#64 桜並木の錯覚(三)
それは表面を銀メッキで染めた一輪の花びらの形をしている。見た目よりも少し重さを感じることより、何かしらの金属で出来ているのは確かなのだろう。そんなブローチを手にしたリーゼは不思議そうな表情でそれを見つめている。そして彼女はそのブローチが象る花について質問を口にしたのだった。
「これは桜の花ですか? 私はあまりお花について詳しくないので、よく分かりません。でも場所が場所なだけに、そう感じてしまうのですが」
まるで幼子の様な無垢な瞳でリーゼは首を傾げている。彼女は純粋にブローチの象る花びらの正体を知りたいのだろう。唐突にブローチを手渡された戸惑いよりも、それを知りたいという好奇心の方が勝っているだけなのかも知れないが。そしてそんなリーゼを前に、アメリアは穏やかに微笑みながら返答した。
「そうね。分からないのは無理もないよね。少しくらい花に詳しい人だって、パッと見は案外間違ったりするくらいだし。じゃぁ正解。それはね、桜の花じゃなくて【桃の花】の形をしているんだよ」
「桃の花……ですか。でも見た目には桜とあまり変わりませんね」
「そうだね。実際の桃の花も桜と同じでピンク色してるし、花が咲く時期もだいたい同じだから、結構間違う人が多いんだよね。でも良く見比べると、花先の形が違うから分かると思うよ」
アメリアにそう告げられたリーゼは、手にしたブローチと周囲に咲く桜の花を見比べる。確かにアメリアの言う通り、花びらの先の形が少々異なるようだ。桜の花びらはその先が二つに割れているのに対し、ブローチの桃の花はやや尖った形をしている。実際に桃の花など注意深く見た事が無いリーゼであったが、それでも彼女は納得のいく表情をアメリアに向けた。ただリーゼのその顔つきは僅かばかりの影を落とす。正直な所、やはり彼女は戸惑っていたのだ。突然手渡されたこのブローチの意味をどう捉えればいいのかと。するとそんな困った雰囲気を醸し出すリーゼに対し、アメリアは浮かべた微笑を絶やさぬまま、その理由を告げたのだった。
「突然そんな物渡されちゃって困っちゃったかな。でももしリーゼがそれを気に入ってくれたなら、貰ってくれると嬉しいんだけどな」
「これを、私に?」
リーゼは綺麗な目を丸くして首を傾げる。するとアメリアは小さく笑いながら話しを続けた。
「フフッ。よく見ると、なんだかリーゼって小動物みたいな顔してるよね。普段は女神様みたく綺麗なのに、ちょっとした表情とか仕草が可愛らしいんだよね。フフフッ」
「ちょっとアメリア。バカにしてるのですか」
「ごめんごめん。そんなつもりは無いよ。ただあまりにもリーゼの困った顔が可愛かったから、ちょっとからかいたくなっただけだよ。ホントにごめんね」
アメリアは込み上げてくる笑いを必死に堪えている。そしてそんな彼女をリーゼは頬を膨らませてキツく睨み付けた。ただリーゼは直ぐにその表情を真剣なものに変えると、アメリアに向かい真面目に問い掛けたのだった。
「このブローチをどうして私に渡したのです? その理由を教えて下さい」
リーゼは訴え掛ける様な目つきでアメリアを見つめる。それでもやはり彼女の美しさは特別なものなのだろう。アメリアは迫られたリーゼに気恥ずかしさを覚えて顔を赤らめる。そして観念するかの様に、彼女はその理由を口にしたのだった。
「そのブローチはね、何年か前にお父さんが調査しに行った【プトレマイオス遺跡】で見つけた物なの。詳しい事は教えてもらってないんだけど、どうやら地下深くに埋まってた神殿のような場所でそれを見つけたんだって」
「プトレマイオス遺跡って、確かパーシヴァルとアダムズの国境にあるっていう、ルーゼニア教で女神が建てたって言われている遺跡ですよね」
「うん、そうみたい。私はルーゼニア教の信者じゃないし、言い伝えみたいなものにも興味が無いからよく知らないんだけどね。ただね、一つだけ自信を持って言える事があるの。それはね――」
アメリアはリーゼが手に持つブローチを指差す。そしてリーゼの目をしっかり見つめながらこう告げた。
「そのブローチにはね、悪いものを跳ね除ける不思議な力があるのよ。よく分かんないけど、リーゼが何かに怯えて苦しんでるっていうのは本当でしょ。だからね、お守りとしてそれを受け取ってほしいんだ」
「悪いものを跳ね除ける力……。まさかアメリア、ご冗談を仰ってるわけじゃありませんよね?」
