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月読の奏  作者: 南爪縮也
第一章 第五幕 寒乱(さみだれ)の修羅
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#104 佐保姫の泣血(半影の城2)

 国王の命令を受けたヤツ達が鋭い爪を剥き出しにする。ヤツ達は容赦なくトランザムを血祭りに上げるつもりだ。ただそんな化け物に向かい、リュザックは苦笑いを浮かべながら聞き尋ねた。

「お前ら、いつからそっち側に行ったきか? まさか生まれた時から化けモンだったわけじゃないぜよな!」

 コルベットとトランザムの付き合いは決して短くない。反発しあえど、お互いに戦場を駆け回った間柄なのだ。でも過去の戦場において、コルベットと人外の化け物であるヤツが結びつく出来事はまったくなかった。だとしたら、こいつらがヤツになったのはまだ最近なんじゃないのか。リュザックはそう考えて詰問したのである。するとそんな彼の問い掛けに対し、腐った(ウサギ)の顔をしたヤツであるシャトーレが、不敵に微笑みながら言い返した。

「女狐じゃなくて悪かったな、リュザック。見ての通り私はウサギちゃんだよ。どうだ、可愛いだろ?」

「うるさいきね。俺が聞いてるのはそんな事じゃないがよな!」

「アハハッ、見た目に依らず冗談が通じないんだな、お前。もっといい加減な男かと思っていたぞ」

「テメェこそ性格最悪だでな。いんや、見た目と同じくらい輪を掛けて性質(たち)が悪くなってるきね。性格が歪んどっても人間の時はそれなりにイイ女だったからまだ許せたけんど、化けモンになっちまったらもう救い様がないだでな」

「フン、この状況でも変わらずに減らず口を叩けるのは大したものだな。でもなリュザック、残念だけどお前達にはここで死んでもらうぞ。私もこの姿には馴染めないんでね。早く仕事を終わらせて元の体に戻りたいんだよ」

「元の体に戻るじゃと!? 豹顔のヤツと同じ体質だきか。普通のヤツなら一度その姿になったら元には戻らんはずだで。テメェら、人体実験の副産物でも手に入れただきか!」

「へぇ、良く知ってるじゃないか。伊達に幾多のヤツと戦い抜いて来ただけはある。少し見直したぞ。けどなぁリュザック、そこまで知っていたら尚更死んでもらうしかないぞ。ヤツについてはアダムズの最重要機密事項だからね。トランザムみたいな野蛮な集団には知ってもらいたくないんだよ」

「人間やめて下衆の極みを習得したらしいきね。ケッ、化けモンのくせに生意気言ってんじゃないがよな。ヤツは決して不死身なんかじゃないき。覚悟すんのはテメェの方だでシャトーレ!」

 リュザックは強い覇気を込めて言い返す。するとその気迫を感じ取り状況を再認識したのだろう。他のトランザムが士気を上げた。

 バトルスーツのダイヤルを一気に捻り上げ、かつ最新式のマシンガンやバズーカランチャーを構える。完全な戦闘姿勢を取ったトランザムは本気だ。精鋭中の精鋭だけに、彼らはこの状況を打破するには命を投げ捨てて戦わなければいけないのだと瞬時に理解したのである。戦闘における集中力を極限まで高めたトランザムの強さは伊達ではない。シャトーレもそれを感じ取ったのか、(サイ)顔のヤツであるローレンツと(タヌキ)顔のヤツであるゼーマンに向かい注意を(うなが)した。

「二人とも油断するなよ。こいつらをただの人間だとは思うな。私の知る限り、こいつらは間違いなく人間最強集団だ。舐めて掛かると足元をすくわれるぞ」

「ケッ、なにビビってんだよ(あね)さん。こんなカスども、さっさと殺しちまおうぜ。あっちこっち移動させられてクタクタなんだよ」

 ゼーマンが不満を吐き捨てる。かなり疲れが溜まっているのか。猫背のヤツは嫌々に口先を尖らせながら言った。だが次の瞬間、その猫背の巨体が後方に吹き飛ぶ。狸顔のヤツは猛烈な速度で繰り出されたヘルツの蹴りをモロに受けて弾き飛ばされたのだ。

「バカが、言わんこっちゃない。教会で痛い目を見たのをもう忘れたのか。これだからアカデメイアは使えないんだ」

 シャトーレは(みじ)めに吹き飛ばされたゼーマンを無視して(つぶや)く。彼女は列記としたコルベットの一員なのだ。戦場における気構えにおいては、やはり裏組織のならず者とはわけが違うのだろう。ただそんな彼女にリュザックが告げる。それは明確な対決姿勢であり、宣戦布告と呼べるものだった。

