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月読の奏  作者: 南爪縮也
第一章 第二幕 疼飢(うずき)の修羅
25/109

#24 初虹の約束(一)

「グロロロロッ!」

 (うな)り声を響かせた豚顔のヤツが猛威(もうい)を振るう。そして逃げ遅れた市民達は、そんな突然降り掛かかった脅威(きょうい)によって、その姿を無力なまま肉片に変えた。

 ヤツの荒れ狂う()き出しの暴力に対抗する(すべ)は見当たらない。人間の力では到底歯が立たないのだから当然だ。だが恐怖に(おのの)きながら逃げ惑う人間達を容赦なく血祭りに上げるヤツは、その狂暴さに反して腐りかけた(みにく)い顔面を苦悶(くもん)(ゆが)ませていた。まるで(みずか)らの残虐な行為に悲嘆(ひたん)するかの様に。

 なぜヤツはそんな苦しみに満ちた表情をしているのだろうか。残念ながら、その理由を知る者はいない。いや、唯一その理由を知る者はいた。そしてその唯一の存在である【ファラデー】が、暴挙するヤツの前に立塞(たちふさ)がる。

「ダメだっ、ファラデー隊長! そいつは危険だ! 逃げるんだっ!」

 ジュールが懸命に叫ぶ。彼には次の瞬間、ファラデーの身に何が起きるのか確信めいた予想がついたのだ。

 何度も繰り返し見た光景。でも今度は救いたい。絶対に助けたい。ジュールは幾度となく目の前で【斬殺】されるファラデー見てそう思った。彼にはこれが【夢】だと理解しながらも、例え救えたとして現実にファラデーは生き返らないと分かってはいながらも、決して()れはしない耐え難い記憶に反発するよう叫ぶしかなかったのだ。

 届かない手を懸命に伸ばし、一向に縮まらないファラデーとの距離を詰めようと全力で駆ける。避けられない残酷な宿命に対し、ジュールはそれでも足掻(あが)き続けた。だがしかし、懸命に叫ぶジュールの声はファラデーに届かない。

 いくら叫んだって無意味なんだ。そんな事は嫌ってほど分かってる。でも止めるわけにはいかないだろ! ジュールはファラデーに向かって何度も何度も叫び続ける。ただ次に彼が口にしたのは、意外にもヤツに向けた制止の願いだった。

「やめるんだウォラストン! 正気を取り戻せっ! あんた達は友達同士なんだろ! 殺し合う必要なんて何処(どこ)にもないんだ。だから頼む、ファラデー隊長を殺さないでくれ!」

 ヤツ対して叫んだのは今回が初めてだった。それまでは絶えずファラデーに向かってヤツからの離脱を(うなが)すだけだったが、でも何故なのだろう。ジュールは自分でも不思議なほど自然に、ヤツに向けて声を限りにしていた。

 羅城門でハイゼンベルクから豚顔のヤツの正体を告げられたからなのか。それともかつて、グラム博士がヤツについて語った時に見せた切ない表情を思い出したからなのか。それは分からない。だが無情にもヤツはジュールの願いを無視した。ヤツは猛烈に繰り出されたファラデーの斬撃を素早く(かわ)すと、そのまま彼の背後に回り込む。そして鋭利な爪を宿す大きな腕を振りかぶり、ファラデーの背中めがけてその剛腕を突き出した。


「くそっ」

 ジュールはきつく目を(つぶ)る。強烈な吐き気が込み上がり、気持ち悪くて仕方ないのだ。彼は胸を(おさ)えて(うずくま)る。ジュールの心は遣り切れない喪失感で打ちひしがれていた。

 どうしていつもこうなるんだ。どうすればファラデー隊長を救えるんだ。自分の見る夢ならば、隊長を救う事など容易に出来そうなものなのに、何故にこうも悲惨な最期になってしまうのか。ジュールはきつく拳を握りしめながら、どうする事も出来ない自分の無力さに思い返しては身悶(みもだ)えするばかりだった。

「ドサッ」

 ファラデーの体が大地に倒れる。ジュールはグッと奥歯を食いしばると、浮かんだ涙で視界が滲む中、ヤツを鋭く睨み付けた。

 どうしてお前はこんな残酷な事を繰り返すんだ。なぜ親友だったファラデー隊長を躊躇(ためら)いもなく殺したんだ。ジュールの眼差しには強い憤りが込められている。だがヤツもまた、そんなジュールを直視していた。

 お互いの視線が交錯する中、ジュールはもって行き場のない感情に(さいな)まれる。それでも彼は何の感情も表に出さず、微動だにしないヤツを前にする事で、耐え難い怒りが湧き出すのを感じた。友人を手に掛けながら何の感情も示さないヤツが許せなかったのだ。そしてジュールはまたしても無意識に声を張り上げる。どうせこの声もヤツには届かない。そうは思いながらも、彼は黙っていられなかった。