「もちろん嘘じゃないよ。信じられないかも知れないけど、本当にそのブローチには不思議な力があるんだよ。だってね、実は私、小さい頃は体が弱くていつも風邪を引いていたの。そして高熱が出る度に、決まって魘されてたんだ。空に浮かぶ雲を突き抜けるくらいの巨人に襲われる悪夢にね。でもお父さんがそのブローチを私にプレゼントしてからというもの、一度もあの悪夢を見た事が無いの。それどころか嘘みたいに風邪引かなくなって、体も見ての通り丈夫になったんだ。それってそのブローチのお蔭なんだと思わない」
そう告げたアメリアは得意げに一人頷く。本当はこの小さなブローチに悪夢を振り払うだけの神秘的な力が備わっているなんて思えるわけがない。それまで病弱だった体は、成長するにつれて健康な体調を保つことが出来るようになっただけなのだろう。ただちょうどその時期に重なって、ハーシェルは手土産としてブローチを持ち帰っただけなのである。正直な気持ちとして、アメリアはそう思っていた。でも不確かながら、そのブローチからは心強い【何か】を感じたことがある。それも一度や二度ではない。数えきれないほどにブローチからは、心が熱くなるほどの勇気付けられる感覚が確かに伝わって来たのだ。
このブローチに不思議な力が宿っているなんて言えるわけがない。でも不思議な力が無いとも断言出来やしない。だから彼女は後者を信じたのだ。そして何かに苦しむリーゼを前にし、それを贈ろうと素直に感じた。きっとアメリアはリーゼの中で、懸命に何かに縋ろうとする脆弱さを感じ取ったのだろう。リーゼの不安を僅かでも減らせないかと考えたのだろう。幼き日に悪夢に苦しんだ自分自身と重ね合わせる様にして。ただブローチを手にするリーゼの表情は優れない。彼女はアメリアの気遣いを嬉しく思いながらも、しかしその反面として遣り切れなさも感じていたのだった。
「アメリア。あなたの気持ちは本当に嬉しいです。でも私を不憫だと思う同情や憐みなら、申し訳ありませんが受け取る事は出来ません」
そう告げたリーゼはアメリアにブローチを返そうとする。本当は心から嬉しいはず。だってこんなにも温かい気持ちの込められた贈り物なんて、今まで貰ったことがないのだから。それでも彼女には素直にそれを受け入れられなかった。だって気が動転していたとはいえ、自分はアメリアに対して酷い言葉を投げつけてしまったのだ。自分の鬱屈した心情を晴らしたい為だけに。ただそんなリーゼにアメリアは少し寂しそうにしながら言う。
「高価なものじゃないし、よく見ると傷だらけだしね。やっぱりリーゼには似合わないよね」
「そ、そんな事ありません。すごく素敵なブローチだと思います。でも、私には頂けません」
リーゼは奥歯を強く噛みしめながら立ち尽くしている。恐らく彼女はアメリアの純粋な優しさが理解出来ているのだろう。そんな優しさが嬉しくて堪らないのであろう。でもだからこそ、リーゼは悩んでいるのだ。自分勝手な暴言を口にした私が、こんな穏やかな優しさを受け入れてもいいのだろうかと。ただそんなリーゼの影を落とした心の中に、アメリアはすっと入り込む。彼女は差し出されたリーゼの手をブローチごと優しく握りしめると、ニッコリと微笑みながら告げたのだった。
「気に入ってくれたなら受け取って。気休めにしかならないかも知れないけど、きっとこのブローチがあなたを救ってくれるって信じてるから。だからお願い。受け取って」
「で、でも本当に不思議な力があるんだったら、尚更あなたが持っていた方がいいはず。だってこれはお守りなんでしょ。きっとお父様はあなたの為を想って、これを遺跡からもってきたのよ。やっぱり私には頂けないわ」
「正直に言って。本当は気に入らないの?」
「そ、そんな事は絶対にありません。だって、このブローチはすごく温かいんですもの」
「なら決まりね。今からこのブローチはリーゼのもの」
「ダメです。そんなの勝手です。私にはこれを頂く資格なんてありませんから」
リーゼはアメリアが思う以上に強情な性格らしい。しかしアメリアとて引き下がる性格ではない。ただここで言い争ったとしても水掛け論であり、問題は解決しないだろう。そう考えたアメリアは少しだけ思い悩む。ただ彼女は直ぐに良い考えを思い付き、一つの提案を出したのだった。
「だったらこうしようよ。このブローチをリーゼに貸してあげる。これならどう?」
「それもダメです。アメリアとはこれっきり会えないかも知れないし、それでは結果的にブローチを頂いているのと変わりません」