「こいつの蹴りを見ての通り、テメェらが人間やめたからって俺達に負ける気は無いがよ。テメェらこそ、覚悟するだでな!」

「見た事ない顔だけど、その子は新入りかい? どうしてだろうね、トランザムには良い子が入る。ちょっと羨ましいよ」

「最後の言葉がそれだきか? 予想以上につまらないでよな」

「私達はこう見えて一枚岩じゃない。隙を見せて逃がしてやっても良かったんだけど、やっぱり中途半端は無理みたいだね」

「ん?」

 最後に小さく(ささや)いたシャトーレの言葉にリュザックは一瞬胸を摘まれる。しかし残された選択肢は無いに等しい。頭脳をフル回転させた彼は一歩後退してヘルツの横につき指示を下した。

「ヘルツ。お前はジュールの彼女を追うだで。さっきのスピードは見事だったき。彼女を()(さら)ってトンズラこくでな」

「い、行っていいんですか」

「当たり前だき。お前にしか頼めんだでよ。国王は疲れきっとったき、恐らく何とかなる。問題はテスラだけんど、無理に戦おうとしなければ、お前の足なら逃げられるはずでよ」

「はい、行きます!」

「勝手な作戦を立てるんじゃないよ! 私達が簡単に行かせると思っているのか!」

 リュザックの指示を耳にしたシャトーレが目の色を真っ赤に変えて吠える。ただそんな彼女を無視してリュザックはトランザムの隊士達に指示を飛ばした。

「戦闘隊形【バタフライ】! ヘルツの道を切り開くき!」

 リュザックは強く叫ぶとヘルツの背中を蹴り飛ばした。走れの合図だ。そして同時にトランザムの隊士らが二隊に分かれ列を組み、ヘルツが進む道を作る。それはまさに阿吽の呼吸だった。

 ヘルツは全力で駆け出しトランザムの隊士らが囲む道を進む。だがそれを先読みしていたのだろう。(サイ)顔のローレンツがその行く手を阻んだ。

 巨大な(サイ)顔のヤツの体はまさに壁そのものだ。ただでさえヤツの体は巨大なのに、その更に倍はあるのである。常人であれば尻込みして動けなくなるだろう。しかしスピードに乗ったヘルツは止まらない。彼は素早くフェイントを入れながら犀顔のヤツの動きを見極めると、その股間をスライディングですり抜けた。

「!」

 ローレンツは驚きを隠せない。予想外のスピードにヘルツを見失ってしまったのだ。これなら行けるぞ。ヘルツは更に速度を上げるために強く床を踏み込む。だがそんな彼に今度はシャトーレが襲い掛かった。

「なかなかの身のこなしね。でも私の攻撃は(かわ)せるかな、坊や」

 長い耳を(なび)かせたシャトーレが鋭い手刀をヘルツに向ける。そのスピードは目にも止まらぬものであり、当然ながらそれを見ていたリュザックらトランザムの隊士達はヤバいと息を飲んだ。ただそこでヘルツは神掛かった俊敏性を発揮する。最新のバトルスーツを装備していたのも功を奏したのだろう。彼は驚異的な速度で繰り出された兎顔のヤツの手刀を、それを凌駕する途轍もない速度で(かわ)したのだ。

「な、なんて子なの。私の攻撃を(かわ)すなんて信じられない……、でも」

 とても人間の動きとは思えないヘルツの体配にシャトーレは舌を巻く。しかしついていけないスピードではない。いや、むしろスピード的には自分の方が絶対的に速いはずだ。そう考えたシャトーレは素早く先回りをして、国王が去った通路を塞ぐ体勢を取った。

「クソっ。先手必勝で出鼻を挫きたかったけんど、やっぱり上手くいかんきか。けんどやり方は変わらんき。戦闘隊形はバタフライを維持するで。道を確保してヘルツを先に行かせるがよな!」

 リュザックが強く吠える。最優先はジュールの彼女を救う事。その為には二隊に分けたトランザムで道を切り開き、ヘルツをその先に行かせさせなくちゃいけないのだ。しかしヘルツの動きを目の当たりにしたシャトーレとローレンツは慎重になっている。これではヤツらを出し抜くのは難しい。リュザックの額から大量の汗が流れ落ちる。だがそこで彼は更に大きな切迫感を背中に感じた。ヘルツに蹴り飛ばされた狸顔のヤツが立ち上がって来たのである。

「マズいきね。数では上回ってるけんど、ヤツ三体を相手にするには荷が重過ぎるき。どうすればここを切り抜けられるでよ――、ん? そうか!」

 リュザックは足元に転がっていた【大地の鏡】の存在を思い出す。そして彼はその鏡を拾い上げると、腰を抜かして(うずくま)っているエルステッドに向かい言った。

「おい、お前。この鏡を持って城から脱出するがよ! 道は俺が切り開いちょるき!」

 リュザックは考えた。国王が去った方向と城の出口は逆方向だ。鏡を持った男が城の出口に向かえば、ヤツはそれを防ごうとするはず。そうなれば必然的にヤツらは二手に分かれなければならない。ヘルツのスピードがあれば、ほんの少しの隙があればヤツを出し抜けるはずだ。その為の隙を作るんだ。