「どうして分からないんだ! お前がその姿になったのは隊長の身を案じての事だろ! それなのに、お前が隊長を殺してどうするんだよっ!」

 ジュールは憤激(ふんげき)(あら)わにして叫ぶ。しかし同時に彼は、その叫びが決してヤツに届きはしないのだと、どこか失意に近い感情も覚えていた。

 自分の見る夢でありながら、自分の声は誰にも届かない。今までずっとそうだった。そして今度の夢も……。ジュールは(ひど)く落胆する。だが次の瞬間、ジュールは「えっ!」っと一驚した。なんとジュールの失望感を打ち消すかの様に、ヤツが彼に向けて口を開いたのだ。

()(この)んで、親友を殺す者がいると思うか――」

 不意に発せられたヤツの言葉にジュールは口を(つぐ)んだ。自分の叫びが通じたのか。でも確かにヤツの今の言葉は自分に向けてのものだった。初めての出来事にジュールは危惧の念を抱く。だがそれ以上に彼は突き上げる気持ちの高ぶりを感じていた。

「お、俺の言葉が聞こえるのか」

「お前が言った通り、私にとってファラデーは掛け替えのない友人だ。そんな彼を私は殺してしまった。なぜ私は彼を殺さなければならなかったのか。いや、彼だけではない。私は誰も傷付たくない。誰一人殺したくなんかない。それなのに――」

 ヤツはじっとジュールを見つめている。その視線はとても哀しく、救いの様のない遣り切れなさを感じさせた。そしてそんなヤツにジュールは呼び掛ける事を躊躇(ちゅうちょ)する。ヤツの哀しげな眼差しを見たジュールの体は、極度に強張り動けなくなっていたのだ。

 やっと俺の声が通じた。やっと話が出来るんだ。でも今度は俺の口が利けなくなっている。クソ、どうして思い通りにならないんだ。ジュールはとん挫する状況に不快を募らせる。ただそんなジュールに向かい、意外にもヤツの方が口を開く。そしてヤツは詰め寄る様に強い口調で続きを語った。

「お前が悪いのだ。お前がこの世に生まれたから、私は親友を、罪のない人々を殺すのだ。全てお前の責任だ! お前さえ生まれて来なければ、誰も傷ついたりはしなかったのだっ!」

 ヤツはそう声を張り上げる。それはまさに怒りが爆発する寸前の姿だ。そしてヤツはその怒りをジュールだけに向け、鋭い爪を振りかざし猛然と突進し始めた。

 ヤツの剛腕がジュールを襲う。だがジュールは間一髪のところでヤツの強烈な攻撃を(かわ)した。声は出せなかったが、体の自由は失われていなかったのだ。俊敏な動きでヤツの一撃を避けたジュール。だがしかし、彼は足元に転がる【何か】に(つまず)き転倒してしまった。

 チッ、何が落ちていたんだ。そう思いながらもジュールは瞬時に起き上がる。危機的な状況が迫っているのだ。気を抜いている暇はない。彼はヤツの次の攻撃に身構えようと体勢を整えた。だがしかし、そこで彼は愕然(がくぜん)とする。なんと彼が足を引っ掛け(つまず)いたそこには、腹を(つらぬ)かれたファラデーの体が転がっていたのだ。そしてそのファラデーの目はしっかりと開かれ、ジュールを直視していた。

「た、隊長。生きて――」

「ジュール。どうしてくれるんだ、この腹。痛くてたまんないぜ。でもさ、こんなに痛くて苦しいのに、俺はどうして死なないんだよ。なぜ死なせてくれないんだ。やっぱりお前は死神の子なんだな。災いを生む呪われた修羅の子なんだ。お前さえ生まれて来なければ、俺はこんな事に……」

「やめろ、やめてくれ」

 ジュールは驚愕の表情を浮かべながら後退(あとずさ)る。絶望に満ちたファラデーの言葉が耳に着いて離れないのだ。ガクガクと震え出した彼の足は止まらない。そしてそんな不確かな足取りで後退(あとずさ)るジュールは、背中に何かが当たり歩みを止めた。

 そそり立つ壁でもあったのだろうか。でも何だ、この感触は。コンクリートの様な無機質なものとは思えない。むしろこれは――。何とも言えぬ不快感を背中で感じたジュールは恐る恐る振り返る。だがそこで彼はまたしてもギョッと驚いてしまった。

 ジュールが背中を押しつけたもの。それは壁などではなく、牛顔のヤツであるディラックと、羊顔のヤツであるハイゼンベルクだったのだ。ジュールはあまりの驚きで腰が抜けそうになる。ただそんな彼に向かい、牛顔のヤツは低い声で言ったのだった。

