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未来の家族との昼餉

 

 教室に戻り未来の嫁と娘の衣織と亮太達を含め五人での昼食。弁当達を皆んなで仲良く机の上に広げ、衣織と三人に声を掛ける。


「四人ともお疲れ様。あの試合、どっちが勝ってもおかしくなかったが、衣織と紗奈が勝ったんだな。やったな。ただ、織一と結衣の二人で息合わせてすげえ頑張ってたし、勝利まであと少しの所だったもんな。惜しかったぜ、二人とも。次やった時にはどうなるかわからんな。」

「四人ともおつかれ。いやぁほんとだぜ、四人ともバレー部顔負けの試合だったんだからな。あれ部活の奴らが見てたらスカウトもんだぞ。」


 そんな俺達二人の感想を聞き、少し悔しそうな織一と結衣。それとは対照的に嬉しそうにしている衣織と紗奈。


 そんな顔するなよ。織一と結衣は二人とも凄い頑張ったんだから。


「あーもう。だからな…二人ともよく頑張ったよ。」


 綺麗な黒髪の織一と日差しで少し輝く銀髪の結衣の頭を撫でる。


「にゃ、にゃにをする。真田。まぁ確かに頑張ったが、紗奈と衣織には一歩届かずだった。結衣の手厚いサポートがあったのに、私のスパイクのミスで負けたんだ。」

「えへへ。真田くん、負けたのに撫でてくれて嬉しい。そんな事ないよ織一ちゃん。私の上げた球が位置が悪くて、打ちにくいからミスしちゃったんだよ。」


 二人ともほんのりと色付き出した林檎のように顔を赤くしつつも俺の手を受け入れる。そして仲良く同じようにミスした内容を話し合う二人。


 いつの間にか二人の仲は名前で呼び合う程に睦まじくなっていた。ボールは友達とはよく言ったもんだ。

 ボールで友達が結衣に出来ていやがる。と少し微笑んだ。


 そんな負けた二人を優しく撫でていると、やがて勝った衣織と紗奈のように嬉しそうな顔をして、はにかんだ笑顔をこちらに向ける。


 すると先程の顔とは打って変わって、二人は負けを認め潔い雰囲気とは裏腹に次は負けないとの情熱を感じる顔つきで、衣織と紗奈の方に二人ほぼ同時に向き直る。


「ま、まあ今回は負けを認めるが、次は負けないぞ。衣織と紗奈。」

「そ、そうだよ!次は負けないからね。衣織ちゃん。紗奈ちゃん。」


 そうだ。負けを潔く認めて、次に活かすんだ織一。

 そう。こういう風に友情を育むんだ。結衣。


「うん、勿論!受けて立つよ!織一ちゃん、結衣ちゃん。」

「えぇ、そうね次も負けないわよ。織一、結衣」


 毅然とした態度でそれに臨む衣織と紗奈。


 また二人とも頑張れと心から応援していると、衣織からとんでもない槍が俺に向かって飛んできた。


「ねえ。お兄ちゃん(パパ)、負けた二人にはご褒美があるのに勝った私達にはご褒美は無いの?」

「そ、そうよ。決して撫でられている二人が羨ましいとかじゃなく、当然の権利よ。私達にもご褒美があってもいいんじゃないの?」


 おいおい、今度は勝った方からもねだられているぞ。


「ご褒美って言ってたって、何をしたらいい訳だ?衣織、紗奈」


 少し考え込む衣織、衣織から何か凄い言葉が出てくるのをそわそわした感じで待ち望んでいる紗奈を見ていると


「うーんとね。ご褒美はね、そうだ!私今日お弁当無いからコンビニで買ったパンだけだし、お兄ちゃん(パパ)からあーんで食べさせてもらう権利だよ!」

「なっ!ま、まぁ真司が食べさせてくれるって言うなら食べてあげるわよ。別に、そんな事されるの期待してる訳じゃないんだからね。私が期待してたのは、そのほら。もっと別の…キ、キスとか」