 リュザックはそう考えてエルステッドに鏡を投げ渡した。そしてその考えを他のトランザム隊士らも把握する。もうこの作戦しかない。命を懸けるぞ! ――がしかし、肝心のエルステッドが使い物にならなかった。

 彼はあまりの恐怖に腰を抜かし動けなかったのだ。こんな状況も有るかも知れない。そう覚悟を決めて城に乗り込み大地の鏡を奪取しようとした。そしてあと一歩というところまで来た。だが獣神である国王に(にら)まれ、かつ三体ものヤツに囲まれると、彼の覚悟は崩壊してしまったのである。失禁し震え上がるエルステッドは自力で立つ事すら出来なかった。

「なにしてんだお前は! 根性みせるでよ!」

 リュザックはエルステッドの胸ぐらを掴み強引に引き起こす。だが足にまったく力が入っていないのか、エルステッドの体はひどく重かった。

 腕に伝わる重さに愕然とするリュザック。こいつが動けなければ作戦は成功しない。リュザックは憤りを感じて拳を強く握る。ただそこでトランザムの隊士の一人がリュザックに言った。

「ここは任せろリュザック! お前は鏡とそいつを連れて行け!」

「お、お前ら」

「今はそれしかないんだ。これはお前の作戦だぞ。さぁ行け! お前が走らないと作戦が始まらないぞ!」

「す、済まんき。こいつを城の外に出したら戻ってくるがよな!」

 そう叫んだリュザックは鏡ごとエルステッドを抱きかかえる。そして彼は城の出口に向かい全力で駆け出した。



 獣神達の戦いの影響に耐え切れなかったのだろう。ここに来て地下施設は倒壊し始めた。長く先の見えない亀裂が壁や床に複数刻まれていく。天井からはバラバラとコンクリート片が雨の様に降り注ぐ。ただそんな中にまだ取り残された者達がいた。それは光を失ったマイヤーと、彼の肩を担ぐエイダだ。

 二人はゆっくりとした歩調で地下施設の出口を目指して進む。負傷したマイヤーの体を気遣っているのが最大の理由だが、施設の崩壊によってほとんどの照明が消えてしまい、どこに進めばいいか分からないのも歩むスピードを早められない理由だった。

 それでも二人は決して諦めずに出口を目指す。きっと彼らは命を賭して戦ったティニの想いを無駄には出来ないと感じているのだろう。

 少しでも気を緩めれば弱音を吐き出してしまいたくなる。いつ完全に崩壊して生き埋めになるか分からないし、暗闇に包まれる中では進んでいる方向が正しいのかどうかすら判断出来ない。でももしここにティニがいれば諦めないはずだ。マイヤーとエイダは心の中でそう思いながら必死に足を進めた。だがそこで彼らの想いを打ち砕くような事態が発生する。猛烈な轟音とともに目の前の通路の天井が崩落し、彼らの行く手を(ふさ)いでしまったのだ。

「くっ、ここまでか」

 マイヤーが力無い言葉を吐き出す。たとえ目が見えなくても、先に進む為の通路が塞がれてしまった事くらい理解出来るのだろう。

 ティニの為にも諦めたくはない。生きる希望を捨てたくはない。しかし現実は残酷であり、行く手を阻まれた二人の心は折れる寸前にまで至っていた。

「エイダ。君だけでも脱出してくれ。……と言いたいところだけど、俺を放っておいたところで、この状況じゃどうにもならないな」

「そうですね。残念ですけど、もう無理かも知れません――」

 さすがのエイダも観念したのか。彼女は目が見えないマイヤーに向かって苦笑いを浮かべて見せた。

 それはとても寂しい表情だった。親友であるティニがその命と引き換えにマイヤー隊長の命を救ってくれたのに、自分には何も出来ない。彼女は悔しくて悔しくて仕方なかったのである。

 でも唯一救われるのは、その遣り切れない表情をマイヤーに見られなかった事であろう。諦めた顔なんて誰にも見せたくない。エイダは従兄(あに)であるファラデーと同じく、強い信念を持った人間なのである。決して他人に泣き顔なんてみせられない。だから不謹慎にもマイヤーが失明していて良かったと思っていた。

 エイダは溢れ出た涙をさっと手で拭う。弱い自分をマイヤーに気付かれたくない。彼女はそう思い急いで涙を拭いた。でもそんな彼女の胸の内など御見通しなのだろう。マイヤーは優しくエイダの肩を抱きしめた。ううん、むしろ目が見えないからこそ、彼女の折れる気持ちがより深く感じられたのかも知れない。