「我らはどうすればこの耐え難き苦痛より解放されるのか。貴様、我に教えてくれ。我らの苦辛(くしん)を取り除いてくれ!」

 牛顔のヤツはそう言いながら、ジュールに向け手を差し出す。ヤツは本心からジュールに救いを求めているのだろう。痛切な願いが伝わって来るのが分かる。ただそんな牛顔のヤツの体は右の肩から左の腰にかけてザックリと切り裂かれており、そこから飛び出した内臓を長く引きずっていた。

「頼む。どうか我を楽にさせてくれ」

「ま、待ってくれ! 俺にはどうする事も出来ない。俺にはどうする事も」

「我らをこうせしめたのはお前だぞ、ジュール。我らをこの苦しみから解放するのだ。それがお前の果たすべき義務であり、責任なのだからな」

 今度は羊顔のヤツがジュールに言った。そして羊顔のヤツはそのままジュールに詰め寄ると、親指で自分の(あご)を持ち上げる。するとヤツの首はバックリと口を広げ、奇妙に頭を(かたむ)けさせた。

「俺が何をしたって言うんだ! 俺にどうしろって言うんだっ!」

 ジュールは打ち震えながら叫ぶ。やっと声は絞り出せた。でもこんなんじゃ話なんて出来っこない。俺の気持ちなんて伝わるはずがない。そう思ったジュールは反射的に逃げ出した。意味不明なヤツらの言い様に、彼は千々に乱れ錯乱したのだ。


 ジュールは誰もいない夕暮れ時の街の中を、ただひたすらに駆ける。早く悪夢から目覚めたい。早く本物の世界に戻りたい。彼は切実にそう願った。しかし荒げる呼吸は苦しさを増し、早まる鼓動は胸を激しく打ち続ける。現実味を帯びるその感覚はやけにリアルであり、次第にジュールは自分自身を完全に見失っていた。

 それでも闇雲に駆けた影響で疲れ切ってしまったのだろう。ジュールは人目の付かぬ裏路地に逃げ込み休もうとした。

「ハァハァハァ。な、何が、どうなってんだよ。これは夢じゃないのか、おかし過ぎるぞ。でもまさか……」

 ジュールは落ち着きを取り戻そうと、必死に息を整えようとする。だが次の瞬間、彼はふと頭上に禍々(まがまが)しい殺気を感じた。

「ゴンッ!」

 鈍い音が響くと共に大地が揺れる。それは牛顔のヤツが丸太の様に太い拳を手首まで地に突き刺した衝撃だった。牛顔のヤツはジュールに強烈な一撃を浴びせようとしたのだ。

 ただその一撃をジュールは反射的に身を(ひね)って(かわ)していた。目を見張る運動神経である。アダムズ軍の精鋭隊士の中でも、これほど軽快な身のこなしが出来る者は稀なはずだ。だがしかし、彼は背中に痛烈な打撃を受け吹き飛んだ。そして彼の体はそのまま十数メートル先まで吹き飛び、そびえ立つビルの壁に直撃して止まった。

「ゲフッ」

 ジュールは凄まじい衝撃に血反吐を吐く。そして(たま)らずに(ひざ)をついて(うずくま)った。ただそこで彼に更なる不幸が降り掛かる。ジュールが壁に直撃した衝撃で割れた複数の窓ガラスが、そのまま彼に降り注いだのだ。

「ガシャガシャーン!」

 割れたガラスの破片が背中に刺さる激痛を感じる。それに背中に受けた強烈な一撃で息が出来ない。視界はぼやけるし、今にも意識が途切れそうだ。だがそれでもジュールは必死で顔を上げた。彼は自分の背中を蹴り上げた者の正体を確認しようとしたのだ。

 そこに居たのは羊顔のヤツだった。そしてヤツはゆっくりとジュールに歩み寄る。彼にトドメを刺すつもりなのだろう。ヤツの内側から凄まじい殺気が漏れ出して来る。

 このままじゃマズいぞ。ジュールは感覚の乏しい足で無理やり立ち上がろうとする。しかし彼の下半身はその意志に従おうとしなかった。震えた足に力が入らない。そして気が付けばジュールは三体のヤツに囲まれていた。

「ふ、ふざけるなよあんた達。俺が一体何したっていうんだ……」

 ジュールのかすれた声は酷く弱々しい。失意に満ちた感情で一杯一杯なのだろう。意味も分からず追い詰められ、その挙句の果てがこの有様。悪夢にしてもこの状況はいささか異常過ぎる。どうすることも出来ず、考える事すら面倒にしか思えない。そんなジュールの体からは、ガックリと力が抜けていた。するとそんな彼に向かい羊顔のヤツが口を開く。

