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揺れ動く心とボール

 体育の授業の為に、女子達は更衣室へと向かい、野郎達は教室で着替える。


 女子達は着替えを持って出て行く中、衣織から話しかけられる。


「じゃあね〜お兄ちゃん(パパ)また後でね〜」

「ま、また後でね真田くん。」

「あぁ、後でな。」

 結衣と仲良く更衣室へと向かう衣織。


 そんな会話を横目に恥ずかしげにひらひらと少しだけ手を振る紗奈、そして俺は慌てて振り返す。


 凛然とした態度でこちらを見ていた織一は少し蔑んだ一瞥だけしてそのまま姿勢良く歩いて行った。


 そして女子達が居なくなった後、体操服に着替えていると声をかけてきた亮太


「なぁおい、真司。」


 珍しくイケメンが真面目な顔をして俺に話しかけてきた


「何だよ亮太。早く着替えて体育館に行くぞ。」


 全然着替えが終わってない亮太を見て催促する。


「お前は良いよな。滅茶苦茶可愛い妹や幼馴染とかがいて、俺の義妹なんてな…可愛い義妹じゃねえぞ…最近やたらと俺が他の女と話したかとかFINEで聞いてくるし、今朝なんてはぐらかしたら、滅茶苦茶長文来たんだぞ。」

「あぁ〜。はなちゃんか。それなんだが、たまにだけどFINEしてくるんだよ。お兄ちゃんが迷惑をかけてませんか?とか私以外の女と話してませんか?とかな。可愛いじゃねぇか。ククッ」


 コイツは親父が再婚した影響で義妹が出来た。

 しかも義妹の華ちゃんに滅茶苦茶愛されている。年や学校も同じなんだがクラスが違う。

 …俺にも本物の妹がいたらお兄ちゃん大好きとかなんとか言われたかったぜ…


「ったく…そのせいでアイツ兄妹離れが出来ねえんだよ。アイツほかっとくと何するか分からねえし。華が心配になる俺も華と同じなんだがよ。」

「別にいいだろ。俺だって衣織と離れるの嫌だし。」


 そんな軽口を亮太に言うと、確かにと顎に人差し指と親指を置き考える。


「まぁ、確かに俺も、華が居ないと家の中寂しいしな。ただよぉ…お前があの美人達と仲良いのは俺含め男子達は、全員お前の事を許さないぞ。ふざけんなよ。俺に話しかける女子なんて華だけしかいねえんだぞ!」


 と、いきなりヒートアップしてきやがった。

 これ幸いと周りの野郎達は同調して俺の事を攻撃してきやがる。

 馬鹿だの、変態野郎だの、シスコン野郎だの、イケメンの亮太と共に砕け散れだの散々な言われようである。

 おい今どさくさに紛れて衣織ちゃんは俺の嫁とか言ってるやついたぞ。娘はまだやらんぞこの野郎…!

 名乗り出ろ…パパである俺が成敗してくれる。


 そんなこんなで準備を終えた俺達野郎どもは、最終決戦前の覚悟を決めた戦士のような顔付きで体育館へと向かう。


 一方その頃、更衣室では平和な雰囲気とは呼べない何かだった。


 その雰囲気を作り出したのは、他の誰でもない私からのささいな一言からだった。


「ねえ、紗奈ちゃん、結衣ちゃん、織一ちゃん。三人ってお兄ちゃんの事どう思ってるの?」


 突然そんな事を言われた三人は着替えていたその手を止める。


 紗奈ちゃんはもう一度着替える為に服を着ようとしたが、動揺してなかなか思うように手を動かせなかった為、半分下着姿のままで会話を続ける。


「い、衣織ちゃん?何でいきなりそんな事聞いてくるの?ま、まぁ?私は別になんともないけど。でも真司が私以外の事を気にしてたら許さないかも。」


 両腕を大きな胸の下に組みつつ頬を赤らめた紗奈からその答えを聞いて思わずニヤニヤする。


「ねーえー、可愛いー!でもでも、紗奈ちゃんほんとなのー?いいのー?そんな事言ってお兄ちゃん(パパ)が他の人に取られちゃったりしたら…」


 言葉を続ける前に紗奈ちゃんの目から生気が失われ、真っ黒な双眸になった。


「え、なんで真司が…私以外に行くのありえない…そんな事ある訳ない。そんな事になったら私がそんな悪い女から私が何してでも助け出すから…あぁ、でもそんなことが起きる前に、まず真司が私のとこ以外行かないように監禁しなきゃだ…」