「それだよ。もう二度と会えない。そんな事、今考えるなんておかしいよ。だって私達まだ子供なんだよ。これからずっと長い人生を生きていくんだよ。もう会えないなんて考えるのはダメだよ。だから次に出会う時までブローチを大切にしていてほしいの。絶対にまた会えると信じて。そうすればまたいつかきっと会えると思うし、少なくとも私はそう信じられる。だからお願い――」
今度はアメリアの方が真剣な眼差しでリーゼを見つめた。その瞳の奥には強い願いが込められているのが分かる。きっとアメリアも感覚として理解しているのだ。この先再びリーゼと会う可能性は極めて低いはずだと。でもだからこそ彼女は信じたいのだ。たとえごく僅かであったとしても、再会できる可能性は決してゼロなんかじゃないのだと。そしてその気持ちにリーゼの心は大きく揺れる。それもそのはず。リーゼにとってもまた、その僅かな希望に懸けたいと強く願っているのだ。そしてそんな彼女の肩にそっと手を添えたアメリアは、小さく呟く様に問うた。
「次に出会うその時まで、ブローチを持っててくれないかな?」
これでも拒否されたのならば引き下がるしかない。アメリアはそう思っていた。ただその時、またも彼女とリーゼの間に強い風が吹き抜ける。だがその風はそれまでに感じた冷たいものとは違い、どことなく柔らかいものであった。まるで思い悩むリーゼの背中を優しく押すかの様に。そしてリーゼは声を絞り出すように告げる。潤ませたエメラルドグリーンの瞳をアメリアに向けて。
「本当に、このブローチを預かっても宜しいのですか?」
その問い掛けにアメリアは満面の笑みを浮かべて頷く。そしてリーゼの手を両手で握りしめながら言った。
「もちろんよ。だってこのブローチは私とリーゼの友達の証しなんだから。それにこれを持っていれば、いつまでも私の事、忘れないでしょ!」
アメリアの言葉に、それまで影を落としていた心がすっきりと晴れ渡ったのだろう。リーゼはかつて無いほどに美しい笑顔を浮かべた。
少なからず彼女には同年代の友人がいる。でもそれらの友人達と本音を語り合った事があったかと問われたなら、それは否定せざるを得ないのが事実だ。だが初対面であり、たった半日余りを共に過ごしたアメリアに対してリーゼはありのままを吐き出した。それも剥き出しの狂気とも言える暗い部分まで露わにしてしまったのだ。でもアメリアは戸惑いつつもそれを受け入れ、かつ本心から心配してくれた。リーゼにはそれが嬉しかったのだ。心から幸せを感じたのだ。だってこれこそが本当の意味で【親友】と呼べる相手なんじゃないのかと思えたから。
リーゼの目から大粒の涙が流れ落ちる。でもそれは嬉し涙に他ならず、それを見るアメリアにもその心地良さは確実に伝わっていた。そしてアメリアはそんな温かい涙を流すリーゼの手を優しく掴み直すと、笑顔のまま言った。
「さぁ帰ろう。でもその前にもう一つだけリーゼに見せたい場所があるから、ちょっとだけ目をつむっててくれないかな。大丈夫、すぐそこだから」
うんと頷いたリーゼはアメリアに従い目を閉じる。そして二人はゆっくりと歩き出し、桜に囲まれた丘の上の墓地を後にした。
時間にして僅か5分と言ったところか。かなりゆっくり歩いた事より、あの墓地からはそれほど離れていないはず。ただその場所で立ち止まったアメリアは、言いつけ通りに目を閉じているリーゼに言った。
「もういいよ。目を開けて」
「!」
リーゼはゆっくりと目を開けた。でもそれと同時に彼女は思わず声を失ったのだ。あまりにも綺麗なその光景に目を奪われて。
そこには真っ直ぐに延びる一本の坂道が丘の麓まで続いていた。そしてその長い下り坂の両側には満開の桜並木が延々と咲き誇っていたのだ。まるで桜で出来たトンネルの様に。
アメリアとリーゼは手を繋ぎながらその桜並木を行く。頭上を見上げれば桜の隙間より夜空の星々の輝きが見え、とても幻想的な空間を催している。本当にここは現実の世界なのだろうか。あまりにもファンタスティックな光景にリーゼは未だ声を失ったままだ。そしてそんな彼女の傍らで、アメリアは得意げにニヤニヤしながら言った。
「どう、驚いたでしょ。ここは私が知ってる中で、一番最高な場所なんだよ」
時折吹き抜ける風が桜を揺らす度に、目の前に広がるピンク色の宇宙はその表情を変える。そんな神秘的な場景に目を輝かせるリーゼは、頭上を見上げたままアメリアに返した。