「お前は生きる価値のない者。いや、本来生まれて来てはいけない者なのだ。だがそれなのに生まれてしまった。お前の生は他者の苦しみ、痛み、悲しみから得られている。お前は生きているだけで他者を不幸にする存在なのだ。だから頼む。お願いだから死んでくれ。ジュール、お前が死ねば我らはこの苦痛から解放されるのだから。いや我らだけではない。この世界に住む全ての者達が例外なくお前の死を願っているんだ。お前が死ぬ事で、お前の命一つで世界は安寧(あんねい)した安らぎを得られるのだからな。分かってくれ」

 そう言う羊顔のヤツの眼差しは(あわれ)みに(あふ)れている。哀しいものを見る目。なぜそんな目で俺を見つめるんだ。ジュールは遣る瀬無い空しさで息が詰まりそうになった。まるで暗く冷たい海底に引きずり込まれるかの様に――。そしてそんな彼に追い打ちを掛けるべく、ハイゼンベルクは更に続きを語った。

「そもそも我らがこの様な(みにく)い姿になったのは、【修羅の化身】であるお前を殺すその為なのだぞ、ジュールよ。そしてお前を殺す命令を下したのは他でもない。【グラム博士】なんだよ」

「ドンッ」

 ジュールは鈍い衝撃を体に感じた。そして彼は視線を腹部に移動させる。するとそこにはハイゼンベルクの太い腕が、深々と突き刺さっていた。

 ジュールは眉をひそめ、その表情を(ゆが)ませる。ヤツの剛腕が腹に食い込んでいるのだ。その激痛たるや尋常ではない。だがしかし、彼が表情を歪めたのはそんな腹を貫かれた痛みや苦しみによるものではなく、心に深く突き刺ささった悲しみの感情が表面化したものだった。

「博士が、そんな……うそだ……」

 何もかもが信じられない。信じたくない。彼はそう自分自身の心に必死に反発した。でもその反面、彼はどこかで自分が他人と違う事に気づいていた。自分の体は普通じゃない。だったら俺は何者なんだ。(みんな)が言うように、俺は生まれて来てはいけない存在なのか。でもどうして、どうして博士が俺を――。

 自問自答の末にも答えは見つからない。ジュールの心は激しく揺れ錯乱するばかりだ。自分は誰よりも博士の事を大切に想っていたのに、博士も同じように自分を大切に想ってくれていると信じていたのに、でも本当の博士は俺を殺そうとしていた? もう訳が分からない。いや分かりたくない。ジュールは何もかもが嫌になり、自らの腹部を(つらぬ)くハイゼンベルクに小さく吐き捨てた。

「ひと思いに首を()ねろよ。もうどうでもいい。俺を楽にさせてくれ。俺を殺せば、あんたらも楽になるんだろ。頼むよ……」

 ジュールはそう言ってから目を閉じた。暗闇に包まれる視界に不安は少ない。これで楽になれる。むしろホッとする気さえするほどだ。恐らくジュールの心は悲しみで浸水しきっているのだろう。誰からも必要とされていない。死ぬ事でしか自分の存在価値が見出せない。なら何故自分はこの世に生まれたのか。ジュールの目からは一筋の涙がこぼれ落ちていた。


「ズシャッ」

 肉を切り裂く音がこだますと共に、ボタボタと地面に転がる肉片の感触が空気を振動させる。そんな奇妙な感覚を全身で感じたジュールは、いまだ目を閉じたままの状態で不思議に思った。まったく痛みを感じないのが腑に落ちない。いや、それが【死】なんだと無理に納得しようと試みる。しかし釈然としない感覚が一向に収まらない。だから彼は思い切って目を開こうと決意した。

「!?」

 ジュールは目を丸くして驚いた。なんと彼の目の前には、バラバラに引き千切られた三体のヤツの死骸が転がっていたのだ。でも何が起きたって言うんだ?

 散乱する肉の塊からして、凄まじい力で強引に引き裂かれたのは間違いないだろう。だが何が原因でそうなったのか。ジュールにはまったく想像がつかなかった。

 ただそこで彼は奇妙な違和感を覚える。そしてハイゼンベルクに貫かれた腹部に手をかざしてみた。ただそこで彼は再度目を丸くする。なんとそこには穿(うが)たれたはずの穴がなかったのだ。

 そんなはずはない。確かにヤツの太い腕は、この腹に深々と突き刺さっていたはずだ。ジュールは必死になって自らの腹を(まさぐ)ってみる。だがやはり穴どころか傷ひとつそこには無かった。理解不能な現象に彼は凄まじく戸惑う。ただその時、彼は自分の両手がビショビショに濡れているのに気がついた。そして彼は恐々としながらも、釈然としない感覚を理解するため、自らの両手に視線を向けた。