 地下施設の崩壊は止まらない。恐らくそう時間が経たないうちに、二人がいる場所も瓦礫の下敷きになってしまうだろう。引き返しても出口は無いし、そもそも引き返せる通路がまだ存在しているかも分からないのだ。ならばこのへんが諦め時なのではないのか。マイヤーはそう考え、エイダの肩を強く抱きしめた。そしてその瞬間は直後に訪れる。激しい振動が発生すると共に、彼らのすぐ近くの天井が大崩落したのである。

「ズガガガガーン!」

 地鳴りと共に空が落ちて来た。そう錯覚するほどに激しい崩落が続く。しかし意外にも崩落はすぐに収まり、周囲は再び暗闇の静かな空間へと戻っていった。

 地下施設の完全な崩壊は(まぬが)れた。死を覚悟していただけに、命を取り留めたマイヤーとエイダはホッと胸を撫で下ろす。それに先程の衝撃でどこかの証明設備が復帰したのか。(わず)かではあるものの、二人の周囲に明りが差していた。

 エイダはその微かな明りを頼りに脱出口がないか探し出す。ティニがまだ諦めるなって言ってくれているに違いない。彼女はそう思い、必死で目を凝らした。でもそこで彼女はとんでもない存在を目にして体を硬直させる。なんとそこに腐った【象の顔】をした、巨大なヤツが倒れていたのだ。

 あまりの衝撃にエイダは息をするのも忘れるほど戸惑ってしまう。するとそんな彼女の異変を感じ取ったマイヤーが気を遣い小さく問い掛けた。

「どうしたエイダ。何か見つけたのか?」

「――、た、隊長。そ、そこにヤツがいます。それもかなり大型のヤツが。もしかしたらさっきの天井の崩落は、こいつの重さに耐えられなくなって崩れたのかも知れません」

「ヤツが……。それで、ヤツはどうしている?」

「動く気配がありません。気を失っているんでしょうか。――――あ!」

 エイダは思わず声を漏らす。ゆっくりとした動作で象顔のヤツが体を起こし始めたのである。

 こんな場所で戦えば勝ち目はない。率直にそう感じたエイダは身震いする。それでも彼女はマイヤーを守ろうと彼を背後に隠し、ヤツに対して身構えた。

「無茶だエイダ。こんな場所じゃ勝てるわけがない。俺が盾になるから君は逃げろ」

「黙って下さい。まだ戦うと決まったわけじゃない。様子を見ましょう。何か変です」

「変?」

 マイヤーはエイダの言葉に首を傾げる。エイダは何を言っているんだ。目が見えないだけに状況が全く把握出来ない彼は過度の不安に(さいな)まれる。でも今はエイダに任せるしかない。彼女を信じろ。マイヤーはいざという時の為に小銃を握りながらもエイダの出方を待つ事にした。


 エイダは状況を(うかが)っている。彼女は感じたのだ。象顔のヤツに敵意がまったく無いのだと。

 初めにヤツを見た時は驚き戸惑いはしたけど、しかし冷静になって観察すればまったく怖さを感じない。理屈なんて分からないけど、でもその感じ方は間違っていない気がする。そう考えたエイダはマイヤーからそっと離れ、思い切ってヤツに話し掛けてみた。

「ねぇ、あなたここで何しているの? もうこの場所は長くはもたない。早く脱出しなければ、あなただって無事ではいられないでしょう?」

「ん? これは驚いたな。まさかこんなところで普通の人間に遭うとは思わなかった」

「あなた、アカデメイアなんでしょ。もちろんこの施設についても詳しいんでしょ。お願い教えて、私達はここから脱出したいの」

「ふぅ~。どうやらここがアカデメイアの地下工場であるのは間違ってはいないようだな。助かったよ。私は【瞬間移動】して来たんでね。移動先が正しかったか確認できて良かった。それにしてもなんて有り様なんだ。ここで何が起きたんだい?」

「どうやらあなた、アカデメイアに置いてきぼりにされたヤツじゃないのね。ここで何が起きたか知りたいの? 教えてあげたら私達を助けてくれる?」

「この私に取引を求めるのか、お嬢さん。いや、この姿を見て怖気づかないだけの事はあると考えるべきか。まぁ良いだろう。アカデメイアやヤツの存在についても知っていそうだし、それに今時の若い軍人にしては頼もしい顔つきをしている。私で良ければ力になろう」

「ありがとう。取引成立ね。なら初めにここで何が起きたか教えてあげる。少し前までこの施設の外で三体の獣神が戦っていたのよ。その衝撃で地下施設は崩壊する一歩手前の状態になっているの。それにこの施設の中でも私達と複数のヤツとで戦闘があった。もうここは滅茶苦茶なのよ」

