強くなってる?
モーニングスターブックス
俺はこのモンスター溢れる世界をスキル『ガチャ』で生き抜く 最初に出たのは美味しいパンでした
発売中です。
よろしくお願いします。
奥のリザードマンに斬りかかる。
スキルを使用すればそう苦労せずに倒せるのは分かった。
4階層の敵を前にしても、みんなのスキルは十分通用している。
ただ、スキルは有限だ。
戻る際の事も考えて使用数のコントロールは必須だ。
ある程度、モンスターの強度が分かったし、これ以上スキルを使用するべきじゃない。
大丈夫だ。
このリザードマン相手でもスピードは俺に分がある。
狙うのは頭部のみ。
水月という武器を持つ俺にとってモンスターよりスピードが勝っているというのは決定的ともいうべきアドバンテージだ。
当てれば勝ちだ。
リザードマンの攻撃を掻い潜り頭部に刃を当て振り切る。
もう一匹を舞歌のボウガンが捉える。
動きの鈍ったリザードマンへと走り一気に頭部を刈り取る。
いける。
リザードマンの動きは4階層だけあってゴブリンやオークよりかなり上だけど、視える。
リザードマンの振るう武器を避けつつ踏み込みざま頭部へと刃を走らす。
レベルが上がったわけじゃないのに、確実に強くなってる。
リザードマンを相手にしながらそれを実感する。
「ふうっ」
問題なく全てのリザードマンを倒す事に成功した。
「終わりましたね。リザードマンですよね? そこまで強くなかっような」
「そうね。案外スムーズに倒せたような」
「みんなに怪我がなく終われてよかった」
「4階層も大したことがないのかも」
え~っと、俺が強くなって上手く倒せたんだと思うけど、みんなそういう認識なのか。
もしかして、俺が強くなったんじゃなくてリザードマンが弱かった?
そうなの……か?
「お兄ちゃん、どうかしたの? 変な顔してるけど」
「変な顔って、いや別に何もないよ」
「そう、それならいいけど。それより魔石が落ちてるよ」
「ああ、本当だな」
向日葵の言うように床には魔石が1個落ちているのが見える。
近づいて拾ってみると、今までの魔石よりも一回りは大きく、色も濃い。
「うわ~大きくない? これいくらくらいだろ~」
「どうだろうな。はっきりとわからないけど3万円いや4万円くらいはあるかもな」
「結構、大きいね。この調子でどんどん倒しちゃう?」
「そうだな~今の感じなら、もうちょっと大丈夫だとは思うけど。みんなどう?」
「いいんじゃない?」
「わたしは御門くんにまかせるよ」
「行けると思います」
向日葵は大きめの魔石を見てテンションが上がったように見える。
深入りは禁物だけど、リザードマン以外の敵もいるかもしれないし、情報収集も兼ねてもう少し4階層を回ってみようと思う。