鋏
「さよなら。」
呟いた言葉は風に飛ばされて
君に届いた
たったそれだけの言葉で
君は壊れてしまった
驚くほどに 変わってしまった
変わったのは君だけではなかった
僕も変わってしまった
刺すような氷の視線 君は気づいていた
君の苦しみを
文字にして送ってきた
迷惑だった でも 読んだ
僕の心も壊れてしまった
不安と歪みが僕を襲った
涙が止まらなかった
ごめんね ごめんね
全部僕が悪いんだ
僕のせいで こうなってしまった
わかってる
でも 全て遅いんだ
あの人を好きになり
ついていくと決めた
代償はとても大きい 覚悟してる
もう 蝶になるのはやめたんだ
人になるんだ
わずかな時間で快感を手に入れた
その時間だけは君を忘れられることができた
もう 連絡はとらないよ
このままだと 僕らはさらに
壊れてしまう
ごめんね ごめんね
僕が悪いんだ
ごめんね