「な、何だ、この手は!」

 自分の手を見たジュールは愕然とする。なんと彼の目に映った自分の両腕は、とても人の物と呼べる形ではなかったのだ。

 丸太の様に太く伸び、全体を黒い毛で(おお)った鋭い爪を宿す腕。そして手の平は赤い液体でびしょ濡れであり、それが血であることに疑い様はなかった。

「う、嘘だ。こ、こんなバカな!」

 ジュールは明らかに狼狽(ろうばい)している。でもそれは仕方ないだろう。なぜなら彼の腕は、何処からどうみても【ヤツの腕】そのものだったのだ。

 ジュールは恐怖に(おのの)き、尻餅をつきながら後退(あとずさ)る。ただその時、彼は手元に窓ガラスの破片が落ちているのに気付き、思わずそれを拾い上げた。

 怖い。絶対に見たくない。心ではそう感じながらも、体はゆっくりとガラス片を顔に向けていく。嫌だ――。そうは願いつつも、彼は自らを映し出すガラス片から目を背けられなかった。

 徐々にジュールの頭部がガラス片に映し出されていく。怖い、見たくない。しかし彼はそこに映し出された自分の顔を見てしまった。

 それは【腐った狼】の顔だった。いや、まさに彼はヤツそのものに変化していたのだ。人であったジュールの姿は見る影も無く、そこにあるのは野獣と化した人外の化け物の姿のみであった。

「うわぁぁぁっ!」

 ジュールは悲痛に満ちた叫び声を上げると、頭を抱えて(うずくま)る。何が起きたんだ。自分は何か悪い事でもしたのか。何で俺がヤツになってるんだ! 状況を理解し得ぬままに、ジュールはただ大声で叫び続ける。その声はまるで野犬の遠吠えのように響いていた。ただその時、

「何を泣いておるのじゃ、ジュールよ」

 聞き覚えのある優しい声を耳にしたジュールはハッと顔を持ち上げる。しかしいつの間にか辺りは暗くなっており、声の主がどこにいるのか彼には見つけられなかった。

「は、博士! グラム博士っ! 近くにいるんでしょ、俺を、俺を助けてくれ! こんな姿に、嫌だ、嫌だよ博士。お願いだ、俺を助けてくれよ!」

 ジュールは悲痛な歎願を見えない博士に向かって叫ぶ。するとそれに対して博士は静かな口調で応えてくれた。

「そんなに取り乱す事なかろうに。ジュールよ、おぬしはまだ気づかんのか? ならばワシが伝えねばなるまい。ジュールよ、その血に飢えた化け物の姿こそが、おぬしの真の姿なのじゃよ」

「な、そんな」

「現実を受け入れるのじゃ。お前は【人】ではない。さらに言えば、お前は他のヤツとも異なる。お前は生まれながらにヤツの力を身の内に宿す、正真正銘の【化け物】なんじゃよ。ワシはそんな特殊な体のお前を研究するために、わざわざ骨身を削ってお前を育て上げたのじゃ」

「嘘だ! 博士が俺に与えてくれた愛情は本物だったはずだ!」

 博士の言葉が信じられないジュールは強く反発する。博士の愛情はとても優しくて温かいものだった。あれが嘘だったなんて絶対に考えられない。だがそんな戸惑いを露わにするジュールに対し、グラム博士は相変わらず姿の見えない状態のまま、平素な口調で静かに応えた。

「真の化け物とも言えるお前の機嫌が損なわれてみろ。ワシもそこに散らばる肉片と同様に化すだけじゃ。ゆえにワシはお前に好かれるよう精一杯努力した。そうする事で、お前の体を都合良く研究しようとしていたんじゃよ。そしてお前はまんまとワシの思い通りに成長してくれたというわけじゃ」

「嘘だっ! 嘘だって言ってくれ!」

「研究は最終段階に至った。最後の研究、それはお前の中に眠る力を覚醒させる事じゃ。しかし覚醒したお前が暴走した場合、ワシにそれを抑えることなど到底出来ん。じゃからお前に対抗するもしもの準備として、三体のヤツを人工的に造り出したんじゃよ。じゃがお前は一瞬にして、人知を超えた力を持つヤツ三体をバラバラに千切り殺した。やはりお前はワシら人に(あやつ)れるものではないんじゃ。ワシは改めてそう理解したぞ。お前は間違っても、この世に生まれて来てはいけない者だったんじゃとな」

「嘘だ嘘だっ!」

「じゃがもう遅かった。何もかもが手遅れじゃった。ほれ、お前の右腕が【握っているもの】をよく見るのじゃ」

 博士はジュールに向かってそう促した。しかしその意味が飲み込めないジュールは(なか)ば放心状態である。まるで考える事を拒絶したかの様に、彼の頭の中は錯綜し続けていた。

