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皆んなの視線がなんか怖い

 さて、思いがけず実娘の衣織との登校になった訳だが、まだ朝のHRには間に合う時間にも関わらず実娘に手を引かれた俺は気恥ずかしくなりその手をほどき学校まで走りながら少し話す。


「ハァハァ…衣織、俺の仲の良い女友達はまず幼馴染の岡田紗奈(おかださな)と文学少女の真白結衣(ましろゆい)と風紀委員長の夏目織一(なつめおりいち)がいるんだけど、その中に未来の嫁がいるか見て欲しい。」


 息を切らしながら走る俺を横目に、実娘の衣織は全く息を切らさずに平然と並走してくる。俺自身そこそこ体力には自信があるが、実娘とこうまで運動能力に差が出るとは誰に似たのやら。しかも今普通に抜かれて悔しい。


「うん!わかった。お兄ちゃん(パパ)が言った通りその三人から見てみるね。早く学生時代のママに会いたいな〜!」


 肩にかけていた鞄を両手に持ちこちらに振り向いてそんな事を言う衣織。

 綺麗な黒髪が数瞬揺れ動くが、すぐさま収まる。

 太陽の日差しを背にしている為、衣織の顔がよく見えなかったが、声音からしてとても嬉しそうだった。


 そんなこんなで無事に衣織と共に学校に到着。

 ささっと自分の靴の履き替えを終え、自分のクラスに向かおうとすると、待ってよ〜っと衣織から声をかけられる。履き替え終わった俺は、衣織の履き替えを少し離れたところで見ていると、こちらに小走りで向かってきて衣織は手を繋いできた


「もぉー!待ってって言ったじゃん!(むすめ)の私を置いていこうなんてお兄ちゃん(パパ)ヒドイ!」


 繋いできた衣織の手は俺の手よりだいぶ小さく色白で、そしてマシュマロのように柔らかかった。その感触に俺は思わず頬を少し赤らめた。


「そ、そんなつもりはないぞ。準備が終わるまで俺は待ってたんだからな、少し離れたとこだったが」

「離れちゃいや。横にいてよ」

「へいへい。わかったよ。ほら行くぞ。衣織」


 手を繋ぐ力を少しだけ強くした俺は横を見ると、衣織は軽くうなづく。その横顔は期待に満ちた顔だが、少しだけ不安げな気がした。


 そして教室のドアに手をかけ開けるとすぐ目についたのは俺の男友達の飯田亮太(いいだりょうた)だった。


「おはよーっす。おいおい、なんだお前。なんでお前がそんな美少女と手を繋いで学校まできてるんだ?」

「うるせえよ。これは俺の双子の妹だ。ほら衣織挨拶してあげて。こいつは馬鹿友達の飯田亮太だ」

お兄ちゃん(パパ)がいつもお世話になっています!真田衣織です。今日からよろしくね。飯田くん」

「お、おっす。改めまして、飯田亮太です。これからよろしく」


 おいおい俺の娘を見て顔を赤くするな馬鹿、娘はまだやらんぞ。特にお前は駄目だ。イケメンだからな。超可愛い娘とくっついたら腹が立つ。そんな少し抗議に満ちた目線を向けていると


「なんだその目は何か言いたい事があんのか?あぁん?」


 眉の角度を変え顔を近づけてくる亮太。なんだコイツは視線に敏感すぎるだろ。馬鹿のくせに


「いや、なんもねえよ。」


 そんな事を教室のドアの近くでやり取りをしていると担任の先生が入ってきた。


「はーい、みんなおはようございます。席に着いてねー。今日紹介するのは海外からこちらの学校に来た真田君の双子の妹です。これから挨拶をするのでしっかり聞くように。」


 クラスメイトに伝えることを伝えた先生は自分の机の方に座り衣織の方に目線を向ける。


「皆さんおはようございます。真田衣織と言います。紹介にあったように双子の妹です。こっちに来たばかりで分からないことが多いので、皆さんよろしくお願いします!」


 ぺこりと頭を下げるには角度がつきすぎで、ガチガチに緊張しているのが端から見ても伝わるのは、何というか人前で緊張する俺に似ているのかもしれないな。


 そんな事を考えていると、教室のざわめきが大きくなりこちらに視線が向けられる。色んな目線があり男子からは怒りの視線、女子からは可愛い(むすめ)を見て羨ましい視線、よく分からないが背筋が冷たくなるような視線等色々だ。