「本当に凄いです。どこか不思議の国にでも迷い込んでしまったかのよう……。私、こんなにも綺麗な光景見た事ありません。本当に驚きましたし、とても感動しています」
「良かった、喜んでもらえて。でもね、実は初めからこの桜並木をリーゼに見せたかったんだ。だからおじいちゃんのお墓に寄ったのは、変な言い方だけど物の序でだっただけなんだよね」
「え、どういう事です? この桜並木を見せたいのなら、丘を登る時にこの道を通れば済むじゃないですか」
訝しく感じたリーゼは疑問を尋ねる。するとアメリアはそれに対して丁寧に説明したのだった。
「そう簡単にはいかないのよ。私達がいるこの丘はね、地元の人達からは【磁石の丘】って呼ばれてるの。何でそんな変な名前なのかは知らないけど、でもね、この丘には一つだけ暗黙のルールがあるんだよ」
「暗黙のルール?」
「そう。これは地元の習わしなんだけどね、この磁石の丘は登りと下りで道が決まってるの。丘を登るには曲がりくねった坂道を、そして降りる時にはこの一本道を通れってね。どうしてそんな決まりがあるのかは分からないし、別にそれを破ったからって罰せられるわけでもない。でもなぜだか地元の人達はこうして道を分けて丘を登り降りしてるんだ」
「そうなんだ。だからハップルさんのお墓に寄ったのね。納得しました」
リーゼはそう言いながら頷き、アメリアに理解を示した。登りと下りで道が異なる山や丘など、世の中にはそれなりに存在するものであり、別段に疑問を覚えるほどでもない。だからリーゼは気持ちを切り替え、美しい桜並木の道を目に焼き付けようと意識を集中させた。ただそこで彼女は奇妙な感覚に陥る。真っ直ぐな下り坂を歩んでいるのは確かなはずなのに、どういうわけか坂道を登っている様な気分になってしまうのだ。そしてリーゼはアメリアに向けて、その戸惑う心情を素直に告げた。
「私達は今、丘を下っているのですよね。でも不思議です。私には何故か坂道を登っている様に感じられます」
「フフッ。そうなんだよね。私はもう慣れたから、あまり感じなくなっちゃったんだけど、小さい頃は今のリーゼと同じで変な感覚を感じてたんだ。お父さんが言うには、この坂道が真っ直ぐ過ぎるから目が錯覚してるんだろうって事なんだけね。そう言えばまだ私がすっごく小さい頃なんだけど、この坂の上からボールを転がしたこ事があったの。そしたらそのボール、どうなったと思う?」
「それはもちろん転がって坂道を下って行くはずですが」
「ブブー。残念でした。その逆でね、ボールは坂を上って行ったんだ」
「うそっ! そんなの有り得ません」
少し怒った表情でリーゼはアメリアに詰め寄る。するとアメリアは笑いながらその時の状況を告げた。
「ごめん。そんなにムキにならないでよ。でもね、本当にあの時はボールが坂を上って行く様に見えたのよ」
「どういう事ですか?」
「うん。当然だけどボールはこの坂道を転がって下って行ったの。でも不思議な事にね、私の目にはボールが坂を【上っている】ように見えたんだ。それも転がれば転がるほどスピードを上げて坂を上っていくのよ。たぶんあれは今のリーゼと同じで坂を上ってる感覚になってたんだと思う。だからボールが独りでに坂を上っている様に見えたんだろうね。でも本当にあの時はビックリしたんだから」
アメリアは当時を思い出し、目を丸くしながらそう告げた。そしてその不思議な体験にリーゼも察しがついたのであろう。今まさに彼女自身がそんな奇妙な錯覚の中に身を投じているのだから。すると目を合わせた二人は笑い出す。きっと幻想的で不思議感溢れるこの空間が、二人の気持ちを柔和に癒したのだ。神秘的とも言える物珍しい感覚を二人で共有出来た為に。
夜の桜並木に少女達の笑い声が響いていく。それはとても嬉しくて喜ばしい、温かい笑い声であった。だがその時、そんな二人の笑い声とは真逆の冷たい微笑が地を這うように投げ掛けられたのだった。
嫌悪感漂う笑い声。それは卑しくて嫉ましい、悪意に満ちたものであった。そしてその気色の悪い声にアメリアとリーゼはゾッと身を強張らせる。するとそんな彼女たちの目の前に、それらは不敵な笑みを浮かべて姿を現したのだった。
アメリア達の行く手を遮るように現れた人影は3つ。それら全てが男性であるのは間違いなく、その狙いが彼女達である事も間違いではない。ただそんな男達の顔を見たアメリアは思う。こいつらは地元の者ではないと。ではなぜ日の暮れたこんな場所によそ者がいるのだろうか。花見だというのなら納得も出来るだろうが、しかし男達の眼中に桜など映っていないのは明白である。ならば目的は一つ。少女らへの乱暴目的というのが妥当であろう。ただそこでアメリアの背中に尋常でないほどの悪寒が走る。彼女は直感として察したのだ。男達の目的はリーゼなんじゃないのかと。
