少女は魔法を教わった!
朝起きると、くぅちゃんは既に朝食を準備していた。
パン粥とベリーが敷物の上に準備されている。私にはくぅちゃんの上着がかかっていた。寝坊した。
「メーナ、おはよう」
「おはよう、くぅちゃん。ごめんなさい寝坊した。」
「いいんだ、昨日連れ回して疲れていたみたいだから。もう大丈夫か?」
「うん。」
朝食を食べ終えてからは魔法の練習をした。魔力の根本を貰うのには苦痛を伴うという事で今回は魔力だけ貰った。
「今、僕らが見ている世界と重なるようにもうひとつの世界があって、そちらからこちらの世界に干渉するイメージだ。メーナの周りに僕の魔力があるのは分かるか?」
多分この温かいようなものがそうなのだろう。
「うん」
「よし、それを発現させたい場所に集めて発現させる。今日は、この木の枝の先に水の球を発現させよう。こんな感じだ」
くぅちゃんがそう言うと枝の先に手のひら大の水の球が浮かび上がりぱしゃりと地面に落ちた。
同じように全身に纏わりついている魔力を集めて…、集めようとして…
「出来ない」
「メーナには元々無かったものだから難しいか。先ずは手のひらに集める事からしてみようか」
そう言うとくぅちゃんは私の手を包むように握った。じわりと温かくなったのは手の温度だけでは無くて。
「これがくぅちゃんの魔力」
「そうだ。分かるようになって来たか。次はメーナの魔力を意識してみようか。」
くぅちゃんの魔力が触れているところから自分の方に分けてもらった魔力を意識する。自分の周りにくぅちゃんの魔力が渦巻いているのが分かる。いや、自分と同じ場所の別次元にくぅちゃんの魔力が渦巻いている。分けてもらったのとは別で私を守ってくれている膜のような魔力も感じる。
「分かってきたか」
「うん」
「魔力の流れの向きを少しずつ掌に向けていくんだ
外側の魔力は変えないようにな。分からなくなったらまた僕の魔力を意識するところから始めればいい。」