 大きい音で手を鳴らす先生の一言で教室は静けさを取り戻す。

「はい、みんな静かに。じゃあ席は、うーん。そうねぇ。お兄さんの近くがいいと思うからお兄さんの右隣にしようか。」


 俺の席は教室の中心くらいの位置な訳で、右側の奴の席を動かしながら俺は思う。今日欠席で来てないし、お前が悪いすまんな。と謝罪する気持ちは持ち合わせないまま動かした席に向かい両手を合わせた。

 ちなみにそいつは教卓の真ん前だ。


「席横になったー!イェーイ!お兄ちゃん(パパ)これからよろしくね!」

「あぁ、よろしくな衣織。わからない事あったらすぐ聞けよ。」と軽く会話をする。


 それを俺の左から見ていた幼馴染の岡田紗奈は少し仄暗い視線を俺の背中に向けていた。


「真司、おはよう。私が先に学校に行っている間にそんな可愛い子と手を繋いで教室に入ってくるなんて随分と仲が良いのね。本当に双子の妹かしら。衣織さんって言うのね。ふぅーん。真司に似ているのは髪色くらいね。」


 紗奈におはようと声をかけられ振り向く。

 ヤ、ヤバイこれは完全に紗奈が怒っている。置いていったつもりは無いんだが、事が事だったので、すっかり忘れていた。


「お、おはよう紗奈。今朝はごめんな。書類忘れについては本当に助かったありがとう。あぁ衣織の事な、海外に今まで居て、こっち来たら紹介しようと思ってたんだよ。可愛いだろ俺の双子の(むすめ)

「うん。とっても可愛い。私よりも可愛い?なんてね。まぁいいわ今朝の事は流してあげる。その代わり明日からまた一緒に行こうね。」

「ああ。悪いな。また明日から一緒に行くか。俺の(むすめ)も連れてだが。ちなみにおんなじくらい可愛いぞ。」


 そんな事を俺が言った瞬間にボッと火がつくように顔が赤く染まる。


「ふ、ふん。冗談で言ったのに。でもそんな事他の子に言ったら許さないんだから。バカ…」

「ん?そうか、わかったよ。言わないように気をつけるわ」


 特大の爆弾発言を紗奈に向けて発射していたとは気づきもしなかった。

 そんなやり取りを横目に衣織が紗奈に声をかける。


「紗奈ちゃん!私の名前は聞いてると思うけど、衣織っていうのよろしくね!お兄ちゃん(パパ)からは聞いてるけど幼馴染なんだってね。しかも滅茶苦茶可愛いし、全然私なんか比べものにならないよ…。」


「えぇ!よろしくね衣織ちゃん。このバカと長年仲良くさせてもらってます。紗奈です。いやいや!私なんかより衣織ちゃんの方がとっても可愛いよ。あぁーあ真司も妹さんに似て元気で礼儀正しかったら良かったのに。」


 そんな美少女二人のやり取りを見ているとバカと一言グサリ…紗奈め、俺の娘の前でなんて事を言いふらすんだ。紗奈の可愛い顔をグリグリと小一時間小顔マッサージしてやりたいくらいだ。そんな事をしたら元々小さい顔がなくなっちまうかもな、なんて想像してクスりと笑う。

 それを暖かく優しい細目で二人のやり取りを見守る俺の近くでは、新たに二つの視線がこちらに向いていた。

大体1話あたり2000〜4000文字くらいのつもりです。

それと話は変わりますが、2000、4000を見ると麻雀に見えてしまいますね。

嗜む程度にやってまして、僕の好きな役は四暗刻です。

四暗刻のツモ上がりは思わずユニコォーーーン!って叫びたくなります。

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