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魔術師、異世界をソロで往く 過去編 第1部  作者: 迷子のハッチ
第5章 魔女ラーファと竜騎士の卵達
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第68話・2 竜騎士見習いの戦(2)

 戦争が終わり雇われていた傭兵が徒党を組んでやってきました。

 「コガジャ族の領地で盗賊と成って暴れている傭兵団を偵察してきてほしい。」

 イガジャ男爵様が朝からやって来た用事が此の依頼です。


 ロマナム国との戦争は今年の4月に停戦が成立して終わりました。

 戦争が終わり雇われていた傭兵団は新たな戦場を求めて移動して行きました。


 男爵様の話では、多くはビチェンパスト国へ移動していったそうです。

 でもビチェンパスト国はとても遠い為、行くのを諦めた傭兵団が居ました。


 今回イガジャ男爵様から偵察を依頼された盗賊は、この移動を諦めた傭兵団が集まった規模の多きな集団だそうです。

 被害を受けたコガジャ族から救援を頼まれた為、兵を送るにしても盗賊の規模を知りたいので偵察をして来てほしいそうです。

 それもラーファでは無く竜騎士見習いの出動を要請するとの事です。


 「ラーファ様に頼めば偵察もうまく行くと思う、でも竜騎士の運用を視野に入れると今回の件は竜騎士見習いに偵察を任せたいのじゃ。」

 「もちろんラーファ様の指導は必要じゃ、じゃが竜騎士に成るには実践が必要じゃと思ってる。」

 男爵様はそう言うと、深々と頭を下げてラーファにお願いした。


 「お願いしたいのは、ラーファ様の2頭のワイバーンを借してほしいのじゃ。」


 イガジャ男爵様の依頼を受けて、竜騎士初の実戦への参加と成った。


 ラーファは此の依頼を何時かは通る道と思って依頼を引き受けた。

 敵地への偵察と成ればこれまで訓練してきた方法が正しいのか結果で判断できるだろう。


 空から偵察をする場合、飛竜の普段飛ぶ高度はさして高くないので高所からの見張りとあまり変わらない。

 今回想定している地上からの高さは1/3ワーク(500m)と比較的高い。

 竜騎士見習いは飛ぶ高度が高い場合は、情景をスケッチして見落としを少なくする訓練もしている。


 訓練と大きく違うのは魔女が使う使い魔を使う事だと思う、使い魔は人知れず盗賊の中に入り込み詳しい内容まで見聞きする事が出来る。

 今回使い魔をラーファが使って調べるとすると、ワイバーンの乗り手としてラスとアリスを当てるのが良いと思う。


 次回についてはラーファは良い機会なので魔女見習い達にも偵察へ行かせようと思っている、空からの偵察で地上から攻撃手段が無い1/3ワーク(500m)の高度で飛べば安全に行って帰れるだろう。


 おばばからは使い魔の訓練にもなるので魔女のイライザとサマンサも参加させてほしいと頼まれている。

 魔女と魔女見習いの組み合わせで飛ぶのも良いかもしれない。


 昼5時(午前10時)飛行場に竜騎士の制服と言える飛行服に身を包んだラスとアリスがラーファを待っていた。

 ラーファも飛行服に着替えて神域からピースィを飛行場へと誘導して二人の前へ連れて行く。


 イガジャ男爵様から説明を受ける時に貰った地図には男爵様の今現在の時点で知りえた全ての情報が地図上に書き込まれている。

 レイとアリスには作戦のブリーフィングで同じ地図をコピーして渡している。

 二人の役割も偵察飛行の航路も凡そ決めている、後は実際に現地の状況を見て決める事にしている。


 ピースィの前の席に操縦士としてラスが乗り、中央に使い魔担当のラーファ、後ろの席に地図に盗賊の情報を書き込む偵察役のアリスが乗って出撃する事にした。


 目的地のコガジャ族のイライファ集落へは1刻(2時間)掛かる、速度も4コル(1時間)で40ワーク(60㎞)と飛竜だと大人でも限界の速度で行く、ワイバーンだとまだ早く飛べるがこのくらいの方が長く飛べる。


 最新の情報では、イライファ集落に傭兵が約500人程集まって集落を包囲しているそうだ。

 傭兵はロマナム国、ル・ボネン国、オウミ王国が雇っていた傭兵団で戦争が終わり用が無くなり失業した。


 賢明な傭兵団は移動のお金を用意していて遠くビチェンパスト国へ移動していった、考えなしの傭兵団は貰った金が尽きるまで留まって飲み食いした挙句、金が無くなると盗賊へと鞍替えした。

 中には元々盗賊だった傭兵も居る様で、100人規模の傭兵団が中心と成って盗賊団と成るや周辺の集落を襲った。


 集落を襲い逃げ遅れた人々を殺し犯し奪った。

 一つの集落を食い尽くすと、別の集落へと襲う先を変え同じ事を繰り返した。

 西の大公が兵を出したが事前に察知して逃げ出すので中々捕まら無いが徐々に東へと追いやられていった。


 コガジャ族の住む地域に入った盗賊団は固い守りのコガジャ族集落に手古摺り、集落を落としても人も食べ物も残って無く、逃げた後だった。

 腹を減らした傭兵団は周辺で一番大きなイライファ集落へ狙いを定め攻め寄せた所だそうだ。

 以上がイガシャ男爵さまから聞いた最新情報に成る。


 ラーファ達の偵察は現状の確認と盗賊の正確な規模を調べる事に成る。

 今の時点の最新情報は既に3日以上前の情報に成るので、今日の偵察時点の情報を知りたいのだ。


 3人を乗せて飛び立ったワイバーンはレイの操縦で一路北へと飛行した。


 「レイ、イルク山は西から迂回するの?」ワイバーンの飛行経路が西よりなのを知ってレイに聞いた。


 「はい、現地に着く昼7前後は太陽を右後ろにして飛ぶので見つかり難いと考えて西周りにしています。」


 「了解、その考えで間違いは無いわ」


 いよいよ偵察へ行きます。

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