 ただそれでもジュールは博士の言葉通りに自分の右腕に視線を向ける。何も考えられないだけに、彼はシンプルに博士の言いつけに従ってしまったのだ。でもそこでジュールは気付いた。いつからだろうか。右手には太く束になった【糸】の様なものが握られている。そして目を凝らせば、その先に何か【丸い物】が結合しているのが分かった。

 ジュールはその丸い物体が気になり、顔の前に来る位置まで糸の束を持ち上げる。――がそこでジュールは心臓が口から飛び出るくらいに驚いたのだった。

「!」

 ジュールの心臓が激しく波打つ。彼が掴み上げた丸い物体。それはなんと、グラム博士の【頭部】だったのだ。そしてよく見れば、束になった糸は博士の髪の毛だったのである。

 峻烈(しゅんれつ)に高止まりする鼓動。気持ちが悪くて堪えきれない。ジュールはいつのまにか切断された博士の頭部を掴み上げていたのだ。彼が常軌を逸した不快感に(さいな)まれるのは当然だろう。更にその頭部からは激しい異臭が放たれていた為、余計に吐き気が込み上げてくる。髪の毛の生え際から湧き出た蛆虫(うじむし)がボトリボトリと落ち、見た目のグロテスクさも際立っていた。すると思わずジュールはそんな博士の頭部を放り投げてしまう。あまりの(おぞ)ましさに彼は取り乱してしまったのだ。

「ゴン、ゴロゴロ……」

 グラム博士の首が無造作に転がる。しかしその首はジュールの方を向いて止まると、黄ばんだ目を見開いて言ったのだった。

(ひど)い事するのう、ジュールよ。育ての親であるワシの首を投げ捨てるとは、やはりお前は人を(むさぼ)る修羅の子なのだな」

「そ、そんな。俺は――」

「その様子じゃと、自分のした事を認識しとらんのか。でもな、ジュールよ。ワシの首をこの様な(むご)たらしい姿に変えたのは、紛れもないお前の仕業なんじゃぞ。いい加減に気付かんか!」

 腐りかけた博士の生首がジュールに向かって苦しそうに告げる。するとジュールは増々気持ちが悪くなり、込み上げる吐き気に苦しんだ。そして彼は自分が何者なのか、自分が何をしたのか、考えられなくなっていた。

「違う。俺がそんな事するわけが……。俺が…………したのか?」

 ヤツのものになってしまった自分の両腕を見ながらジュールは(つぶや)く。もしかしてヤツになってしまった為に自我を失ってしまったのか。そのせいで博士を殺してしまったのか。俺が(みんな)をバラバラに引き裂いたのか。

「そうだよジュール、やっと気付いてくれたのかい。だったら僕がやろうとしている事も理解出来るよね」

「テ、テスラ?」

 突然ジュールの目の前に現れたテスラは、刀を抜いて身構えていた。そんなテスラの視線は驚くほどに冷たい。そしてジュールの体はその眼差しで凍りついてしまったのか、完全に身動き出来なくなっていた。

「フフッ。正直に告白するからよく聞いてよ、ジュール。僕はね、本当の意味で君を友達だなんて思った事はないんだよ。そう、一度たりきもね。むしろこうして僕の手で君を殺せる事に、胸が高鳴っている」

「う、嘘だ。や、やめろ。やめてくれ、テスラ!」

「ごめんね、ジュール。これが世界の平和の為なんだよ。恨むなら、望まれないのに生まれてきた、君自信を恨んでくれ。――じゃあね、バイバイ」

「うぁぁぁぁぁ!」

 ジュールの悲鳴が誰もいない真夜中の街に響き渡る。そして(はかな)くも(むな)しい虚無感(きょむかん)だけが、誰もいなくなった空間に(あて)も無く彷徨(さまよ)い続けていた。



「ジュール、ねぇジュール。しっかりしてよ、ねぇジュール!」

「――ハッ!?」

 全身汗まみれになったジュールは、強く自分の名前を呼ぶ声によって目を覚ます。しかし彼は意識に深く刻まれたリアルな悪夢の残像に苦しんでいた。

 あれは全て夢だったんじゃないのか。でも後味の悪さは救い様がないほど散々なものだ。もしかして俺の頭はイカれてしまったのか。俺はどこかで進むべき道を誤ってしまったのか。ジュールには悪夢の中と現実世界の区別が上手くつけられず、状況を飲み込めないまま身悶(みもだ)えしていた。

 ジュールは息を荒げ放心状態になっている。ただそんな彼の手を【アメリア】はぎゅっと握りしめた。悪夢にうなされていたジュールを目覚めさせた彼女は、まだ視線が定まらない(うつ)ろな表情をする彼が心配でならなかったのだ。