ボーデの町から乗って来たバスに怪しい者の姿は見当たらなかった。それに集落のバス停に着いた時には、顔見知りの地元民が数名乗車していただけなのである。だったらこの男達はどうやってこの場所に来たのであろうか。それは当然の事ながら、自分達が運転する車で来たのだろう。そして人気の無いこの場所でアメリア達を待ち伏せしていた。
ならばどうして男達はわざわざ車でアメリア達をつけたのであろうか。単なる乱暴目的であれば、数時間も掛けてこんな場所まで来ることもないだろう。という事は、時間や労力を懸ける価値がここにあるというのが理由のはず。もちろんアメリア自身にそんな心当たりがあるはずもない。だがその傍らにいるリーゼは違う。誰がどう見たって、彼女が特別な存在であろう事は容易に察する事が出来るのだ。そしてそんなアメリアの嫌な予感は男達の会話より確信に変わる。彼女は意図的にリーゼを背後に庇いながら、その拳を硬く握った。
「クククッ。ボーデの町で見かけた時はまさかと思ったけど、やっぱ本物みたいだな」
「あぁ、まったくだ。北の教会なんぞ田舎くせぇとこにパシらされてムカついてたけど、こいつは超ラッキーじゃん。ヒヒッ」
やや頭部の薄い痩せ形の男と背を少し丸めた姿勢の悪い男がせせら笑いながら話す。特に姿勢の悪い男は目の下に濃い隈を浮かび上がらせており、その薄気味悪さは吐き気を覚えるほどだ。ただその後方に佇む恰幅のよい男だけは沈黙を通している。
アメリアはリーゼを背にしながらジリジリと後退した。そして切迫した状況の中でアメリアは必死に考えを巡らせる。どうすればいいの――と。しかしこの場を切り抜けるだけの良案など簡単に思いつくわけもない。彼女の精神状態はパニックに陥る一歩手前のところにあるのだ。それでもアメリアは必死に考える。背中より伝わるリーゼの震えが、彼女の折れそうになる気持ちをギリギリのところで繋ぎ止めていたのだった。
周囲に邪魔な存在がいないからこそ、男達は姿を現したのだ。それゆえに大声で助けを呼んだとしても、恐らく助けは来ないだろう。それにここから一番近い民家までは1キロほどある。リーゼを連れ、かつ大の男3人を振り切ってそこまで駆けるのは現実的ではない。アメリアの額から大粒の汗が流れ落ちる。そしてそんな彼女らを嘲笑うかの様に、男達は話しを続けた。
「イッヒヒッ。ビビってる女の子っていうのも萌えるモンだな。なんだかこっちまでゾクゾクしてくるぜ」
「ケッ、見境のねぇ奴だなお前。これだからロリは嫌なんだよ。先に釘を刺しとくが、今回はお前の悪趣味に付き合ってられねぇんだ。疵物にしちまったら逆にこっちが殺されちまうからな。でもこのまま連れて帰ればボーナスアップは間違いないはずだし、上手く行けば昇進も有り得るぜ」
「ほぉ~。そいつは嬉しい限りだね。でも綺麗な姿で連れてくのはニット帽の方だけでいいんだよな? ならもう一人は何しても構わないんだろ、ヒヒッ」
「テメェ本当に物好きだな。でも時間無いんだ。グズグズはしてらんねぇぞ」
「分かってるって、時間は取らせねぇよ。それにな、利用できるモンはハナから使った方が、物事はスムーズに進むモンだぜ」
そう告げた姿勢の悪い男はスッと前に進み出る。そしてまったく足音がしない奇妙な歩行術でアメリアの目前に立ち止まった。男は不敵な笑みを浮かべてアメリアを見つめる。その卑しい笑い顔は目の下の隈のせいで、より一層不気味さを増した。
そんな男を前に、身の竦むアメリアは動くことが出来ない。それでも彼女は懸命に抵抗を試みる。このままでは取り返しのつかない事態に成り兼ねない。そう考えた彼女は覚悟を決めて、男達に向け荒げた声を飛ばしたのだった。
「あんた達キモいのよ! ホント冗談は顔だけにしといてよね!」
そう言うなりアメリアは男に向かって全力で踏み込む。彼女は思いきり男を突き飛ばし、それを合図にリーゼの手を引いて逃げ出そうとしたのだ。しかし彼女の視界は回る。アメリアが男を突き飛ばそうとしたそれよりも早く、彼女の腹に男の拳が捻じ込まれたのだった。
