表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

あーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 21話 睡眠不足

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。






池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「やっほー、みんな元




白ちゃんが部室に入ると、既に来ていたきはだが顔の前で人差し指を立てて『静かに』のジェスチャーをした。




「え?……ああ、なるほど。」




もう1人の先客、あさぎが机に突っ伏してスヤスヤと寝息を立てていた。




「あさぎちゃん、最近特に眠そうにしてたわね。」


「きっと成長期なのさ。腹立たしいことにねぇ?」


「きはだちゃんだって、態度なら負けず劣らずおっきいじゃない。」


「そこは器の大きさと言ってくれたまえ。」




白ちゃんは音を立てないようにパイプ椅子に腰を下ろした。




「それはさておきだけど、あさぎちゃん……何してるのかしらねえ?寝不足になる程打ち込むような趣味なんてあったかしら?」


「夜に疲れることをするんだよぉ〜?もう答えだよねぇ。」


「思春期は黙っとれ。」


「おやおやぁ?白ちゃんはナニを想像ちゃったのかなあ?」




きはだの視界が白ちゃんの掌で覆われ、こめかみに指が食い込んだ。




「ぎゃあ"あ"あ"あ"……!?」


「……ん?」




きはだの悲鳴にあさぎが目を覚ました。




「……夢か。」




と思ったらまた眠りについた。




「……ちくせう、わたしは何も悪くないのにぃ……!?」


「夢中になれることがあるのは良いけど、養護教諭的にはあんまり看過できないのよね……。」




白ちゃんは腕を組みため息をついた。




「悩ましいよねぇ……夢中になれることがない白ちゃんには。」


「おい。」


「あるのぉ?」


「そりゃもうたくさんあるわよ?」


「なになにぃ?白ちゃんの趣味、気になるぅ〜。」


「えっと……、晩酌とか!」


「お酒は何飲むのぉ?」


「ビール。」


「おつまみは〜?」


「ビビッと来たもの!」


「コンビニ頼みだねぇ?」


「悪い……!?///」


「他には?」


「他!?ええっと……、えっとぉ……、


「……王手。」


「将棋じゃないんだから。」


「わたしには白ちゃんの干上がった人生の方が心配だよぉ……。」


「うるさいわねえ……!そういうきはだちゃんは何か夢中になれるものでもあるのかしら?」


「わたしはねぇ〜、最近、タマゴの茹で加減に凝ってるよぉ?」


「タマゴ?」


「カレーに合うタマゴの湯でる加減を色々試してるんだぁ〜。もちろん、カレーもちゃんと作るよぉ?」


「くっ……!?」


「それとねぇ〜、心の中で川柳を読む。」


「川柳?」


「せんりゅうも しらぬはまことの はじさらし」


「あ!ごーしちごのヤツね。」


「さけのみの しょうたいみたり かれおなご」


「誰が『枯れ(おなご)』じゃ……!」




きはだの視界が白ちゃんの掌で覆われ、こめかみに指が食い込んだ。




「ぎゃあ"あ"あ"あ"……!?」


「……んん、」




あさぎが再び目を覚ました。




「…………夢か


「そろそろ助けろぉぉお!?」


「えぇぇ……。さっきからきはだの自業自得じゃん。」


「いや起きてたんかーーいッ!?」




少しして、きはだが解放された。




「はぁ、はぁ……頭変形するかと思った……!?」


「あさぎちゃん寝不足なの?」


「いやぁ……まあそんなとこです。」


「夜はちゃんと寝ないとダメよ?成長期なんだから。」


「はーい。」


「ちゃんと寝ないと、コンビニ飯で晩酌する大人になっちゃうぞ〜?」


「ひいっ!?ビール三昧はやだっ!?」


「バッチリ起きてんじゃない……ッ!///」


