羅針盤
掲載日:2026/09/12
ひとを差す羅針盤を海中に沈め
誰彼知らないみたいに
泳いでゆく
この時だけは自由だからと
懐中時計は壊れたみたいに
この思いを書くのは何故だろう
海に沈めた羅針盤は今もなお
誰かを差しているのに
みぞおちに落ちる雨音を聴く度に
尾ビレが跳ねて真っ直ぐに
羅針盤の針先は探す
ささいな音さえみくびることなく
あなたを想えば聴いていられる
あなたを想えば優しくいられる
握る手に込められるほどの想いを合わせて
翼のように広げたようなあの両腕に包まれるように
軽やかに越えてゆきたい