「ふむ。三体の獣神というのは、もちろん【燦貴神(さんきしん)】と考えていいんだろうね。この地下施設は私が知り得る限り、相当頑丈な作りをしているはず。それがこんな状態になってしまっているのだから、お嬢さんの話しは正しいと判断出来るよ。ただ一つだけ私の方から質問をさせてくれないか。お嬢さんは獣神達が何を目的として戦っていたと思う? 一人の女性の存在をめぐって争っていた。そんな風には見えなかったかい?」

「ど、どうしてそれを。私達はその女性(ひと)を助ける為にここへ来たの。あなたは知っているの、なぜ獣神達があの女性(ひと)を必要とするのか。なぜアメリアさんが獣神に狙われているのかを!」

 エイダは象顔のヤツに近づき強く詰問する。自分の胴よりも太い腕を持つヤツに接近するのは自殺行為だ。ヤツの気が変わり、腕を振るわれれば即死は免れないのだから。それでも彼女はヤツに(すが)った。

 象顔のヤツから受ける不思議な違和感。彼女はその正体に気付いたからこそ、危険を無視してヤツに詰め寄ったのである。そう、象顔のヤツから感じたのは、観測所で非業の死を遂げた【猪顔のヤツ】と同じ感覚だったのだ。

 正直に話しをすれば分かってくれるはず。私達の力になってくれるはず。エイダはそう期待を込めて象顔のヤツの目を真っ直ぐに見つめる。ただそんな彼女に向かい象顔のヤツが返した言葉は曖昧なものであった。

「そうか、女神の巫裔(かんえい)の名はアメリアと言うのか。北の里では錯覚に陥り誤解してしまったからな。やはり下調べを怠るのは良くないな」

「誤魔化さないで! 獣神がアメリアさんを追う理由を教えてよ!」

「そのアメリアという女性は今どこにいる? すでに獣神に連れ去られたか」

「こんな地下に取り残されてて、そんなの知ってるわけないでしょ。でもアメリアさんにはジュールさんがいる。あの人が諦めない限り、きっとアメリアさんは無事なはずよ!」

「ジュール……。それは月読の胤裔(いんえい)の事か。そうか、あの少年、いや、あの青年もここに来ているのだな。どうもルーゼニア教の【予言】は怖いくらい当たっているらしい。ならば私も次なる行動に移らねばなるまいな」

 象顔のヤツはそう言うと(おもむろ)に立ち上がる。やはりその巨体に見合うだけの体重があるのだろう。ヤツが一歩足を踏み出しただけで施設全体が(きし)み壁に亀裂が走って行く。もう施設は倒壊する一歩手前だ。ただそんな中でヤツはエイダとマイヤーを見て確認した。

「君達二人をここから脱出させるのが取引の内容だった。だからもし他に誰かが取り残されていても、私はその救助には向かわないぞ。それでも構わないかね?」

 エイダはその問い掛けに悩む。アメリアやジュールはここから脱出できているのか。でも確かめようがない。彼女はグッと奥歯を噛みしめながら悩み続ける。ただその時、マイヤーがエイダの背中を掴んで彼女に告げた。

「もう時間切れだ。数分もしないうちにこの場所は倒壊するだろう。ジュール達の事は信じるしかない」

「――分かりました。行きましょう」

 エイダはマイヤーにそう返すとヤツの目を見て(うなず)く。するとヤツはエイダとマイヤーの体を少し乱暴に両脇で抱え込んだ。

 足元から伝わって来る振動が徐々に大きくなっていく。天井からはコンクリートの破片が絶え間なく降り落ちて来る。地鳴りの様な音が強烈に響き渡り耳が痛い。ただ今になってエイダとマイヤーは焦りを覚えた。どうやってこの危機的な場所から脱出するのかと不安を感じたのだ。だがそんな二人の危機感をよそに、象顔のヤツは少しだけ楽しそうに告げる。それは不確かではあるが、今後の未来を予想するのもであった。

「しっかり掴まっていろ。地上まで一気に届けてやる。ただ君達に一つだけ忠告しておくぞ。ジュールとか言ったな。その月読の胤裔(いんえい)は関係する者をことごとく不幸に陥れて行く。君達が今こうして命の危険に晒されているのが何よりの証拠だ。だから君達はこれ以上月読の胤裔(いんえい)に関わらない方がいいぞ」