 アメリアはジュールの幼馴染であり、そして恋人でもある。付き合いも長く、当然お互いに気心の知れた仲だ。でもアメリアはこんなにも辛く苦しむジュールの姿を見た記憶が無かった。いや、恐らくは悪夢に苦しむジュール自身ですら、この状況に意味が分からず戸惑っているのだろう。ただそれでも彼女の手から伝わる優しい温もりと穏やかさは、気持ちを萎えさせているジュールの心を、ゆっくりではあるが確実に呼び覚まして行いった。

「大丈夫なの、ジュール。凄くうなされてたよ。怖い夢でも見たの?」

「夢……だよな、あれは。あんな馬鹿げた話が、現実であるわけないモンな」

 ジュールはホッと胸を()で降ろす。アメリアの温もりによって、彼は落ち着きを取り戻したのだ。ただその表情はどこかすっきりしたものでは無かった。その証拠に彼は右目の奥に鈍く重い痛みを覚え、夢の中で感じた吐き気を少し引きずっていた。

「起きられる様なら、シャワーでも浴びてくれば。さっぱりして気分も楽になるよ、きっと」

 そう言ってアメリアは優しく微笑む。飛び切りの美人という程ではない。でも一般的に見れば十分可愛らしい方だろう。そして特に彼女の笑顔は素敵だった。

 ジュールはそんなアメリアの笑顔に笑顔で応える。彼女に入らぬ心配を掛けさせたくない。そう思ったのだろう。ただ右目の奥に感じる痛みは、一向に弱まる(きざ)しを感じさせなかった。


 金鳳花五重塔きんぽうげごじゅうのとう並びに羅城門(らじょうもん)でのヤツとの激闘から一週間が経過していた。

 数多くの負傷者を出したヤツとの戦闘は、首都ルヴェリエを震撼(しんかん)させ、(いま)だ人々を(ひど)く動揺させている。特に国家の中枢(ちゅうすう)であるエクレイデス研究所の損害は、人々の心に大きな衝撃を与える恰好の材料になっていた。

 科学大国の象徴であるエクレイデス研究所が炎に包まれたのである。その光景は人々の心を畏怖させるのに十分な影響力を持っていたのだろう。それに被災者救護の時間に手間取った事で、その後の復旧活動への対応の遅れも目立ち、余計に人々の心を(すく)ませていたのだ。

 軍と政府による復旧活動が急ピッチで開始される。市民の動揺をこれ以上広げてはならない。強い危機感を感じたアダムズ王国は、国の威信を懸けてエクレイデス研究所の立て直しに動き出していた。

 ただそんな軍全体が事後処理対応に追われる中で、激闘の当事者であったコルベットとトランザム両隊の隊士達は、ジュール以外の全員が入院を余儀なくされていた。中でもトランザムの隊士達は重傷者ばかりであり、隊長のドルトンに(いた)っては意識不明の重体になっていた。彼はジュールを追い掛け駆け羅城門に到着したものの、その後すぐに気を失ってしまったのである。牛顔のヤツから受けたダメージが、予想以上に大きかったのだろう。

 そしてジュールもまた、ヤツとの激しい戦闘で目を背けたくなる程の外傷をその身に受けていた。いや、むしろ見た目の印象では、彼がもっとも酷い傷を負っている状態だった。

 だがジュールはそんな満身創痍の体でありながらも、羅城門からアダムズ中央駅まで自力で歩く。しかしそこで力尽きたのだろう。彼は女神像が見守る駅前ロータリーで気絶した。偶然出会(でくわ)したアメリアに寄り添う形で。

 その後病院に運ばれた彼は入院を余儀なくされる。ただ驚いた事に、あれほど酷かった彼の傷は、その三日後にはほぼ完治していた。

 あまりの回復の速さに病院の医師達は目を丸くする。常識とは掛け離れた彼の回復力に医師達は舌を巻いたのだ。だがジュールはそんな医師達からの異質なものを見る視線から逃げたくなり、自分勝手な判断で退院し自宅へと帰っていた。

 もちろんジュール自身も、自らの回復の速さに驚きを隠せなかった。子供の頃から他人よりもタフであるとは自覚していたが、まさかここまで傷の治りが早いとは思わなかったのだ。ただその回復力の要因について、彼は心のどこかで確信めいた感覚を感じていた。そう、自分は普通の人間とは本質的な部分で違っているのではないか――と。

 羅城門でハイゼンベルクから聞いた話が心に重く圧し掛かる。しかし考えたところで気持ちの整理がつくはずもない。ジュールの心は落ち込むばかりであり、もちろん仕事はおろか、一歩たりとも外出する気になれずにいた。

