表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師、異世界をソロで往く 過去編 第1部  作者: 迷子のハッチ
第5章 魔女ラーファと竜騎士の卵達
78/120

第64話 ラーファの一日

 マーヤの3歳の誕生日の翌日のラーファです。

 5月4日の朝は気持ちよく晴れている。


 昨日のマーヤは可愛かった。

 誕生日を祝ってくれる皆に練習したお礼を言う時もちゃんと練習した様に言えた。

 「ありゅがとお」と聞こえたが、マーヤのしゃべり方が可愛い。


 思わずマーヤを抱きしめて、「良くできました」と褒めたらラーファを見てツンとして行ってしまった。

 笑ったのが気に入らなかったのかもしれない、ラーファから逃げ出した後飛竜達につかまっていた。


 飛竜はマーヤを群れのリーダーと認識していていつも纏わりついている。


 飛竜の群れから救い上げてくれたのはアリスちゃんだった。

 イガジャ男爵さまのお孫さんはマーヤが大好きなようで何かしらお世話を焼こうとする。

 今日はそのまま抱っこして一緒にパンケーキのセルニック風ベリーケーキを食べに行く様だ。


 そこまではおとなしく部屋の中に居たけど、いつの間にか庭で泥んこになって追いかけっこをしていた。

 マーヤと竜騎士見習いと飛竜達を洗うのに大変な手間がかかった。


 一番汚れていないレイに飛竜を預け、最初に一番汚れているマーヤを男爵邸のお風呂へ連れて行き洗った。

 お風呂に温水魔術(火と水の混合魔術)でお湯を張り、マーヤをひん剥いて頭から丸洗いする。

 最後は温風魔術(火と風の混合魔術)で乾かして、着替えは下着とワンピースを着せてやる。


 次にアリスたち女の子をお風呂場へ追いやって、男爵家の使用人に着替えを用意して貰う為に奥様に頼みに行って庭に戻って来ると、いつの間にかレイが居なくなりマーヤが泥んこに成っていた。


 仕方ないのでマーヤも飛竜達と一緒に温水流の魔術(水と火と風の混合魔術)を行使して、息が出来るように頭だけ出してぐるぐる、じゃぶじゃぶ丸洗いして泥汚れを落としてやった。

