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私、恋愛下手なんです。

作者: 黒砂 無糖

2025.8.26

彼の視点付きまとめバージョン投稿しました。

https://ncode.syosetu.com/n0392kz/


リンクからは多分飛べないので、作品一覧からよろしくお願いします。


何となーく、短編書いて見ました

見つけて頂きありがとうございます

私は今から彼氏にフラれると思う。



私は、誰から見ても可愛げがない


骨格はガッチリしているし、

愛想笑いもあまりしない。



ぶっちゃけ可愛くは無い。



誰かにベタベタする事も好きじゃ無いし

マメに連絡を取る事もしない。



それでも、彼氏はいる。



いや、正確には、

今からその彼氏も過去になる予感がする。



駅裏の小さな喫茶店。



そろそろ別れを切り出してくるだろう男は、


目の前の席で、飲めもしない、

格好付けのアイスコーヒーを前に、


悲劇の主人公か、はたまた、女性を泣かす、『罪つくりな悪い俺』に自己陶酔している。


目が合うと、わざわざ切なそうな表情を作り

薄幸そうな笑顔を向けてくる。


随分と薄っぺらい感性の持ち主だなと

呆れながら眺めていたら



わざとらしく


「はぁ」


と、ため息をついて見せた。



多分『別れを切り出す俺も辛いんだ』

とでも、思っているのだろう。



——どうでもいいわ



さっさと、寸劇が終わらないかなと、

私はぼんやりと考えていた。



もう、このパターン慣れてんのよね



私は、小さな頃から相手に気持ちを

押し付けられる事に慣れていたの



周りには、気持ちを押し付ける人しか

居なかったみたいなんだよね




幼少期の思い出は…中々きつい


妹を溺愛していた母から、

お気に入りの人形を、妹に譲る様言われた


「お姉ちゃんなんだから、我慢できるわね」


お母さんは、一見優しそうな笑顔だけど、

私が断ろう物なら、烈火の如く怒る人だ。


—-お母さん、私は嫌よ。


なんで私のお気に入りを、妹だからって

譲らなきゃならないの?


心ではそう言っても



「…うん、いいよ」



私の返事は、

いつもひとつしか用意されてなかった



小学生に上がる頃は、私は誰に対しても、

とにかくいい子だった。


その為、都合が悪い事や嫌な事は

大体私に回ってきた。


「りなちゃんなら、グループ違っても大丈夫だよね?」

 

え?なんで私だけ、仲良くも無い子と修学旅行に行かなきゃならないの?


そう思って、周りを見たら

周りの子が縋る様な目で見てくる。



「分かった…いいよ」



私は、既に断る事が苦手になっていた。



中学生にもなると、

世間を冷めた目でみる様になっていた。



「わ、これ可愛い!お揃いにしよ!あ、一個足りない…どうする?でも欲しいよね…」


何も言わずに、

チラッ、チラッっとこっちを見てくる。



——察しろって事ね



「私は要らないから、皆で買いなよ」


実際に、欲しくも無いしね




高校生の時は、人付き合いなんか

どうでもよかった。



「ねえ、お願い気あるんだけど…」


媚びながらすり寄る奴らに、虫唾が走った。


「何、用があるならさっさと言って」


当たりが強ければ、利用はされないが

あちこちで、ヒソヒソと噂話が流れた



——くだらない



大学生、初めて出来た彼氏からは


「お前って、一人で生きていけそうだよな」


定番の振られ方をした。

まあ、こちらから全く連絡しなかったし?


「そうね、その方が気楽かも」



この時は、正直別れてスッキリした。


 


次の彼氏も、1人目と全く同じ

振られ方をした。



——まるで同じ事の繰り返しだった



社会人にもなると、付き合い方も変わり

一人暮らしの家に男が転がり込んで来た。



勝手に家に上がり込んで来た癖に、


「済まない、彼女を愛してしまったんだ」


苦しくて仕方がないという顔をしながら

別れを切り出された。


「知ってる。子供出来たんでしょ?言い訳は要らないわ。今すぐ鍵置いて出て行って」


淡々と伝えたら


「お前が、そんなんだから!ほんとに可愛げがないなあ!!」


わざわざ大声で悪態をついて

鍵をこちらに投げつけて出て行った



——悪いのは、浮気した方じゃないのか…?