「ちょ、ちょっとストップ!紗奈ちゃん。そんな物騒な事いきなり言わないでよビックリした。」


 私は紗奈ちゃんを抱きしめつつ落ち着かせる。凄い体つきだった。てか三人ともモデルさんより可愛くてスタイル良くない?


 抱きついていた体を離した後に気付いたが、さっきのあまりの迫力に思わず冷や汗が流れてた。紗奈ちゃんをからかいすぎると少し怖いから今度からは程々にしよう。そう心に決めた私だった。


「え!あ、あ、ごめんね衣織ちゃん。そんな事考えたら私、どうかなっちゃいそうで。まぁ別に真司の事なんてそんな気にして思ってないんだからね。」


 いやもう全然気にしてるじゃん。。


 まだモゾモゾと着替えている結衣ちゃんの方を見ると


「えっと、その真田くんの事は初めて出来た男の子の友達、なので大事な人だよ。貸した本の感想を色々言ってくれたりとか面白いし、困ってたら助けてくれるし、あ、あと友達の少ない私に話しかけてくれるのがちょっと嬉しい…かも。」


 顔の方に血液が沢山巡っているのか、顔を真っ赤にしてパパのことを語る結衣ちゃん。

 超可愛い子のこんな表情を見れて私、幸せです。


「そうなんだー、話しかけられるの嬉しいんだ。可愛いね、結衣ちゃん。今後も私とも仲良くしようね。きっとお兄ちゃん(パパ)も喜んでくれるよ。あと、漫画も確か好きだったと思うから借りてみたら良いんじゃない?」


 むにむにと結衣ちゃんのほっぺを触りながら喋ると


「うん、きひてみふ。ちょ、ちょっとやへてよ、ひおひちゃん。」


 ニヒヒと子供が悪戯をするような笑顔で結衣ちゃんの顔を見て笑う。こんな事をされてるのに全く可愛さが変わらないのは私から見ても正直ズルく感じる。


 最後に織一ちゃんの方を見ると


 もう着替え終わっていたのか、こちらの方に体を向けていた。


「織一ちゃん、織一ちゃんはお兄ちゃん(パパ)の事をどう思っているの?」

「そうだな。いつもだらしないし、女に節操はないし、バカな事を男子達と毎度やっていてたまに怒られているが、そんな真田を見るのが楽しくてな。可愛い奴だと思うよ。だからもう少し傍にいたくて、委員会に推薦したのもあるんだ。」


 喋るにつれて少しだけ斜め下の方に向きつつあるその目と顔は完全に恋する女の子のそれだった。


「ふ、ふぅーん。バカな事やってるもんね。お兄ちゃん(パパ)風紀委員なんでやってるんだろと思ったらそんな経緯だったんだ。今後とも仲良くしてね。そういえば織一ちゃん。私達の時はもっと砕けて喋っても良いんだよ?」

「あぁ、今後とも仲良くさせてもらうよ。あぁその事か、そうしたいのは山々なのだが、家庭の事情で身についてしまってな。そのせいあって(これ)がなかなか取れん。」


 こんの〜…絶対砕けさせてやる。そう心に決めた私は織一ちゃんの大きい胸を後ろから揉んでやった。


「にゃっ!にゃにをする!衣織…やめてよ〜!もぉー!」

「ふっふっふ。どうだい衣織ちゃんの特製マッサージは、織一ちゃんの固い口調を崩してやったぜ。」


 悪い顔をしながらわきわきと手指を動かす私に対して、恥ずかしさのあまり身をよじらせている織一ちゃん。なーんだ全然女の子らしい所あるじゃん。まぁ机に置いてあった物とか女の子っぽいの多かったしね。