膝を付き、ひれ伏す形で倒れ込むアメリア。恐らく彼女は自分が何をされたのか把握出来てはいまい。どうして自分は地面に這いつくばっているのだろうかと、驚くことで精一杯なのだ。それでも遅れて到着する腹部の鈍痛に表情が歪む。そしてそんなアメリアの耳飛び込んで来たのは、リーゼの懸命な抵抗の叫びであった。
「やめて! 私の友達に酷い事をしないで!」
リーゼの心は尋常でない恐怖で塗りつぶされている事であろう。それでも彼女は必死に声を上げた。目の前で激痛に苦しむアメリアを救いたいが為に。
「あなた達は何者ですか! 一体何が目的でこんな酷い事をするのですか! こんな非道な行為、許しませんよ!」
眼光を鋭くしてリーゼは男を睨む。しかしそんな彼女を蔑むよう隈の男は口元を緩めた。そして次に男はサッと腰を屈めると、倒れているアメリアの髪の毛を無造作に握りしめた。
「ううっ」
強引に髪を持ち上げられたアメリアは呻き声を上げる。男の膝で腰を抑え込まれている為に、彼女の体勢はえび反りにならざるを得ない。それでもアメリアはどうにか男の手を外そうと死に物狂いで足掻く。だが腹部の痛みと息苦しさで腕に力が入らず、状況を改善するには至らなかった。
「やめなさい! それ以上は本当に許しませんよ!」
「どう許さないって言うんだい、お嬢ちゃん。ぜひ教えてもらいたいね。でもまぁ、どうしてもやめてほしいって言うんなら、大人しく俺達の言う事を聞くこったな」
リーゼの悲痛な叫びを一蹴した隈の男は、さらに強く腕に力を入れてアメリアの髪を引き上げる。そして苦痛に悶えるアメリアをあえてリーゼに見せつける様にしながら、男は楽しそうに呟いたのだった。
「どうする、お嬢ちゃん? 素直に俺達についてくるか、それとも足掻くだけ足掻いて拉致られるか。早く決めないと、お嬢ちゃんの目の前でこの小娘がどんどん弄られていくぜ。ヒヒッ」
「おうおう、やっぱひでぇ奴だなお前は。どっちみちお嬢様を連れて行く事に変わりねぇじゃねえかよ。それにしても在り来たりな言葉過ぎて笑えてくるぜ。B級ドラマの見過ぎなんじゃねぇの、お前」
「うるせぇぞハゲ。これは俺の頭脳プレーなんだ。テメェはそっちのデブと一緒に黙ってろ」
「なんだと、この狸野郎が! ケンカ売ってんのか!」
「これだからマジでバカは嫌いなんだよ。分からねぇのか? こういうお嬢ちゃんはな、自分が何をされようと絶対に俺達の言う事なんか聞きやしねぇんだ。でもな、大切な家族とかダチなんかが自分のせいで犠牲になっているとしたら、意地なんて張ってられねぇんだよ。分かったか!」
隈の男はそう吐き捨てるなりアメリアの髪を再度強く引き上げる。そして更に男はアメリアの服の胸元を掴むと、それを強引に引き千切った。
「バリバリッ!」
「やめてっ」
アメリアの白い肩が露わになる。それを見たリーゼは涙を流して静止を願うしかなかった。そしてそんな二人に隈の男は気味悪く微笑んでいる。まさに今の状況を満喫しているのだろう。それに一時言い争いを始めた男達の会話を聞く限り、この隈の男は意外にも頭がきれる様だ。と言うよりも、むしろ他の二人を上手くコントロールするリーダー的な役割を担う存在なのだろう。他の二人がそれを認めているかどうかは疑問ではあるが。
「さぁ、どうすんだいお嬢ちゃん。3秒以内で答えてくれよ。そうでないとお嬢ちゃんの目の前で、大切なお友達が大変な事になっちまうぞ」
「や、やめて下さい」
「いつもは早漏に悩まされてんだけど、でもこんな時は都合がいいぜ。パパって済ませられるからな。サァ~ン」
「お願いです。やめて下さい」
「別に謝る必要なんかないんだぜ。俺が聞きたいのは来るのか来ないのか、それだけなんだからね。ニィ~」
「……」
「ほら。もう時間がないぜ。でもまぁ、俺はどっちかっていうと、そっちの方が望ましいんだけどな。イ~チ」
「わ、分かりまし」
「止めてリーゼ! わ、私の事はいいから。あ、あなたは逃げて。ガブッ」
アメリアはリーゼに向かい懸命に叫ぶと、それと同時に男の腕に噛み付いた。髪の毛を掴む男の腕から力の抜けた一瞬の隙を彼女は見逃さなかったのだ。
「痛ってぇーな、この小娘が、なにしやがる!」
「顔がキモいだけかと思ったら、腕も不味いのね。吐き気がするわ、ペッ」
アメリアは男の顔に向けて唾を吐き出す。そしてその唾は見事に男の顔面に命中した。だが案の定、隈の男の感情は激高する。怒りで顔を真っ赤に染め上げた男は、力をセーブする事無くアメリアの頬を殴りつけた。
「ドガッ!」