 象顔のヤツは腰を落として力を溜め込む。一体何をするつもりなのか。ただそんな状態のヤツに向かい、マイヤーは口元を緩めながら言い返した。

「忠告は有り難く受け取っておく。でも俺は、俺達は絶対にジュールを見捨てたりはしない。だってあいつは【仲間】なんだからな!」

「フン、良く言った。見上げた覚悟だ。ならば最後まで意地を通して見せろよ! ――ダダダダダッ」

 ヤツがそう叫んだと同時に激しい轟音が響き渡る。ついに天井が崩落したのか。しかしその轟音はジェットエンジンの様な機械的な音にも聞こえてならない。一体何の音なんだ。

 マイヤーとエイダは直感としてそう思いなが耳をふさぐ。だがそれも束の間、二人はまるで打ち上げロケットにでも乗っている様な錯覚に陥った。なんと彼らの体が急速に上昇したのだ。

 通常の数倍の重力がマイヤー達の体に圧し掛かる。体は上昇しているのに、なぜか足首を掴まれ地下に引きずり降ろされているみたいだ。息が出来ないのは当然であり、それ以上に全身の骨がメキメキと軋んで悲鳴を上げる。ただそれはほんの数秒間の出来事であり、二人は目の前がパッと明るくなるのを感じて現実に戻った。

「ドサドサッ」

 まるで放り投げられたかの様にしてマイヤーとエイダの体が地上を転がる。だけど間違いない。少々乱暴ではあったが、二人は地下施設からの脱出に成功したのだ。

 エイダは青い空を見て自分達が地上に居る事を認識する。ただそこで彼女はすぐに周囲を見回した。どうしてなのか、象顔のヤツの気配がまったく感じられなかったのだ。

 案の定、彼女が見回した場所にヤツはいなかった。私達を地上に放り出し、ヤツ自身は地下に留まったのか。自分を犠牲にして? ううん、そんなはずはない。ヤツはきっと生きている。あいつはまだ地下に用があり、何かしらの目的を果たす為に残ったんだ。エイダはそう自分に言い聞かせながら、目が見えないマイヤーを気遣った。

「立てますか、隊長。どうにか地上に出られましたが、まだ安全だとは言い切れません。辛いでしょうけど、移動しましょう」

「そ、そうだな。俺はこんな状態だし、君の判断に任せるよ」

 マイヤーはそう言ってエイダに従ってみせた。彼はヤツの性質を正しく見極め、冷静に対応した彼女の能力に敬意したのだろう。これじゃどっちが上官か分からないな。マイヤーはエイダに気付かれないよう苦笑いを浮かべていた。

 エイダの肩を借りながらマイヤーは必死に歩き始める。足元から確かに伝わって来る振動は、間違いなく地下施設が崩壊している現れだろう。ぐずぐずはしていられない。いつ自分達の足元が崩れ落ちるか分からないのだ。ただその時、二人は大きな影に包まれる。

 太陽が雲に隠れたとか、そんなレベルの影ではない。明らかに何かによって太陽が遮られて出来た影だ。そう感じたエイダは素早く上空に視線を向けようとする。だがそれよりも早く、彼女達の前に巨大な人影が着陸した。

「ドスンッ」

 エイダは思わず目を手で覆う。太陽光が反射して黄金に輝いたボディが眩しい。そう、彼女達の前に姿を現した巨大な人影の正体は、大型ロボットである賽唐猊(さいとうげい)だった。そしてその胸のハッチが開くと、そこからブロイとリーゼ姫が顔を出す。地上に放り出されたマイヤーとエイダの姿を見つけ助けに来てくれたのだ。

 エイダはあまりの嬉しさに笑顔になる。これで助かると思いホッとしたのだろう。ただそんな彼女に向かい、ブロイが神妙な顔つきで言う。それはエイダの笑顔を打ち消すのに十分な悲しみが込められていた。

「脱出する。もうここには、誰もいない…………」

 ブロイはエイダ達の前に賽唐猊(さいとうげい)の手の平を差し出す。そこに乗れという事なのだろう。そしてそんなブロイが操る賽唐猊(さいとうげい)のコックピットの隅には、ひっそりと【死の鏡】が置かれていた。



 紫の竜がアダムズ城の上空を旋回する。女神の巫裔(かんえい)であるアメリアを取り返しに来たのだ。しかしどういう訳か、紫の竜はアダムズ城の上空を旋回するだけで中に入ろうとしない。いや、違う。紫の竜は黒き獅子が支配するアダムズ城にこれ以上近づけなかったのだ。

「虚数軸の次元に逃げ込んだだけと思いきや、黒き獅子の奴め。科学理論を融合させて邪魔な結界を張ったな。それもこの解は神の力をもってしても太刀打ち出来ん。まったく、厄介な事をしてくれる。はやり殺しておくべきだったか」