 こんなにも気持ちが沈んだジュールを見るのは初めてだ。アメリアは元気を失くした彼を見て居た堪れなくなる。だから彼女は毎日ジュールのアパートに足を運び、彼を気遣っていた。


 二人はすでに将来を誓い合った間柄である。でも今はまだ別々のアパートに暮らしていた為、アメリアは仕事を休んで朝からジュールのアパートに来ていた。彼女はそれだけ気落ちした彼の事が心配で仕方なかったのだろう。

 しばらくすると、シャワーを浴びたジュールがリビングに戻って来る。でも相変わらず元気がない。体の傷は治っても、心に負った傷は(いま)だに深そうだ。

 アメリアはそんなジュールの姿を見て小さく溜息を漏らす。どうすれば元気を取り戻してくれるのか。何て声を掛ければ良いのだろうか。問題解決の糸口を見つけられない彼女は、自分の至らなさに肩を落とすしかなかった。

 ただそんなアメリアはリビングの椅子に腰かけ折り紙をしていた。ジュールの事が心配で仕方なかったが、でもだからと言ってやる事も無い。彼女は暇をつぶす為に、黙々と指先を動かしていた。

 テーブルの上には完成した【バラ】の花びらの形をした折り紙がいくつも並んでいる。アメリアは花屋の店員として働いていた為、仕事で使用するバラの折り紙を作っているのだ。花束のアレンジの飾りつけにでもするのだろう。指先が器用な彼女は次々とバラの折り紙を作っていく。ただ不思議な事に、一枚の折り紙で立体的に造り出されるバラの花びらはとても芸術的であり、かつ幾何学的にも優れた作品に見えた。

 数年前に王国全土で流行したバラの折り紙。見た目の可愛らしさも()る事ながら、頭も良くなると言う売り文句で一大ブームとなりはしたが、しかし難易度が少し高かった為あっという間に衰退してしまった。ただアメリアは仕事上日課のようにそれを続けていた。

「お腹空いてる? 何か作ろうか」

 ちょうど20個目のバラを折り終えたところでアメリアがジュールに尋ねる。食欲がないのは分かっていたが、それでも彼女はジュールの体調を心配して言ったのだった。だが案の定、食欲の湧かないジュールは黙り込むばかりである。いや、アメリアの問い掛けが耳に入っていない。そんな感じだった。

 アメリアはそんな彼に構うことなくキッチンへと向かう。いちいちジュールの返答を待っていたら日が暮れてしまう。それに返事が無いっていうのは、逆に考えれば拒否された訳じゃない。アメリアはそう都合良く解釈して料理を始めた。

 ジュールはそれまでアメリアが腰掛けていた椅子に座る。テーブルを挟んで椅子は2脚あり、普段はお互いに座る椅子は決まっていた。ただどうしてだろうか。ジュールはアメリアがいつも座る椅子に腰掛ける。そして彼は何気なく彼女が折っていた赤いバラを一つ手に取り眺め始めた。

「……」

「どう、上手でしょ。お店では一番早くて上手に折れるんだよ、私」

 バラを見つめるジュールに向かってアメリアは得意げに言った。

「今度ジュールにも折り方教えてあげるね。頭使うから集中出来て、何気に気晴らしにもなるんだよ。それとごはんちょっと時間かかるから、テレビでも見てて」

 返事のないジュールを横目に、アメリアはキッチンからリモコンを使ってテレビを付ける。ジュールからの反応が無く居心地の悪さを感じた彼女は、それを紛らわせる為にテレビをつけたのだ。ただテレビはちょうど朝のニュースの時間帯であり、映像からはエクレイデス研究所の悲惨な光景が映し出されていた。

 多くの犠牲者が出ている事に、ニュースキャスターは(いきどお)りと無念の言葉を伝えつつ、視聴者に向け悲嘆(ひたん)を強く(なげ)いている。するとそんなニュースを見たジュールは、痛切に思い悩み始めた。

「博士。これがあなたの望んだ事なんですか。本当にこれで世の中は平和になるんですか。教えて下さい博士。それに俺はまだ、博士が死んだなんて受け入れられないよ――)

 ジュールは奥歯をグッと食いしばる。ただ彼はそれと同時に手にしていたバラの折り紙を握り潰してしまった。立体的だったバラは、しわくちゃな二次元のただの紙切れに姿を変える。アメリアは背中越しからそんなジュールを見つめると、切ない気持ちで心を痛ませた。

 彼女はジュールの口から博士の死についてだけは聞いていた。ジュール同様、アメリアにとってもグラム博士は掛け替えのない存在である。だから彼女自身も(いま)だ博士の死を信じられずにいた。でも今はそれ以上にジュールの意気消沈する姿が見ていられず、彼女はもう一度深く溜息を漏らしたのだった。

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