守護者
「そろそろお前には、後を継いでもらうぞ。四年間仕事もして慣れてきただろうしな」
「うげぇ、」
西の守護者は守護者の中で一番仕事が多い。
西大陸は別名保護大陸と呼ばれており、特に精霊や竜種は九割以上が西大陸に住んでいる。
たまに契約精霊や飼い竜として別大陸に行くこともあるが、西大陸以上に住んでいる場所はない。
守護者の仕事の中にはその精霊達と竜種の監視があるのだ。連れ去られないようにとか、別大陸へ飛んで行かないようにとか。
あと世界樹の点検もある。恐らくこれが一番大変。
でかいし、世界樹が汚染されたらそれはもうとんでもないことになるので、しっかり保護しないといけない。
そんな感じで仕事が多いし、一つ一つが大変だ。
それでも私が守護者になる事を選んだ理由は、神核にある。
守護者の力元となる神核を創ったのは前世の私だ。
つまり、前世の私の力が多少入っている。
この身体の魂はノアのものだ。元々のウルの魂も入っているが、今身体を動かしているのは私、ノアなのだ。
神核を取り込めば、前世の力が少し使えるかもしれない。
前世の力が少しでも使えるのなら、他の創造者に連絡がとれる。犯人探しを協力してもらうことが可能かもしれない。
ノアの力は人探しには向いていないのだ。
なので取り戻しても犯人探しには役立たない。
六千年以上経ってしまった今、魔力残滓を追うのも難しく、そういうのが得意なやつに頼むしかない。
(守護者になるのは私にメリットがある。だから、仕事は我慢するしかない…)
だが、それにしても、
「わたしまだ二十一ですよ?早くないですか?」
「確かに歴代最年少かもな。でも知らん。こっちは早く隠居したいんだ」
「自分勝手ー」
「就任の儀は涼節が終わったらやる。それまでに、しばらく分の仕事を片付けておけよ」
「はいはい」
守護者は就任後、三ヶ月間守護者が集まる聖域で眠る。これは身体への負担を聖域で少しでも和らげるためだ。
いくら守護者としての適合性があっても、自分の体内にいきなり別の力が入れられれば身体には大きな負担がかかる。強制的に眠ってしまうため、就任の儀は聖域内で行われる。
ちなみに新しい守護者が三ヶ月眠っている間は前任の守護者が大陸を主に守る。
と言っても、力はもう失っているのでやれるのは簡単なことだけで、邪神討伐等は他大陸の守護者を呼んでやってもらうしかない。
どっちかって言うと見守り係だ。
「師匠はもうすぐ隠居ですか」
「いや、直ぐには隠居しないぞ?しばらくはリアリルの仕事の補佐をな」
「そういえば、リリーの仕事って何?」
「竜の谷の管理」
「なんですかそれ」
「お前は守護者と国からの仕事を両方やるだろ?さすがに大変だと思ってな。リアリルに竜の谷の監視を少し担って貰えば楽になると思って。お前とも関われるしな」
「なるほど?」
竜の谷はフォッツの真反対にある。フォッツは東側、竜の谷は最西端だ。
別に転移すればいいだけの話だが、空間魔法は少しでも空間が歪むと位置がズレたり使えなかったりする。
その時は飛行魔法で行かないといけないので、緊急性が高いと間に合わない可能性もある。
そういう時の為にリアリルに竜の谷付近に居てもらうのだろう。
リアリルの実力なら時間稼ぎできる。
「でもちょっと危なくないですか?竜の谷って結構密猟者来ますよね?」
「竜長が目を光らせてるから大丈夫だ。今まで小竜を連れ去られた事はないしな。それにリアリルもお前がアカデミーに行ってる間に強くなった、密猟者などどうにでもできる」
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよウルさん」
「ならいいけど」
話が一区切りし、ふぅと息をつく。
外はもう暗くなり始めていて、夕食時だ。
リアリルがご飯の準備をすると言って、席を離れた。今や立派な調理担当だが、もうすぐリアリルも出ていき前の質素な木の実生活に戻ると思うと少し残念だ。まぁ、料理をすればいいだけの話だが。
リアリルが準備している間に師匠がまた話し始める。
「しかし、フォッツ周辺に留まっていないといけないとは不便だな。アラードのやつも少しくらい気を使えという話だ。」
アラードとはフォッツの現王である。
今私が次期守護者なのを知っているのは家族とリアリル、陛下、あとは現守護者達だ。
師匠は私が守護者になる事を知っているのだから、国から解放しろよと思っているんだろう。
「仕方ないですよ、表向きは公爵家の二女なんですから」
守護者の正体は、その大陸にある国の王と守護者本人の家族にしか知らされない。
あとは守護者と個人的に親しい者に守護者自身が教えたりだ。
理由は危険だからだ。
守護者というのは恨みを買うこともある。まぁ逆恨みだが。その時に正体が全員にバレていたら守護者本人ではなく、守護者の周辺人物が危ないのだ。
なので守護者の正体を知る者は限られる。
人前に出る時も基本的に顔を隠している。
神核の力を引き出すことで、姿が結構変わる場合もあるので、それを使って本来の自分の姿を隠している者も居るらしい。
師匠はあんまり変わらないので顔を隠しているそうだ。
まぁでもほとんどの守護者は守護者としての仕事以外は何もしておらずそもそも人とあまり関わらないので、別に顔くらい大丈夫じゃね?と思ってるらしい。
人前で戦う時に顔を隠していたらこちらが不利になるので、普通にそういう時は顔を出すとか。
前々から思っていたが、仕事以外の事適当だよな。
そんな事を考えてるうちにご飯が出来たようだ。
三人で出来たてのご飯を食べて、その日は寝た。
ようやくメインストーリー開始です、これから更新速度が少し落ちます