 収穫前のトマトのように真っ赤に染めた顔の紗奈。

 その内容を聞いた食事中の二人のブーイングと共に紗奈が最後に呟いた一言は織一と結衣に飲み込まれた。


「わかったよ。あーんなんて本当に恥ずかしいんだけどな。ほら衣織、あーん、っと悪い。少し大きかったか?」


 衣織には少し大きめの唐揚げを食べさせた。決して太らせるのが目的とかそういうのとは違う。さっき沢山運動した訳だし、栄養を少しでもとパパからの愛だ。


「ううん、ほんなことは、はひよ。」


 衣織は元気に口を動かし、もぐもぐゴクリそんな音が聞こえた気がする。


お兄ちゃん(パパ)からあーんで食べさせてもらうのなんて久しぶりだし。そのおかげで美味しく食べれたよ!」

「そうだっけか?なら良かったよ。わかるか?衣織、俺もこれかなり恥ずかしいんだからな。」


 コクリとうなづく衣織。声に出して返事をするまでもなく、俺に向ける実娘からの笑顔で満足度がわかる。恐らく百点満点だ。


「それじゃあ、次は紗奈な。紗奈は口が可愛いくらい小さいから、少し小さ目の唐揚げな。ほら、あーん」


 口元を恥ずかしさで少し震わせながら、紗奈は口を開ける。


「どうだ?紗奈、唐揚げ、美味いか?」


 咀嚼し、飲み込むまで返事を紗奈を見ながら待っていると


「うぅ…何よ。もぉ…私が食べている姿がそんなに面白いの?えぇ凄く美味しいわよ、真司。昔から変わらず真司の手作りだし。毎日作って欲しいくらいだわ。」


 な、なに紗奈が俺を罵倒せず褒めてきただと…何が起きていやがる。しかも毎日作って欲しいだの言っているが、こんなカロリーが高い油物ばかり食べると太ってしまうぞ紗奈。この前も体重気にしてたろ。


「あぁ。恥ずかしそうにモグモグと頑張ってたからな、そこは面白かったぞ。美味しいか。そうか、なら良かった。ただ、毎日はちょっとな、この前も体重気にしてなかったか?」


 そんな俺のデリカシーの無い一言で紗奈の全身がぷるぷる震え怒りが纏わりついた。


「もぉー!バカ!なんでみんなの前で体重の事を言うの!信じらんない。」

「ご、ごめん。うっかりしてたから許してくれ。今度出掛けたりするのに付き合うからさ。」

「ふ、ふーんなら良いけど、出掛けるのね。嘘つかないでよ。絶対。」


 俺が嘘をついて、その場をやり切ろうとしていると思った紗奈から、薄暗い洞窟のように暗く、冷たい目線を向けられて、俺は思わず全力で頭を上下に振る。

 それを見た紗奈はそれはもう嬉しそうにはにかんだ。


「絶対だからね。約束。」

「あぁ、約束な。」


 紗奈が差し出してきた小さな小指と俺の小指を交差させて約束する。


 そんなやりとりをずっと黙って見ていた亮太から


「おい、真司。なに美女達の頭撫でたりだのあーんだのしてるんだ。チームを勝ちに導いた俺にもあーんをしろ」


 何を言っているんだコイツは。と蔑んだ目線と共に頭頂に手刀を食らわせる。


「いってえ。何すんだ真司。俺にも美女達のようになにかしら当然の権利があるはずなんだが?」


 腕を組み俺に額がくっつく程まで至近距離に顔を近づけ睨んできているバカはほっといても、ま、いいか。

 なんかあったら華ちゃんにFINEだ。コイツは華ちゃんからのあーんとなでなでを所望しているぞと、ククッとニヒルな笑いを浮かべる俺をよそに、そのやり取りを見ていた四人は同時にクスッと笑みを浮かべる。


 駄目だ、全然嫁わかんねえ。


 さて、午後からは何かあったと思うが、忘れたな。後で授業中に織一に尋ねてみるか。また怒られそうな気がして、そんな心配で早々から俺の心の結界が決壊しそうだった。

仕事が忙しくてなかなか時間が取れないので、不定期です。

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