表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月下想  作者: 水月沙夜野
ルーク十一歳(仮)
1/25

建国伝説

 昔々、この東の果ての地の島は、まばらな小国からなり、戦が絶えなかった。

 あるとき、戦を嫌った男が一人、世界を見て回ろうと考えた。男は旅の果て、西の果ての地の美しい湖で、一人の少女と出会った。

 少女は人というよりも、精霊に近い存在であったという。世界のあらゆるものの声を聞き、あやしの術を使った。そんな彼女を男は愛した。故郷に帰り、夫婦(めおと)になれたらと愛を語った。

 少女は了承した。湖の底から拾い上げた石で装身具を作って男に与え、男は水辺に咲いていた花を少女の髪に挿した。


 強大な力を手に入れた男は、故郷の島を統一し、国を造った。少女は男のために、強固な城壁と、堅牢な王城、そして国を見渡せる天にも届くかという塔を、一晩で造ったという。それは、この国古来の技術である木と紙ではなく、石と硝子で出来ていた。

 少女は男が望むままに、道を整え、井戸を掘り、土砂崩れを塞き止め、地の揺れを鎮めた。

 男は益々強欲になった。男の欲に嫌気がさした少女は、塔に閉じ籠り、空へと還ったという。


 残された男は一人、この国をより良くすることを誓い、子孫にもそれをよく言い聞かせたので、この国はずっと平和なのだという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