ひと文字足りない Xmas
彼からのメールは言葉の無い、辺り一面の雪景色。
――まあ! ホントに雪国のようですのね。夢見るホワイトクリスマス……。
――なーんちゃってね。へへ。
心の中だけの返信メール。
私が昨日夕刻、外出先のお店から家へ戻ろうと軒先へ出たときのこと。
目には見えない細かい雨粒が頬に冷たく突き刺さり、歩き始めた靴底がキュキュッと滑りました。
雪になれずに迷っている一瞬のミゾレ雨だったのかもしれません。
――あれ? さては、雨に心を見透かされたかなぁ……。
屋内の床暖房の上で大の字になって、「お外」の寒さつゆ知らず、っていう感じの愛猫「みー」を心に浮かべながら、私は家路を急ぎます。
前の日、私一人だけのクリスマスパーティーに参加できなかった可哀そうな「みー」。
――今日はね。パーティのやり直し。今度はそう、「あなた」と一緒よ……。
猫専用の甘くない「ササミのすり身ケーキ」を持つ私の手は、手袋を忘れて少しだけかじかんでいました。