「おめめバッキバキです。」


「それはダメなヤツなのよ。」


「執事数えるぅ?」


「侍らせてどうすんのよ……。」


「周りに人がちょっといた方がよく寝れません?」


「そうかしら……?」


「よすんだあさぎちゃん、白ちゃんはもう、とっくに人の温もりを忘れてしまった……!」


「そんな……!?」


「人のこと悲しいモンスターみたいに言わないの。」


「白ちゃん一人暮らしだけどホームシックにならないのぉ?」


「私は親元が嫌で一人暮らし始めてるのよ?なると思う?」


「ならないねぇ。」


「……。」


「あさぎちゃん?」


「あ、いやなんでも……。」


「おやおやどうしたあさぎちゃんや。」


「白ちゃん先生、まだ雪さんのこと嫌いなんですか?」


「……、」




白ちゃんは大きなため息をついた。




「いい?あさぎちゃん。人間関係はかすり傷と違って、時間が経てば勝手に治るなんてことはないのよ……。」




白ちゃんの眼はぼんやりと、どこか遠くを見つめていた。




「ねえねえあさぎちゃん。あさぎちゃんは何か夢中になってることあるぅ?」


「晩酌かなあ。」


「それまだ引っ張るんかい……!?」


「いや、お隣さん家の業務用カップケーキが余りまくってて……色々アレンジして消化してるんですよ。」


「なにそれ楽しそう。」


「飽きるよ……?」




あさぎの眼はぼんやりと、どこか遠くを見つめていた。




「どんだけ買い込んだのよ……。」


「今すぐハロウィンの団体客を歓迎できるくらいには……。」


「なんかお腹いっぱいになってきたぁ……。」


「でもまあ、カップケーキ片手に真っ暗な部屋で映画見るのは楽しいですよ。」


「洋画に出てくる日常の1コマ!?」








あーかい部!(4)




あさぎ:投稿完了


白ちゃん:お疲れ様♪早く寝るのよ?


あさぎ:寝ると夢にカップケーキが出てくるので……


きはだ:うなされてて草ァ!


ひいろ:随分と可愛い夢だな


あさぎ:ひいろ、過ぎたるは……ってやつ知ってる?


ひいろ:溺れるほど好きな食べ物を食べたいって、誰でも夢見るものじゃないのか?


きはだ:プリンとかぁ?


ひいろ:そうだな


白ちゃん:浴びるほど酒を飲む……とかも言うわね


あさぎ:脳みそアルコール漬けになってません?


白ちゃん:理科室じゃないんだから


きはだ:理科室への風評被害


ひいろ:準備室に色んなホルマリン漬けあったな


きはだ:つまみ食いはダメだよぉ白ちゃん?


白ちゃん:そこまで食い意地張ってないわっ!?




ひいろ:まさか睡眠不足になるほど深刻だったとは……


あさぎ:うぅ……カップ……けえ……き


きはだ:今日のアレンジは〜?


あさぎ:生ハム


白ちゃん:いいもん食べてるじゃない


あさぎ:お肉って甘いのとも合うんですね


ひいろ:チョコレートとかも合うよな


きはだ:バレンタインにはまだ早いぞぉ〜?


ひいろ:楽しみしておくよ


白ちゃん:こんの彼女待ちがぁ……!


あさぎ:普通の高校生はバレンタインに生ハムなんて出さないんですよ生ハムうまっ

あさぎ:[画像を送信しました]


きはだ:恐ろしく早い矛盾


白ちゃん:くっ……、どうしてこういつも飯テロを


きはだ:ベーコン巻いちゃお〜っと


きはだ:[画像を送信しました]


あさぎ:アスパラ……さっぱりお野菜……


ひいろ:明日の弁当か?


きはだ:左様


白ちゃん:ぐあああ


ひいろ:ワタシも何か貼ろうか?


白ちゃん:やめてくださいおねがいします

ひいろ:[画像を送信しました]


白ちゃん:ぎゃあ"あ"あ"あ"

あさぎ:お〜、美味しそうなアジの開き


きはだ:なんで撮ったのぉ?


ひいろ:なんかキレイな目をしてたからつい


白ちゃん:死んだ魚の目だけどね

白ちゃん:ちくしょうコンビニ行ってくる


きはだ:我々の勝利だ


あさぎ:いえい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