少女はテイマーになった筈だ。
コテージに着いて荷物を置く。
1階にキッチン、暖炉、机とソファーがあり、2階が寝室となっている。
「くぅちゃんって人の社会でも生活した事あるの?」
「ああ、だいぶ前だが人と一緒に旅をしていた時期があってその時に人の社会のルールは教えてもらったんだ」
「もしかして、冒険者の姿ってその人の?」
「そうだ」
「その人とはなんで一緒じゃなくなっちゃったの?」
あまりいい話題では無いけど気になってしまった。
「そいつが好きな女が出来たとかであっさり冒険者辞めちゃったからだな。」
それは…何というか…
「じゃ、じゃあその人今何しているの?」
「そいつが冒険者を辞めた後にそいつの嫁と立ち上げた小料理屋が領都にあるんだ。もう500年ぐらい前の事だから、あいつ自身は今頃大樹の御許に還っているだろうな」
くぅちゃんは懐かしむように続ける。
「テイムさせろと何度も言ってきてうるさい奴だった。結局絆されて一緒に旅をしていた。気がついたらギルドに従魔登録させられていた。」
「テイムされたの?」
「いや、拒否した。登録の時に必要な従魔印は僕の魔法で誤魔化した。あんなそそっかしい奴に操られる可能性があるなんて恐ろしい。メーナも不用意に魔力を渡そうとしてくる奴には気をつける事。今は僕が守っているから大丈夫だが意に沿わぬことをさせられる可能性があるからな。」
それは恐ろしい。気をつけよう。
「わかった。気をつける」
「………………。」
ちゃんと心に刻んで返事をした筈なのにくぅちゃんは微妙な顔をしていた。
「くぅちゃん?」
「……ああ、何でもない。」
くぅちゃんは咳払いをすると少し居住いを正して続けた。
「それでなんだが、メーナのギルド登録を僕の保証で出来るはずだから明日やろうと思うのだがどうだろうか?ついでに僕の従魔登録をすればだいぶ法律で権利が守られるようになるから。」
「くぅちゃんが保証?」
「ああ。例え魔獣に分類される種族でもこの国では問題のないテイマーへの従魔経験が一定年数あり、且つ人間との会話が円滑に出来れば王国法において人と同じ人権がもらえるんだ。だいぶ時は経ってしまったが従魔の証は持っているし適用される筈だ。
そうしたらメーナの故郷からの追跡調査阻止の申請が通るはずだからメーナは問題なく冒険者として登録出来る。」
くぅちゃんはとても考えてくれていた様だった。
今すぐ本当の事かわかるものでは無いけど任せる事にする。
それと従魔印の浮かび上がらせ方を実践してもらった。
メーナは手の甲を見せるようにして力を入れて印を出しているふりをしてくれと言われた。
印は私の手の甲とくぅちゃんの額に浮かびあがった。
言いたくなってしまった。
お巡りさんこいつです!




