表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

188/204

メスマッパーの恐怖

メスマッパーがよだれを垂らしながらこちらへと向かってくる。

俺も必死に身体を動かしメスマッパーを迎え撃つ。

メスマッパーが手に持つ金属の棒で殴りかかってくるが、その動きはオスのマッパーゴブリンより速い。

この勢いの金属の棒を水月で受けると折れる。

俺は必死で避けるが、踏み込んできたメスマッパーとの距離が詰まる。

メスマッパーが間近に迫る。その涎を垂らす顔を見ると、無理矢理動かした身体が鎖で拘束されたかの如く重くなり、また動きが鈍る。


「うわっ」


メスマッパーが想定外の動きを見せる。

手に持つ金属棒を放り投げ、俺の両手首を掴んできた。

まずい。

物凄い力だ。


「くそっ! はなせ!」


振り解こうと力を込めるが、メスマッパーの方が膂力で優っているようで振り解く事ができない。

両手首を掴まれた俺は、メスマッパーに完全に動きを制されてしまい身動きが取れない。

メスマッパーは更に距離を詰めてゼロ距離目掛け迫ってくる。

メスマッパーの顔が、俺の目と鼻の先へと迫る。

必死に抵抗を試みるが、圧倒的な力の前では無力。

俺は、その場へと押し倒されてしまった。

まずい、まずい、まずい!

襲われる!

いや、既に襲われてる!

俺に馬乗りになったメスマッパーは力任せに迫ってくる。

逃げられない。

生命の危機を感じ、全身から一気に血の気が引いていく。

諦める事はできない。

ここで諦めたら死ぬ。死ななくても終わる。

だけどこの状況、俺の力では覆す事ができない。

絶望。

この状況こそ絶望と呼ぶのだろう。


「御門から離れなさい! 『アイスフィスト』」


俺が死の淵で絶望に駆られているその時、俺を押さえ込んでいたメスマッパーが氷の拳に殴り倒され、俺の上から後方へと弾け飛んだ。

その直後、メスマッパーの顔面をボウガンの矢が捉える。


「ガガガッ」


「もう消えて!」


舞歌の声がしてメスマッパーの胸にもボウガンの矢が刺さり、そのままメスマッパーは消滅してしまった。

助かった……。

英美里と舞歌に助けられた。

たすかった事を認識して全身から力が抜ける。

まだ、終わってない。

まだ、マッパーは残っている。

それはわかってるけど身体に力が入らない。


「御門くん、大丈夫⁉︎ 今治すからね『ヒーリング』」


舞歌が俺に駆け寄り

回復をかけてくれ、全身が癒しの光に包まれる。

メスマッパーに掴まれた手首の痛みが消え、あの顔に迫られた恐怖が癒えていく。

あぁ……やっぱり舞歌は天使なのかも。

戦闘不能に陥った俺に代わりに英美里と野本さんが戦ってくれ、それ以上の被害を受けることなく戦闘を終えることができた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i902326
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