 紫の竜は苦虫を噛み潰したかのごとく悔しさを滲ませる。やっと見つけた女神の巫裔(かんえい)が奪い去られてしまったのだ。これにはさすがの獣神も憤りを隠せない。でもだからと言って諦めるわけにも行かず、紫の竜は結界の(ほころ)びが無いか探索を続ける。だがその時だった。突如感じた禍々(まがまが)しい気配に紫の竜はその身を強張らせる。そして獣神は迦具土(かぐつち)のバリアを張りながら(なげ)く様に小さく(つぶや)いた。

「あれほど自身満々に宣言したのに、トウェインの奴はしくじりおったか。チッ、使えない奴め。海の鏡が手元にない今、これ以上の体力消耗は危険水域だが仕方あるまい。銀の鷲よ、今度こそ私がお前を殺してやる」

 紫の竜はその目を薄緑色に輝かせる。戦闘態勢に入った証拠だ。だがしかし、紫の竜は目の前に現れた存在を見て驚きを露わにした。燃えさかる熱い気配を感じたからこそ、紫の竜は銀の鷲が向かって来たものだと疑わなかったのだ。しかしそこに姿を現したのは銀の鷲ではなかった。

 炎で燃え上がる大きな翼。それだけは銀の鷲のものにも見える。しかしそこにいるのは【(おおかみ)の顔】をしたヤツの様な存在だった。

 真っ赤に光る瞳に全身を覆う銀色の体毛。よく見れば銀の鷲の特徴と似たところがいくつかある。だがこいつは銀の鷲じゃない、まったくの別物だ。そう、紫の竜にはその存在の正体に心当たりがあり、怖気づく事なく言い放った。

「この状況でよく覚醒できたものだな、月読の胤裔よ。いや、追い詰められたこの状況だからこそ、【月読の奏】を感じたと言うべきか。だがな【修羅(しゅら)】よ。今更護貴神(ごきしん)であるお前が力に覚醒したからといって、状況は好転しやせんぞ。お前も女神の巫裔(かんえい)を求めてここに来たのだろうが、城には特殊な結界が施されている。いくらお前が神の力に目覚めたとて、城の中には簡単には入れんぞ!」

「……」

 紫の竜に対し、修羅と呼ばれる存在は反応を示さない。するとそんな修羅の態度が気に障ったのか。紫の竜は怒りを込めて吐き捨てた。

「親切に教えてやったのに、お前のその態度は何だ! 護貴神(ごきしん)ごときが調子に乗りおって。身分を弁えるが良いわ!」

 紫の竜の背後に複数の水の塊が形成される。一つ当たりの直径は3メートルほどの大きさか。それがあっという間に百に近い数にまで膨れ上がったのである。城の上空は暗雲に覆われたかの様に真っ暗になってしまった。

「せっかく覚醒したのに申し訳ないが消えてもらうぞ! こちらとしてもこんな所で時間を掛けたくないのでね。一気に決めさせてもらうぞ!」

 そう意気を吐いた紫の竜は瞳を輝かせる。すると同時に背後にあった水の塊が凄まじい速度で発射され修羅に向かった。

 紫の竜が繰り出した志那都飛虚(しなつひこ)は威力重視の水玉砲撃だ。その一発がロケット砲にも匹敵する威力を保有している。それが同時に百発近くも放たれたのだ。不確定な存在である蒼き(ヒル)ならいざ知らず、実態のある修羅と呼ばれる存在が、それに耐えうるなど不可能であろう。

 だが修羅は超絶な威力の志那都飛虚(しなつひこ)を真正面から防いだ。体の正面に燃え上がった【(たて)】を構え、衝撃から身を守ってたのだ。

「く、【久那止(くなと)の盾】だと!? なぜ護貴神(ごきしん)であるお前が銀の鷲の力を使うのだ? ――ん、まさかお前、その盾は、ぐわっ」

 紫の竜が激しく吹き飛ばされる。志那都飛虚(しなつひこ)の強烈な砲撃に構わず、盾を構えた修羅が強引に突っ込んで来たのだ。信じられない突進力である。ただ修羅は吹き飛ばした紫の竜に追い打ちを掛けようとはしない。それどころか修羅は獣神を無視してアダムズ城に向かい突き進んだ。

「バ、バカめが。私同様に城の結界に弾かれるだけだぞ。ならばその弾かれた瞬間にトドメを刺させてもらおうか!」

 紫の竜はそう言って鋭い爪を掻き立てる。だがしかし、獣神が目撃したのは信じ難い光景だった。

 なんと修羅は何事もなく城に侵入したのだ。そしてその姿は城の中に消えていく。もしかして城の結界が消えたのか。そう思った紫の竜は修羅の後を急ぎ追い掛ける。ただ無情にもその巨体は目に見えない結界に弾かれてしまった。

