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魔術師、異世界をソロで往く 過去編 第1部  作者: 迷子のハッチ
第5章 魔女ラーファと竜騎士の卵達
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第67話 竜騎士見習いの飛行訓練(1)

 ワイバーンに乗って飛行訓練をします。

 ラーファは、頑なにワイバーンの名前を呼ばないが、ワイバーン達にもちゃんと名前が在る。

 始めに生まれたのがオスのキーグ、卵から生まれたのがメスのピースィ。


 ラーファは、頑なにワイバーンの名前を呼ばない。

 「ワイバーンの名前を呼ぶと名付けた事に成るでしょ、ペットでは無いのだから家族にできないわ」


 マーヤの考えでは、頑固かたくなな態度の裏には最初に怖がっていた手前、今更ワイバーンの事を可愛いと思っている事を皆に知られるのが恥ずかしくて素直になれないのだ。

 其の内ワイバーンの可愛さに負けて名前を呼ぶように成るとマーヤは思っている。


 ラーファが昨日集落の派遣から派遣隊と共に帰って来た。

 帰宅後の第一声が「腹張り病の患者が此れで連続4か月発生して無いの!」だった。


 「5月の時に発生が無かったと知って、いつ発生するか油断できないわと思っていたのよ、でも8月の今回も発生して無いし、もしこの後出たとしても4か月間出ていない事は大きな出来事なのよ」

 ラーファが嬉しそうにマーヤを抱き上げて言うのを聞いて、3年間のラーファの頑張りが一つの実を結んだのだと思った。

 でも、うれしいからと言って抱き上げたまま振り回すのは止めてほしい、目が回る!「グェ」…乙女として出てはいけない何かが出そう!


 昨日はうれしさのあまりマーヤを抱きしめてお腹を圧迫してしまい、後始末で大変だった。

 反省してます、マーヤは朝から飛竜達の所へ元気に駆けて行ったので大丈夫でしょう。


 今日は魔女の仕事は休みで、竜騎士見習への訓練を行う日です。

 今の竜騎士養成は二つのクラスに分かれています。

 一つは竜騎士の名前通りで騎士コース、レイとアリスが所属している。

 もう一つが本来の目的だった魔女コース、魔女見習いが所属している。


 両方のクラスが共通して学ぶのは、飛竜のお世話と飛行訓練、後は軍事と医学の基礎的な知識と実践です。

 騎士コースの軍事教練以外は魔女の城郭内に新設された飛竜舎と飛行場を使って学びます。


 飛行場と言っても土を魔術で盛り上げた長さ20ヒロ(30m)、幅10ヒロ(15m)の長方形の土地で、長い方が城郭の外へと開けているだけの何も無い場所です。

 名前通り飛竜の離発着する場所ですが、朝夕のランニングやトレーニングにも使われます。


 今日の授業は一日中実習に成っている、内容は飛行訓練の予定になっているけど、その時の状況によって実習内容は変わる。

 ラーファがカカリ村に居るので、今日の実習は予定通り竜騎士見習い達にとって待望の飛行訓練にしようと思っている。

 今日の様に晴れて雲の少ない日はワイバーンに乗って飛ぶ飛行訓練日には絶好の日和だし、飛竜達も天気の良い日は空を飛びたいと騒がしい。


 飛竜舎の一室に在る竜騎士の教室で、ラーファが今日の実習内容について皆に告げる。

 「今日の実習内容は、飛行訓練です」


 途端に竜騎士見習い達から歓声が上がった。

 「やったぜー、5日ぶりだよな、やっぱ飛ぶのは気持ちいいからなぁ」

 「お兄様は暑いのが苦手だから空を飛びたいだけでしょ」


 ラーファが教室を見回すと、興奮していた竜騎士見習い達は姿勢を正し聞く姿勢を取った。

 「訓練の中身は、竜騎士見習いは飛行に慣れる事、飛竜達は編隊飛行の訓練よ」


 久しぶりの飛行訓練とあって静かに喜んでいる皆にラーファが釘を指す。

 「漫然と飛ぶだけではお客様でしか無いぞ、竜騎士と成るには飛竜の刻々と変化する体調、飛行姿勢、太陽の位置、大気の状態と風向き、現在地の把握と指標となる地上の目印の確認等々片時も休む暇なく気配りを続けなければならない」


 「特に今日は夏の終わりも近いとは言え8月の日差しは強い、雲も少なく直接太陽を見て目を傷めない様に太陽の位置を常に把握して飛行する必要が在る、わかりましたか?」

 と、先ほど歓声を上げたレイに視線を向ける。


 レイが立ち上がってダキエ風に胸にこぶしを当てて敬礼をする。

 「はい、飛竜の体調、飛行姿勢、太陽の位置、大気の状態と風向き、現在地の把握と指標となる目印を常に気を付けて飛行します。」

 何度も飛行実習を経験しているのですらすらと竜騎士見習い代表としてレイが答える。


 「自分の体調も気を付ける様に」とラーファが付け加える。

 「各自着替えたら飛行場に集合、レイとアリスは飛竜を連れて来るように、解散」

 ガヤガヤと騒がしく会話しながら、着替えはレイは個室他は女の子専用に着替えに使っている部屋へ行く。


 ラーファが飛行服に着替えて、魔女の飛竜舎の前に作られた飛竜用の飛行場で待っていると。

 飛行服姿のレイとアリスがマーヤと飛竜を連れてやって来た。


 「ラーファ、飛竜も飛びたいって、何時でも飛べるよ!」マーヤが飛竜を代表して言う、飛竜の事に成るとちゃんと言えるんだね。


 飛行服の上に魔女のマントを纏った残りの子達もやって来たので、ラーファが神域からワイバーンを飛行場へと出る様に誘導する。


 じっとして体を動かさない様にしているワイバーンに総出で鞍を付けて行く、ラーファは付け終わった鞍の座りを一つづつ確認していく。

 飛竜と遊んでいたマーヤもワイバーンの側へと来ている、飛竜達も2列に分かれているので飛ぶ準備は出来ている様だ。


 竜騎士へ向けて2年後の飛竜の成長を視野に入れての訓練です。

 これまでの地上と海での戦力以外に空の力を手に入れるイガジャ男爵は異次元の戦いを行なえるようになるでしょう。

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