伝説はそれの地雷を踏み抜き焦る。
此処らへんの村では12歳の成人の儀式で男は狩りを、女は男が狩ってきた獲物を捌いて調理し、村の人々に振る舞うといったことをするらしい。
街だと1日働いて、貰ったお金でパンを買って帰る事がそれに当たるらしいが。
メーナは7歳まで村にいたから憧れはあるのではないかと思い、まだ7歳半ばではあるが補助しながらやらせてみたら喜ぶのではと思った。
夏から秋へ変わるちょうど今の時期の行事だった筈だ。
説明して、忌避感が無いようだったらやらせてみようと準備をする。
気絶させた野ウサギを持って帰りメーナに行事の説明をする。メーナの様子を伺ったが
村の行事は村のみんなで少ないスープを分けて食べる行事としか印象に残っていなかったらしい。
「なるほど、そんな食育文化があるのか」と前世の文化と比べているのだろう。感心している感情しか伝わって来なかった。
これなら大丈夫かと思い捌き方を教え、ナイフを持たせたところでメーナの気持ちは一気に恐怖へと変わった。
メーナの後ろから覗き込むように野ウサギを押さえていたので表情は見えなかったがナイフを握り締めた手が痛々しいほど白くなり、美味しいのは知っていると何度も心の中で繰り返しているのが伝わって来た。
「メーナ、ダメだったらやめておこう」
「大丈夫っ」
そしてやっとのことで野ウサギの腹にナイフをあてた時、メーナは前世に己の首筋に刃物をあてた時の事を思い出してしまった。
咄嗟にナイフを取り上げてメーナの視界を塞ぎ抱きしめる。
メーナはうわ言のように繰り返していた。
「ごめんなさい、美味しいって知ってるの。でも自分じゃ出来ないの。ごめんなさい。」
「大丈夫だメーナ、僕がやればいい。気にしなくていい。」
出来なかったことに余程打ちのめされたのかメーナは酷く泣きじゃくっている。
やってしまった。
「元々12歳の時にやる事を前倒しにしたんだ。気にしなくていい。出来なくても街に居ればやらなくていいんだ。僕はメーナが必要とする限りずっと一緒にいれるから、僕に任せてしまってもいい。」
メーナを安心させるように自分に言い訳をするように僕は言葉を重ねた。メーナが思い出してしまうのが怖くて肉料理を作るのを躊躇った。
「ねぎま」
村で肉屋の前を通る時、肉屋の店主が外に焼き台を出し串焼きを作って売っていた。メーナは野菜を肉の間にさしている串が気になったらしい。
「食べるか?」
「うん。」
僕はほっとしながら買った串を1本メーナに差し出した。