 なんだかんだ皆んなの可愛い一面見れて仲良く出来たしそろそろ向かおうかな。


 男子達とは正反対に少し顔を赤らめた三人達は結婚式に向かう花嫁のような顔付きで体育館へと向かうのだった。


 そして亮太と駄弁りながら体育館に着き、俺は衣織と紗奈達を見つける。


「お!紗奈と結衣と衣織も髪を結んだんだな。四人ともポニーテイル似合ってるぞ。あとなんか衣織と仲良くなったのか?三人とも」


 そんな美人達が四人で仲良く歩いて来ていたので思わず聞いてしまった。しかも紗奈達ポニーテイルが似合いすぎて、折角キリッと覚悟を決めた顔が綻んでしまう。


「ふ、ふん似合うのは当然でしょ。でも、ありがとね真司。あぁ、衣織ちゃんね。さっき仲良くなったわ凄く。」


 プイッとすぐ横に向いてしまったが、紗奈のいつも隠れているうなじが見えてドキドキと心臓を高鳴らせる。


「えと、その似合うなんてありがとう。真田くん。そのポニーテイルが好きなの?」


 こくこくとうなづき俺は発声する。


「いいか?結衣。(やろう)達にとってポニーテイルは最強なんだ。いつもなら隠れているうなじが見えるあの瞬間!それに結ぶ前口元に髪留めを咥えて髪を纏めるあの姿が最強なんだ。それを写真に収めたら、部屋に写真を飾りたい位だぞ本当に。毎晩それを見たら寝不足が祟ってもきっと安眠できる筈だ。いや、永眠かもしれない。」


 思わず結衣に力説をしてしまった。


「そ、そうなんだ。じゃあ私もそんな風に見られるのかな?なんて、えへへ。」


 こくこくと力強くうなづきつつ、俺はサムズアップをして結衣を肯定する。そうすると嬉しそうに結衣はニコニコしていた。


「ふーん…じゃあ真司以外にはあんま見せないようにしよ。私だけを見てもらうためにも。へぇ…そんな好きなんだポニーテイル…似合ってるって言ってもらえたの嬉しい…」


 紗奈は自分の髪を触りながら口元が微かに動いていた。今のはおそらく衣織にしか聞こえないんだろうな。


 織一が目の前に来て少し怒った顔をして喋り出す。


「真田、お、お前というやつはだな。私たちを口説くとしても場所を選べ場所を。全く。そ、その私は普段からポニーテイルな訳だが、そんな風に思っていたとは。…変態。」


 変態…チクリ…ジワァ。


「へ、変態じゃないわい!皆んなが似合ってるから素直に褒めただけだろ。ポニーテイルが好きか?って聞かれたら大きな声で大好きって言えるんだ俺は!だからその良さを皆んなに伝えたいんだ。だから衣織だって、紗奈達だって理解してくれると思うんだ。な?いいだろ?さっきの話を聞いたらポニーテイルって。」


お兄ちゃん(パパ)変態。」

「「「変態。」」」


 衣織の変態を皮切りにハモる紗奈と結衣と織一の変態と一言。

 それは俺の心に深く傷を負わせた。ピシッ…ダバァ…再三言っているが、漏らしてる訳ではない。


「おい、亮太。俺を助けろ。」


 はぁーっと大きなため息をつく亮太。むかつくなこいつ。


「はいはい、皆んなね。こいつの変態話は良いから早く授業のほうに向かうよ、女子はバレーで男子はバスケだからコート分かれるみたいだし、また後で沢山罵ってあげて。こいつ喜んでるから多分。」


 はぁー?なんだそのやり方はもっと俺を気遣えこのバカ野郎。まあ良いや、ひとまずこの場は凌いだ。なんだ最後の一言は、罵倒されて喜びを感じている訳ではないぞ俺は。心に傷が入っているんだ。勘違いするな。


「ギリギリ助かったぞ。ありがとな亮太。」

「おう、お安い御用ってもんよ。」


 グギギ…こ、こいつ。こいつには後でちゃんと華ちゃんにFINEである事ない事密告してやる。ポニーテールの女の子見て照れてたぞとか。そう心に決めた。


 さて。バスケのチームが分かれていざ開始な訳だが。亮太とは同じチームか。


 ダムダムとボールを突く音やキュッとシューズの高い音が辺りに響いている。そして俺は亮太に向けて大きな声を出す。


「おい、亮太!」

「おう、パスくれ真司!」


 待ってろ、すぐ渡してやる。強めのな。ククッ…さっきの仕返しだ。食らえ!


