいだろそれぇえええ?!」


 『さて巫女たちよ、ざっくりと一般認識程度には伝えた、あとは旅で慣れていくことだろう、役目を果たし、無事帰還するよう祈っている』


 『必ず』



 叫ぶ勇人青年を軽く無視して彼女達を見送る白装束の方に巫女プラウが応えると、他の巫女たちもそれに頷きなさいました



 『では行って参りますわ』



 巫女プラウが力強くそう発言すると、勇人青年は足が地面を離れたかと思った瞬間にはぐるりと向きを変え、彼らは風になったのでございます


 ……いえ、風のように走り出したのでございます



 「ちょ、ま、ぎゃ、ぎゃぁぁあああアアア゛ア゛ア゛ッ!!」



 そーらだって飛べるさ~というよりは寧ろ生きる者として越えてはならない一線を越え天に召されそうな勢いで、集団の信者が奉仕活動の為に護衛を雇い夜営をしながら身体を慣らしつつ一週間掛けて登る険しい参道を彼らは、いえ、彼をはためかせて巫女たちは文字通り駆け下りたのでございます


 途中現れる魔物の姿にもその速度は緩むことなく炎を纏った拳でなぶり、その体内で凍りついた体液が肉体を内部から突き破り、風の刃で粉微塵に切り刻み、鋭い犬歯で喰い千切り、けして足が止ることはございません



 「ぎゃぁぁぁあああなんかいる!なんかいる!なんかいる!むりむりむりむりしぬしぬしぬしぬぃぎぁぁアアアッッ!!(※ドップラー効果)」



 こうして気付かぬうちに高山病の脅威を回避した勇人青年と巫女らは風に!……なれるかどうかは兎も角として俺たちの冒険はまだまだこれからだ!…ということになったのでございます

※巫女アプスがぜぇぜぇ虫の息なのは言葉遣いとは別です


※というワケで体調が悪くなったような気がしたのは高山病の症状でした、勇人青年は極度の緊張のため症状が訪れるのが遅かったようですがそれも時間の問題でした、聞くところによると高山病の特効薬は素早い下山だそうです、早期対処できて良かったNE☆

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