正直、もうどうでもよかった。




その後も、


「僕じゃ君を幸せに出来ない」


とか、


「僕より君を幸せにできる男がいるはずだ」


とか、



なんて言うか、寄ってくるのは

そんな奴ばっかりだった。



で、今、目の前の男なんだけど



こちらをチラチラ見ながら

もじもじして散々ため息をついて、



既に30分は経過している。



さすがにちょっとイライラしてきた。


「呼び出しておきながらなんなのよ」


私は、話しやすい様に促してやった。



すると、ビクッとした男が


「っごめんなさい」


と、誤って来た。



アイスコーヒーの氷がカランと鳴った。


ああ、またかと思い、



——チクリと胸が痛んだ。



なぜか、この人は大丈夫な気がしたんだよね

でも、ダメだったらみたい。



私は珍しく、ため息をついていた



「あ、りな、疲れさせちゃったよね?ごめん。ちゃんと話そうって前から考えて、中々いい出せなくて…」



最後の方は、消える様な呟きだった。



「うん、何か悩んでたのは知ってるから、言うならハッキリしてくれないかな?」


中途半端な優しさとかは要らないから



——さっさと終わらせて



私の言葉に、目の前の男は

背を伸ばし、私をしっかり見て



「分かった。ハッキリさせてもらう」



と、言って、テーブルの上で

指の色が変わるほど、手を握りしめている



「りな、俺と…」



——別れてくれとか、聞きたくないわ!



「いいわよ」



私は、最後まで聞かずに言葉を被せた。



目の前の男は、ぎょってして

目をパチパチさせながら



「本当か?本当にいいのか?」


と、訝しげにしつこく確認してきた。



「ハッキリさせたいんでしょ?」


と、尋ねれば



「勿論。そうだけど、取り消すなよ?」


と、前のめりに食い下がってきた。



「ええ、大丈夫よ」


——世話になったわね


私は少しだけ、感情に浸っていたら



「グッ、ゲホケホっ」


目の前で、男が咽せた。



「何してるのよ!?」



男は飲めないアイスコーヒーをなぜか

一気飲みをしていた。



男は涙目になりながら



「いや、夢かなって、苦いし苦しいから、夢じゃないんだよな?」


男がうれしそうに語るが、



——そんなに私と離れたかったのか



私と離れるのが夢の様って、

私、どんだけ嫌われていたのよ



ちょっと泣きそうになったが、

グッと堪えた



「よし、じゃあ、行こうか」



彼は伝票を取ると

さっと会計に向かってしまった



私は慌てて、荷物を持ち彼の背を追った



これで終わりなんだと思うと、

足が竦んでしまうけど、


「コーヒー代払うわ」


私は精一杯の強がりを言って見せた


「コーヒー代?いいよ、そんなの」


彼はキョトンとした

受け取る気はないらしい…




「…じゃ」


さよならが口からは出てこなかった。


涙が溢れてきそうになり、

走って逃げようかと思っていたら



「りな、今から指輪買いに行こうか」



驚いて、顔を上げた瞬間


溜まっていた涙がほほを伝った



「え?」



自分でも間抜けな声だった



「りな、プロポーズ、泣くほど嬉しかったの?なら、もっと早くに言えばよかった」



彼は、そう言って笑うと




「式はいつにしようか?」




彼は私の手を引きながら

ニコニコしながら駐車場まで歩いて行った
















この後、2人は、初めての喧嘩をしました。


もし気に入ってくれたら、

反応、評価、コメントして下さいませ


お手数ですが、気に入って頂けたら、彼氏視点バージョンの、りなの話にも、評価して頂けませんでしょうか?


私の透子ミスで追加できず…でした。


よろしくお願いしますm(_ _)m






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― 新着の感想 ―
Xで見かけて、こちらの作品を読ませて頂きました(^^) 読んでいて、最後は本当に良かったと思いました(^^) 人によっては、演技で相手の方を悪者にしようという人は実際にいます。中には、自分のしたこ…
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