 更にずぶ濡れの皆を次は温風魔術で適度に乾かす。


 元気なのは良いけど元気すぎるのは困るなぁと思う。

 マーヤと飛竜たちは3歳だけど、他の竜騎士見習いはみんな十代だ元気なのは当たり前かもしれない。

 人族は十代が無茶苦茶で二十代が飛びぬけていて三十代からやっと若者らしさが出てくると樹人の間で言われているのも納得だ。


 昨日の事を思いだしながら起きて顔を洗う。

 朝だけはマーヤと二人でご飯を食べる様にしている。


 昨日の疲れが在るのか、朝起こしてもなかなか起きない、起きても寝ぼけていてトイレも顔を洗ってもまだ半分寝ている。


 温めたミルクを飲むとやっと目が覚めた様だ、ほのかに甘いパンにバターを付けてやると元気に食べながら今日の予定を聞いて来る。

 『今日はカカリ村に居るの?』まだ念話で無いとお話するのに慣れない様だ。

 どうせ竜騎士見習い達といっぱいおしゃべりをするのでラーファとは念話で良いと思う。


 「ええそうよ、今日と明日まではカカリ村で診療の予定よ」


 マーヤの前に目玉焼きとレタスと人参のソテーを出すと人参を避けようとする。

 「人参も食べなきゃだめよ」と言い聞かせると。


 『このにんじん、にんじんしている所が苦手なの』と言いながら人参を素早く目をつぶって先に食べた。


 「レタスも苦みはあるでしょう?」と聞くと。


 ワインビネガーに塩とハーブや野菜を刻んだドレッシングをかけたレタスを食べながらマーヤが答える。

 『そうね苦いのは苦手だけど違うの、にんじんをにんじんにしている全てが苦手なの』

 との事だ、ラーファとしては食べてくれるのなら構わないけど、神域産の野菜は美味しいと思うのだけどなぁ。


 カカリ村で診療する日は昼と夜は魔女の城郭でおばば達と取るからマーヤも一緒に食べる事にしている。

 これが集落へ出向いて診療する日だと昼は出先で取るので、マーヤとは別々の昼食に成る。


 昼7前(午前中)は魔女の城郭内にある診療所で、やって来る患者を診療する。

 昼7後(午後)からは家から動けない患者を往診しに出掛ける。

 これがカカリ村に居る時の診療日の日課に成る。


 診療日では無い時は竜騎士見習いへの訓練と飛竜の子らへの訓練も行っている。

 ワイバーンを使って飛行訓練する時は竜騎士見習いと飛竜の子らが一緒に空を飛ぶので、見物人が出るほどの賑わいに成る。


 雑用も多いし男爵さまとおばばを交えた打ち合わせも在る、男爵家の人達との交流も欠かせない。

 カカリ村に居る時のラーファはとても忙しい。


 集落へ移動する時は、ワイバーン2頭で6人が一度に移動する。


 メスのワイバーンにはラーファ以外に魔女見習いから一人、後の一人は領兵の隊長が乗る。

 オスのワイバーンには竜騎士見習いが一人と魔女か魔女見習いから一人が乗り、領兵も一人乗る。


 派遣人員の荷物以外に診療所への薬や医療品の補充が在るので1頭のワイバーンに掛かる荷重は30グッシュ(210㎏)以上に成る。

 ワイバーンには問題ない重さだけど、飛竜だと大人でしか運べないだろう。


 集落での診療もカカリ村と変わらない、集落の診療所での診療と家々を回っての往診だ。

 ワイバーンでの移動は、日帰りできるのがありがたい事だとラーファは思っている。


 マーヤも毎日が忙しい、竜騎士見習いの内魔女見習いの仕事が無い者達とレイとアリスで飛竜のお世話だ。

 マーヤは一日中口笛を使って飛竜とおしゃべりして、基本遊びまくる事がお世話の中身に成る。


 マーヤが飛竜と念話で話す時は必ず群れのリーダーとして行動する時に限り行う事にしている。


 3歳児のマーヤはお昼ごはんの後に、1刻(2時間)から2刻(4時間)位お昼寝が日課に成っている。

 ラーファがカカリ村に居る時は神域で寝る事が多いが、居ない時や気が向いた時は飛竜と一緒に巣の中で寝ている。


 マーヤは飛竜のお世話係だと言っているが、竜騎士見習い達の意見はマーヤと飛竜のお世話をしていると言っている。

 マーヤが飛竜に混ざって行動するので、一緒にお世話されているのが実状だ。


 竜騎士見習いの日課はラーファがマーヤから貰ったワイバーンの情報を元に飛竜の成長に合わせて5年後に竜騎士として行動できるように考えて作った。


 竜騎士見習い達は口笛を使って訓練を兼ねた会話以外に飛竜の食事や寝床の掃除に飛竜の体調管理が主な仕事に成る。


 ラーファがワイバーンをおばば達にお披露目したのは、そろそろ竜騎士見習いの飛行訓練を行いたいと思った2年目の始め頃だった。

 飛竜の子たちが空を飛び始めたので、同伴して飛べるようにワイバーンの事を皆に知らせたのだ。

 始めは驚いていたが、飛竜の卵の残り1個を使って錬金術で育てた所2頭が生まれたと伝えると納得したようだ。


 ただし、ラーファのインベントリのスキルで作られる空間を、ワイバーン2頭がのびのびと動ける程へと認識が広がったようだ。

 ラーファはとても広いとしか言っていない。


 元々飛行機を出し入れしている事は前から知っているのでワイバーンの2頭ぐらいは問題なく入る大きさだとは思っている様だ。


 後2年たてば飛竜達が竜騎士と成った彼らを乗せて飛べるようになる、イガジャ領の診療体制も基本的な体制は構築出来ていると思っている。


 魔女の育成にダキエの知識がしっかりと根付いている。

 後2年間は更なるダキエの知識を深めて行きたい。


 ラーファとマーヤは昼は別々に行動していることが多くなっています。

 夕食後は朝まで一緒です。

 ラーファは少なくても後2年間はイガジャ領に住む予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