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魔術師、異世界をソロで往く 過去編 第1部  作者: 迷子のハッチ
第5章 魔女ラーファと竜騎士の卵達
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第63話 マーヤの誕生日

 聖樹年53、145年 聖樹の変から3年後の5月3日マーヤの3歳の誕生日。

 マーヤは集まって誕生日を祝ってくれている人達にラーファに教えられた言葉をしゃべった。


 「ありがとう」まだ発音は怪しいが言葉は正確に言えたと思う、念話だと発音に気をくばる必要が無いのでいくらでも念話出来るが、実際に発音するとなると途端に難しくなる。


 どうにも彼の方の知識により、異世界の知識と言葉だけど使って考えたり念話する事は出来る。

 でも実際にしゃべると成るとこの世界の言葉をつかさどる言語野はやっと3歳児なのだ。


 しゃべるには感覚性と運動性両方の言語野を鍛えて行かなければ聞いてしゃべる事さえ覚束ない。

 きっと異世界の言葉で考えるのは異世界語の言語野があるのだと思う。


 今もラーファが顔をくしゃくしゃにして笑いながらマーヤを抱きしめて「良くできました」とか言ってくる。

 ラーファの反応を見るに発音よりイントネーションが可笑しかった様だ。


 マーヤとしては「あーと」などと1歳児では無いので言いたく無い、もう3歳に成るのだからちゃんと挨拶が出来るのだ、と知らしめたかったので練習までしたのに、それを笑うなどラーファはひどい。


 ラーファへの罰として抱擁から逃れてお菓子を食べる事にした。

 今日はパンケーキを重ねて上からチーズクリームを掛けベリーを散らした甘いケーキモドキなのだ。

 とても甘い匂いがしていて、挨拶をしたからもう食べて良いと思うのだ。


 マーヤがラーファの抱擁を逃れて今日の為のお菓子やごちそうが乗ったテーブルの方へ近づくとトドとラスがマーヤにすり寄って来た。

 飛竜の成長は1年が過ぎる頃には空を飛べるようになり、3年近く育った今ではマーヤを載せて走れるほどに体が大きくなっている。

 飛ぼうと思えば飛べるかもしれないが危険なので飛ぶのは禁止されている。


 トドもラスもマーヤに背に乗って欲しいから近寄って来たのだ。

 2頭の後ろからキーとティーとチャが追いかけてくる。

 「ピピーッ(乗って)、ピピーッ(乗って)」と促してくるのはトドだ、無言でしゃがんで背に乗る様に促しているのがラスに成る。

 後ろから追いかけて来たキーとティーとチャが声を出してオス達をけん制する、体はメスの方が大きいのだ。

 「ピーーーッ、ピッピューイ、ピッピッピッ」と「注目」「みんな」「その場に留まれ」と鳴き声(口笛)でオスを止めようとする。


 あわや飛竜の子供達に埋もれてしまう所をアリスが飛竜の中から救い上げてくれた。

 アリスに抱っこされたまま飛竜達に念話する。

 『遊ぶのはお外でね、今はおとなしく待っててね』


 マーヤの念話を聞いて飛竜達はおとなしく外でマーヤを待つことにした様だ、みんな外へと出て行った。

 マーヤが神域から出したワイバーンを従えている姿を飛竜の子らが見た時から、マーヤの事を「賢いメス」=群れのリーダーと刷り込まれたのか命令には絶対に従うのだ。


 マーヤが一人でいると、近寄って来て何かとスキンシップして来るのは飛竜に好かれているのだろう。

 飛竜から群れのリーダ認定されていても、竜騎士見習い達からは3歳児にしか見られていない。

 特に竜騎士見習い最年少のアリスはマーヤが大好きなようで時間が在れば抱っこして来る。


 「マーヤ何か食べたいの?」


 「あれぇ」とケーキモドキを指さす。


 今もマーヤを抱き上げて料理の乗ったテーブル近くの食事用の椅子にマーヤを座らせてくれた。

 マーヤが食べようと狙っているケーキモドキを半分ほど切り分けてくれてお皿に乗せて持って来る。


 「アリュス、ありがと」アリスがアリュスに成ったがお礼は言えた。


 「あらあら上手ね、マーヤ 一緒に食べましょうね」

 先ほど切り分けたケーキモドキをテーブルに置くと一緒に食べる積りの様だ。

 道理で切り分ける量が多いと思ったんだ。


 アリスがマーヤの横に椅子を持ってきて座った。

 しばらくは至福の時間です。


 アリスの兄のレイがブドウのジュースを持って来てくれた。

 ちょうどケーキを食べて喉が渇いた頃だったのでありがたくいただく、レイは気が利くと思う。


 「レェイ、ありりゃと」あらまぁ噛んでしまった。

 アリスの時はうまく言えたのに、レイだと噛んでしまう。


 「どういたしまして、マーヤはお礼が言えるなんて賢いね。」

 マーヤが失敗をして落ち込んでいるのが分かったみたいで、直ぐにほめてくれる、レイありがとう。


 ポリーとミンもやって来てマーヤの周りは竜騎士見習いで囲まれた。

 ケーキもジュースも食べ終わったので、外へ飛竜と遊びに行こうと思う。


 「トド、キー、かくれんぼする、まてる(待ってる)」と椅子から滑り降りて外のベランダから降りれる階段へ向かう。

 途中でアタとタマラとリナも引っ張って竜騎士見習い全員で外で待っている飛竜の所へと向かった。


 みんなで今日は泥んこになって遊ぶんだ。


 異世界の知識を持っていても、3歳児には違いないのです。

 マーヤは心も体も健やかに成長しているようです。

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