「どういう事だ。まさかあの修羅は黒き獅子が作り出した虚数軸世界の鍵を持っていたというのか」

 紫の竜は愕然とするしかなかった。もう自分に残された力は少ない。結界は破れないだろう。そう判断した獣神は、不甲斐ない表情でアダムズ城を呆然と見つめるしかなかった。



 リュザックがエルステッドの腕を掴みながら懸命に走る。目指すは城の出口であり、それはもう目と鼻の先だ。後方からヤツの追手が来る気配はない。トランザムの皆が堪えてくれているんだろう。でもヤツ三体を同時に相手にするのは極めて危険だ。そう感じていたリュザックは早く皆の所へ戻りたいと焦りを感じながら走っていた。

 だがどうにもエルステッドの足が遅い。太っているからなのか。そもそも運動不足なのか。息は死ぬほど荒げているのに、肝心の走るスピードは呆れるほどに遅かった。

「お前、真面目に走るがよな! こんなところで時間喰ってる暇はないんだきよ!」

「ハァハァハァハァハァ――、ゲボッ」

 リュザックの罵声に反論する代わりにエルステッドは走りながら嘔吐する。それは見るに堪えない姿だ。その為リュザックは仕方なく足を止める。そしてエルステッドを通路の隅に移動させると、胃の中の物を全て吐き出させた。

「冗談じゃないでよ。同じ科学者でもヘルムホルツとはえらい違いだきね。なぁお前、もう少し普段から体を動かすがよな……ん!」

 リュザックはエルステッドの背中を摩りながら気遣うも、背後に妙な気配を感じて素早く振り返る。この気配は知っているぞ。とんでもなく(いや)しくて(おぞ)ましい感覚。でもまさかここで再会するとは思わなかった。

 酷い不愉快さにリュザックは背中を粟立たせる。そう、彼が目にしたのは【豹顔のヤツ】だったのだ。ただそれでもリュザックは冷静に状況を見定めてからエルステッドに言った。

「この鏡を持って出口まで走るき。泣き事なんか言うでないぞ。お前、男だろ。根性出して走るきね、いいな!」

 そう言ってリュザックはエルステッドの背中を強く押す。そして彼自身はエルステッドの盾となるよう豹顔のヤツの前に立ちはだかった。

 エルステッドはふらつきながらも懸命に走っていく。きっと豹顔のヤツの恐ろしさを感じ取ったのだろう。しかし如何せん足が遅い。こんなスピードじゃヤツからは逃げられないぞ。リュザックはそう思い肝を冷やす。だがそんな気を揉む彼に向かい、意外にも豹顔のヤツは素っ気なく言った。

「見逃してやるから早く行け」

「なっ、お、お前、黒き獅子を裏切るんかえ」

「つまらない質問するな。俺はもともとどちらでもいいのさ。その時が楽しければいい。それだけなんだよ」

「そんな事言うて、後ろからズドンとやる気だろうが。お前の卑劣さは分かっとるでよな!」

「フン。普段の俺ならきっとそうするだろう。でも今日の俺はさすがに疲れたっていうのが本音なのさ。ちょうどいいオモチャも手に入れたことだし、早く休みたいんだよ」

「ケッ。まぁいいぜよ。お前にその気がないなら遠慮なくトンズラするきね……!」

 城の出口に向かい駆け出そうとしたリュザック。だが彼は豹顔のヤツが抱えた【それ】を見て愕然とした。

「あ、あ……」

 リュザックは言葉に詰まり声が出ない。ううん、それどころではないのだ。だって豹顔のヤツが抱えていたのは切り落とされた【アニェージの首】だったのだから。

 信じられるわけがない。いや、信じたくない。そう願ったリュザックはヤツを前にしてきつく目をとじる。それは場合によっては自殺行為とも呼べるだろう。ヤツがその気なら一瞬でリュザックは殺されるはずなのだ。だがそれでも彼は目を閉じて、さっき見たものが見間違いであってほしいと願った。そして彼はゆっくりと目を開き、再度ヤツが抱えたそれに視線を向けた。

「――貴様、貴様がアニェージちゃんを殺しただきか!」

「おお、そうだよ。この女は強かったぜ。マジで死ぬかと思ったからな。でも勝ったのは俺だ。この首はその戦利品ってわけだよ」

「テメェ、もしかしてその首で何かするつもりなんかえ」

「アハハ。決まってるだろ、そんなモン。アソコを舐めてもらうのさ。まぁ動かすのは自分だけどな。なんならどうだ、お前もつきあうか? アハハハ!」

 ヤツが意気揚々と笑い声を上げる。やっぱりこいつはどうしようもないイカレ野郎だ。ただそんなヤツに紫色の光が放たれる。リュザックが構えた稜威之雄覇走(いつのおはばり)が、彼の怒りに反応して急激に輝き出したのだ。そしてリュザックはヤツに告げる。それは短くも激しい憎悪に塗り潰されたものだった。

「下衆が、もう何も喋るな。ぶっ殺してやる」

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