アメリアの体が3メートルほど吹き飛ぶ。そして彼女は桜の木に背中を打ち付けて動きを止めた。しかし男の怒りは収まりはしない。すぐにアメリアのもとに近づいた男は、彼女の襟元を掴み上げる。そして男はそのままアメリアの首を締め上げた。
「うっ、グッ」
完全に息が出来ないアメリアはもがき苦しむ。地につかない足をバタつかせるしかもう、彼女に出来る抵抗はなかった。そしてそんな絶望的な現状にリーゼは声すら失っている。彼女は自らの力の無さに失望するしかなく、ただ嘆く様に涙を流すだけであった。そしてついにアメリアはそのバタつかせる足を止める。彼女の意識はもうほとんど残ってはいない。
「まったく。余計な抵抗するから死ぬことになるんだよ。大人しくしてれば命までは獲らなかったろうに。見てるこっちが気分悪くなるぜ」
痩せ形の男が面倒臭そうに愚痴を漏らす。しかしそんな男の声が耳に入らないほどに、隈の男は怒り心頭だった。力の抜け切ったアメリアの首から男は手を離そうとはしない。それこそ首を捩じ切るほどに力を入れたままなのだ。――がその時、
「ブオォッ!」
何かが空気を切り裂いた。そしてそれと同時に鈍い音が周囲に響く。
「ガズッ。……ドサッ!」
一体何が起きたのか。痩せ形の男と恰幅のよい無口な男が辺りを見回す。しかしこれと言って不審なものは見当たらない。ただ次に二人の男が目にしたのは、背中を抑えて蹲る隈の男であった。
「ゴホッ、ゴホゴホッ」
蹲る隈の男の横で、アメリアが地に伏せながらも息を吹き返す。彼女は死に至る一歩手前でその体を解放されたのだ。そしてその姿にリーゼは胸を撫で下ろす。危機的状況が改善されたわけではないが、それでも彼女はアメリアの命が一先ず無事だったことに安心したのだった。だがそんな二人とは真逆に目の血走った隈の男は背後を睨みつけている。
男の足元には拳大の石が転がっていた。その状況から察するに、間違いなくその石が男の背中に直撃したのだろう。それもかなりの勢いでその石は投げつけられたのだ。でも何処から、いや、誰が投げつけたのであろうか。そう隈の男は考える。だがそれと同時に男は突然身を捻って飛んだ。
「チッ、上手く避けるモンだな」
横一線に木刀が振り抜かれていた。もちろんその一撃は隈の男を狙ったものに相違ない。そしてその木刀を持った【少年】は、残念がりながらも男の意外な機敏さを褒めたのだった。
やや太めの桜の木の枝で拵えた急造の木刀を正眼に構えた少年は、地面に横たわっているアメリアを背にする形で隈の男に対峙する。ただそんな少年の目は思いのほか楽しそうに輝いていた。
「へぇ。あんた、見た目と違ってデキるんだね。石がモロ背中に直撃して相当痛いはずなのに、あんなにも早く動けるなんてスゲェよ。もしかして、その筋のプロってやつですか?」
少年は素直に男の身のこなしについて感想を述べた。でもその口ぶりは冗談でも告げるような等閑な言葉である。まるで男を挑発するかの様に。ただそんな少年の行為に対して隈の男の胸の内は噴火寸前だ。怒り狂う炎で徐々にその身を焼いていく男は、尋常でない殺気を宿した視線を少年に向けて言った。
「俺は調子ブッこいてるガキが一番嫌いなんだ。それに不意打ちかまして出し抜こうとする狡猾さがまた一段と気に入らねぇ。テメェ、楽に死ねると思うなよ」
「うはっ、こいつはウケるぜ。まさか女の子二人を待ち伏せして襲ってたワイセツ野郎に卑怯者呼ばわりされるとは思わなかったよ。でもまぁ、所詮はロリコン大魔王の考えだ。俺みたいな真っ当な人間に理解出来るはすないんだよね」
「何だとコラッ! もういっぺん言ってみろ、このガキが!」
「リピートがお好きですか。仕方ないなぁ、じゃぁもう一度だけ言うから良く聞いててよね。ロリコン大魔王――ん?」
言葉途中に少年は足元を見る。すると横に伏せたアメリアが少年のズボンの裾を引っぱりながら、聞こえないほどの小さな声で一言告げたのだった。
「ジュ、ジュール。わ、私はいいから、リーゼを守って」
アメリアの右の頬は大きく腫れ上がっている。隈の男に思い切り弾かれたものだ。そして更に彼女は死の直前まで首を絞められ苦しめられた。その恐怖や辛さは筆舌に尽くしがたいものであったはず。それでも尚、彼女はリーゼの安全を最優先した。そんな浅ましくて傷々しいアメリアの姿にジュールの心は急速に波立ち始める。そして彼は落ち着いた動作で屈み込むと、力の抜けた彼女の手を優しく解いた。
「まったく、お前は無茶し過ぎなんだよ。でももう大丈夫だから安心して寝てろ。そっちの娘の事も絶対に守るからさ」