「ナイスパス真司!行くぞ!」


 な、なんだと…俺の強めのパスを物ともせず平然と受け取り、そのまま華麗なレイアップを決めやがった。

 これで試合終了か。マジでコイツなんでも出来るわ。羨ましい。流石イケメン強すぎる。

 これは華ちゃんに今日のバスケの試合でカッコよかった所をFINEしとくか。


 ふぅ…さて汗もだいぶかいたし、女子の方を見てから後で、亮太と一緒に水分補給にでも行くか。


 さてさて、女子の方はどうなのかな?


「お!衣織と紗奈が同じチームで結衣と織一が相手チームか。どうなることやら。」

「衣織ちゃんマジでめっちゃ運動神経良いのな。お前も結構動けるけど、さっきのスパイクとかすげえな」


 だろ?俺の娘は俺よりも運動神経が良いんだ。多分あれでも本気出してないかもな。


「そうだな、衣織の方が正直運動神経は良いと思う。誰に似たのやら。」と呟く。


 ちょ、ちょっと待て、四人のけしからん体が動いているせいで、とんでもないことが起きているぞ。

 なんかこう効果音が付くようなそんな感じだ。


「どっちが勝ってもおかしくないな。紗奈も衣織と比べても動きは悪くないし、結衣は完全にサポートに徹していて織一と相性が良いと思う。そしてエースは織一か。強いな。色々と」

「なぁ、真司お前はどっち応援してるんだ?」


 うーん…悩む事を言われたな。どっち勝っても良いんだが、運動している衣織の姿が、なんか運動会に参加して、娘を見守るパパのような気持ちになっていたので


「衣織と紗奈のチームかな。どっち勝っても嬉しいんだが、やっぱり(むすめ)を応援するっきゃないでしょ。」

「やっぱりそうだよな。俺も華がいたら華のチーム応援するし。」


 そんな事を話していると、2点差で衣織、紗奈のチームが勝った。


 二人がハイタッチをしている姿が見えた。そして互いの健闘を讃えるように衣織達は結衣、織一ペアは握手をしている。

 パパは衣織が勝って嬉しいぞ。写真撮りたいくらいだ

 衣織は見ている俺達に気づいて勝利のVサイン。照れくさそうに紗奈もVサインをしている。そして俺もVサインを返した。


 俺達は先に教室に戻り着替えが終わった後、水を飲みに行ってきた。ふぅ…生き返る。


 俺は顔の汗を服で軽く拭きつつ歩く。暑い。

 そして亮太は少し恥ずかしそうな表情で頭の後ろで手を組みながらこんな事を言う。


「な、なぁ…さっきの女子バレーさ、違うボールに他の野郎達は目線がいってたと思うぞ。」

「おいおい、お前も見てたのかよ。華ちゃんに言うぞ。」

「や、やめろよ…後で何言われるかわかったもんじゃねえ。てかなんだよお前もって真司も見てたのかよ。衣織ちゃんに言うぞこの野郎。」

「やめよう、無駄な争いは。無駄に血が流れるだけで何一つメリットはない。これは男同士の秘密で約束だ。」


 亮太と俺の右拳を軽く打ち合わせて、互いに約束を守る事にした。てか、野郎ども…俺の娘を変な目で見るんじゃない。成敗するぞこの野郎。


 少しの猥談をしながら亮太と教室に向かっていると、四人組を発見した。


そろそろ昼食だし、みんなで仲良く食べるか。

なんとなんと!今回は5000文字オーバーです。

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