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一話完結の気まま更新  作者: 冬野灯
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若返りの薬

グロイものが苦手な方は、読まない方がいいかもしれません。


 レドは齢70の老いぼれだ。しかしどういう訳か、二十歳の妻を手に入れた。

その女は若々しく、透き通るような雪白の肌と腰まで伸びた艶やかな黒髪、色っぽい瞳と紅い唇の、妖艶な女だった。

レドは一目でこの女を欲した。手を尽くしてやっとこさ手に入れた。





 レドはその女にたいそう入れ込んだ。

女の欲しいものは何でも買い与え、夜になれば身体中を浅ましく貪った。


レドは女と身体を重ねるたびに、己のしわくちゃの手が気に入らなくなっていった。

女が他の若い男に連れ去られるのではないかと恐れてもいた。


レドは十年来の付き合いになる老いた男に連絡を取った。

妻を連れ立ち、天才科学者と謳われるその男の研究室へ訪ねた。


「ソラ、私の妻は見ての通り美しい」

「その通りだ。美しい」

「だからこそ己の老いていく身体がみじめで仕方がない」

「老いとは避けられないものだ」

「若返りの薬を作ってくれないか。成功したならば、私の全財産を君に与えようではないか」


ソラはその日から若返りの研究に没頭した。

ソラの元へは毎月、使いきれないほどの研究費用が機関から舞い込んでくる。ゆえに金は有り余っていた。

ソラは金など必要なかった。





 5年後、若返りの薬は完成した。

ソラがレドに連絡を取ると、レドはすぐに研究室へやってきた。


「薬が完成したというのは本当か」

「完成だ。正真正銘 若返りの薬だ」

「では頂こう」

レドはフラスコに入っていた鮮やかな桃色の液体を喉に流し込んだ。


すると体中が淡い桃色に発光し、手の皺は消え 少なくなった髪は生え 肌がみずみずしさを取り戻していった。

「これはすごい!」

レドは絶賛して己の全身を鏡に映した。鏡の中の自分がどんどん、どんどん、どんどんと若返り、気づけば幼い子供になっていた。

「とめろ! とめてくれ!!」

桃色の光は収まらない。レドは半狂乱で自身の喉に柔い手を突っ込んだ。

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっごごぐごおおおおおおおお」

幼児のレドは自身の喉の奥を、紅葉のような手で掻き毟り液体を吐きだそうとした。

されど指先には胃液の臭いのする黄色い液体が付着し爪の間には赤い身が挟まるだけだった。


レドは目を血走らせソラに助けを求めるように汚い手を伸ばすが、ソラは顔色を変えることもなくレドを見下ろしているだけだった。

レドの腹からへその緒が出てきて胎盤の中に飲み込まれていく。みるみるうちに小さくなり、しまいには目視できなくなってしまった。


ソラは鏡の前に歩を進める。足の裏でぷちっと小さな音が鳴った。

「受精卵にまで戻ってしまったか。しかし若返りは成功だ。夫を亡くした哀れな女は、私が面倒を見ることとしよう」





 レドの妻だった女は、ソラの妻になった。

ソラは一目見た時から欲した女をようやく手に入れた。

女の欲しいものは何でも買い与え、夜になれば身体中を浅ましく貪った。


ソラは女の身体を撫でまわすたびに、己のしわくちゃの手が気に入らなくなっていった。

女が他の若い男に連れ去られるのではないかと恐れもした。


ソラは少し残っていた鮮やかな桃色の液体を手に取った。

己で作ったものであるから、分量は分かっていた。一口飲むだけで二十歳に戻れると分かっていた。

フラスコを口へ傾ける。

女がソラにしなだれかかって呟いた。

「私も若返りたいわ」

女は三十歳になっていた。

「それならば」

分量を伝えようとした時、女がフラスコの中の液体を全て口に含み、ソラの口へ流し込んだ。

飲み込んでしまったソラは発狂し、近くにあったボールペンで己の胃を突き破った。シャツが赤黒い血に濡れ体に張り付き、ソラは床に倒れ込んだ。

己の小さな手足が目と鼻の先にあるのを見てトチ狂った笑い声をあげた。それは赤子の鳴き声のようだった。


ソラは胎盤に包まれ、赤い膜を突き破ろうと暴れたが鋭い爪もなくなり目も退化してまたたく間に分解されていく。やがて人の形も失われた。

女が何気なく動かしたヒールの底で、ソラだったものが ぷちっと極々小さな音をたてた。


女は二十歳に若返っていた。棚の下から桃色の液体で満たされている瓶を取り出すと、唇に残った少量の液体を服のスソで拭った。


「たったこれだけで十歳も若返るのね。レドとソラの財産があれば一生遊んで暮らせるわ。

また十年経ったら、何度でも口にすればいい。あは、私は不老不死を手に入れたのよ!! 

ふふふふふあっははははっははははあえっはひゃひゃぎゃはあはうあはははっはっはっは」

ちゃんとグロかったでしょうか。

物足りない、こんなの全然余裕という方、……いらっしゃるでしょうね。

ならばもっと頑張らせていただきます!

ジャンル問わず、いろいろ練習しつつ、文章力向上を目指します。

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