そう言ってジュールは微笑んだ。するとそんな彼の笑顔につられてアメリアも笑顔を見せる。痛々しく腫れ上がった表情ではあったが、それでも彼女の笑顔からは少しの安堵が感じられた。きっとジュールが駆け付けてくれた事が心から嬉しかったのだろう。ただそんな彼女に背を向けて立ち上がったジュールの表情は、それまでとはまったく違っていた。
まったくの無表情である。それでいて視線は鋭く冷たい。そしてジュールは木刀を握り直しながら構えを整えていく。無駄な力の無いその姿はまるで、幾つもの窮地を乗り越えた経験を持つ戦士であるかの様だ。するとそんな彼の仕草にそれまで沈黙を貫いていた恰幅のよい男が口を開く。男は直感として目の前にいる少年がただの少年ではないのだと感じたのだろう。
「その少年は危険だ。気を抜くとやられるぞ」
「うるせぇぞ【デカルト】。気が散るから黙っとけ。こんなクソガキ一匹、余裕だってんだよ!」
隈の男は大声で反発を口にする。そして同時に男はジュールに向かって襲い掛かった。
猛烈な勢いで隈の男はジュールに突っ込む。その瞬発力の鋭さは息をも付かせないほどだ。そして相も変わらず男の足音は聞こえない。それゆえにジュールの反応は一瞬遅れた。
男は姿勢の悪さを利用し、少年のジュールよりも更に低い位置から攻撃を仕掛ける。地面より突き上げるような膝蹴りが唸りを上げると、それはジュールの顔面を的確に捉えた。
「ズゴッ!」
相当な衝撃が加わったのだろう。ジュールの体が放物線を描いて宙を舞う。それでも男は攻撃を手を緩めようとはしない。容赦はしないとばかりに男は膝蹴りの勢いを保ったままジュールを追う。そして隠し持っていたナイフを右手に握った。
ジュールは体勢を崩しながらも両足でどうにか着地する。しかし膝蹴りの衝撃で口の中を切ったのだろう。彼の口元は真っ赤に流血していた。更に足元は軽くふらついている。そんなジュールに隈の男はまたしても低い体勢で迫る。そして今度は膝ではなく、手にしたナイフを彼の顔面目掛けて突き立てた。
「サッ」
ジュールの頬に一直線の赤い線が滲み出る。それでも彼が男のナイフを避けた事実に変わりは無く、また攻撃を仕掛けた男はその一瞬の出来事に目を丸くした。
「ズガッ!」
鈍い衝撃が伝わるとともに、今度は隈の男の方が吹き飛ぶ。ジュールはナイフを避けるのと並行して、木刀を思い切り振り抜いたのだ。
カウンターの一撃を腹に受けた男は堪らずに一歩後退する。そしてその表情は、信じられないとばかりに驚いたものであった。
「クッ。テ、テメェ、狙ってやったのか! ……ん?」
「バッ!」
木刀が届かない間合いのはず。それなのにジュールは男に向けて、木刀を持っていない方の腕を勢いよく振った。すると男は嫌がる様に顔を抑えて更に後退する。
「ざけんじゃねぇ。砂で目つぶしかよ! だがそんな子供騙しで俺をやれると本気で思ってんじゃ――ぐわっ!」
男は前のめりに飛び上がる。ジュールは砂を投げ捨て目つぶしを仕掛けると、一瞬の隙が生じた男の脛を木刀で思い切り叩いたのだ。そして続け様に返す手で男の顔面を上段から叩きつける。アメリアをボロボロにした男への怒りがその一撃には強く込められていた。
「ガンッ!」
完全に獲った手応えをジュールは感じる。しかし喜ぶ間もなく彼は瞬時に後方へと引き下がった。
ジュールが繰り出した上段からの渾身の一撃。それが加わったのは隈の男の頭部ではなかった。いつの間にこんな近距離まで詰めていたのだろうか。見た目の体格からは想像なんて出来やしない。それでもその男は恐るべきスピードでジュールの攻撃をその右腕で受け止め、隈の男を庇っていた。
「デ、デカルト。ま、またおめぇは余計な事しやがって」
「フン。まぁそう言うなよ。随分と面白そうだったんで、つい体が動いちまったんだ。ただここからは私が遊ばせてもらうぞ。この少年、なかなか楽しませてくれそうだ」
そう言って体格の良い男は口元を不敵に緩めた。だがその表情に反して男に油断は見られない。それゆえにジュールはもう一歩だけ後ろに下がる。彼は直感として男の怖さを感じ取ったのだ。この男はヤバい奴だと。
ジュールの背中に冷たい汗が滴り落ちる。まるで血に飢えた獣と対峙しているのではないか。そんな感覚に彼は肝から震えていた。しかしなぜだろう。そんな恐怖感でいっぱいなはずのジュールの表情は、薄っすらと微笑んだものであった。




