第59話 プロローグ3年間(2)
おばば達への医療魔術の授業とラーファの魔女修業が始まり、ビェスの求める薬を作成。
飛竜の解体した部位を受け取り、魔石とついでにダキエ金貨の換金をしてもらう。
修業を兼ねた逃げた飛竜の探索を行う。
マーヤのお目見えが終わった頃から幾つかの事がほぼ同時に始まった。
おばば達、魔女と魔女見習いへの医療魔術の授業。
ラーファへの魔女修業、この二つは時間を決めてなるべく同じ日に重ならないようにした。
医学の基礎として人体の構造と基本的な機能やポーション作成の初歩魔力充填なので魔女の薬草を基本とした薬とは考え方が違いすぎて混乱するのを防ぐ為です。
魔女の身体への考え方は魔力を生命力の根源と定め、臓器をその気質を発露する部位(心臓なら心の動き、胃は欲望の作られる場所、etc)と捉えている。
ある程度知識が進めば医療魔術へと授業内容を進める事が出来るようになるだろう。
ラーファの魔女修業はほとんど薬草の種類と薬効の在る場所、そして薬にする方法を覚える事だった。
闇の精霊を魔術行使で使役する事は直ぐに出来るようになった、正確には惑星を回る魔脈の一つ闇の森ダンジョンから枝分かれした場所がカカリ村の下に在るので、その中に潜む闇精霊を探して使役した。
おばば以上に使えるようになるのは直ぐだった。
ビェスが依頼していた熱病への特効薬の作成は、飛竜問題が片付いた数日後から始まった。
あれからしばらくは飛竜が戻ってこないか様子見をしていたが、戻って来ない様なのでオイラートが再開する事を決めた。
薬の木から木の皮を剥いで乾燥させ、同じ大きさに切りそろえるまでをオイラートの集落が請け負っている。
作る時にでた小片を粉にして飲んでも薬効は在るそうです。
ラーファは希望して他の魔女見習いの内十代の2人は修業の為、製薬を行う事に成った。
主に熱したアルコール(お酒を蒸留して作った)で粉砕した木の皮から薬効が在る成分を抽出する為、常に換気しながら顔にマスクとゴーグルが必要だった。
アルコールで抽出された溶液に酸(塩酸だと思う)を入れて行って塩析させる作り方だった。
使用時に蒸留水に溶かして飲ませる薬だそうです。
舐めてみて分かったのはものすごく苦い!
水に溶かす時に苦みを和らげる為に甘味成分を足す様に助言した。
こうして初めての薬作成は熱病の特効薬作りから始まった。
ラーファは木の皮から錬金の抽出を魔術行使して有効成分を取り出して見たが、体内での薬の作用の仕方は解らなかった。
マーヤはあーゆーぱっくがどうのこうのとかアルカロイドで何とやら等訳の分からないことを言っていた。
ラーファに分かった事は此の薬は寄生虫に直接作用して殺すので効果が高いと言う事ぐらいです。
マーヤも成分も薬効も似てるけど違いも多いと言っている。
薬の作成でてんやわんやしている時に、討伐した飛竜の部位の分け前を貰った。
ラーファへの分け前で飛竜の肉は、貰っても保存に困るので後で加工した肉を貰う事にして貰った。
内臓や目などの薬効が在るらしい部位はマーヤと部位毎の薬効を調べるため1頭分全て貰っている。
魔石はゴーレムへの加工も考えたが土で体を作ると重くて飛べないのでゴーレムはあきらめた。
そうなると貰っても魔力が多すぎて持て余すし、一番お金に成る部分なのでイガジャ男爵様にお金に変えて貰った。
序にダキエ金貨1枚を換金して貰う事も頼んだ。
イガジャ男爵様はダキエ金貨を見て、初めて見たとため息をつきながら引き受けてくれた。
男爵様には竜騎士や領地の疫学的な改革等で無理を言っていると分かっているけどつい頼ってしまう事が多い。
反省しているが、ついダキエでの癖が出て困っている領民を見るとより良い方法を考えてしまい、挙句におばばやイガジャ男爵様から話す様に誘導されて喋ってしまう。
ダキエ金貨と魔石を預けて数日後、金貨7千枚をダキエ金貨と飛竜の魔石の代金として貰いました。
内訳はダキエ金貨が6600枚、飛竜の魔石代が金貨400枚でした。
薬種問屋のオズボーン商会会長のセリカの父が換金してくれたそうです。
貰った金貨が多すぎたので神域へ入れて其の内何かに使う時まで保管して置く事にしました。
マーヤのお目見え以降、おばばとマーヤを連れてしばしばイガジャ男爵邸にお邪魔して男爵一家とおしゃべりを楽しむティータイムを持っています。
その時にイガジャ男爵様から聞いた話ですが、領兵が狩った飛竜は丸ごと王家が金貨5000枚で買い取ったそうです。
そのお金で今回かかわった全員に恩賞を出すそうです、ラーファも後日金貨100枚頂きました。
そのお金はおばばに預かって貰って、何か必要が在る時にそこから出して貰う事にしています。
それに飛竜狩りの力量を持つ領兵が居るイガジャ男爵へは西の大公領に住む飛竜対策へ幾つか打診が在ったそうです。
その内ブレス無効化ポーションの作り方をおばばに教える事に成るでしょうね。
とりあえずイガジャ男爵様には10個のブレス無効化ポーションを作り前の残りと合わせて15個を渡しました。
ボーガンの矢の先につける事を考えているようです。
夏の盛りに5個の飛竜の卵が孵った、ラーファとおばばやイガジャ男爵様他竜騎士見習い達が見守る中で卵の中から小さな飛竜が殻を破って生まれた。
しばらくは5頭の子飛竜の世話に明け暮れる毎日だったが十日もすると歩けるようになり竜騎士見習い達の後を付いて回るようになった。
半年ほど過ぎて雪が降り積もる様になり、ラーファの魔女の修業も一段と進んだ。
魔女の闇精霊使役を学んで居るラーファは闇精霊の中でも中級最上位5級のワイバーンを使役出来るようになった。
魔女風に言えば使い魔にワイバーンを使える事に成ったので逃げた飛竜の行方を探すことにした。
使い魔は生命情報からなる魔力の塊なので魔力感知が無ければ存在に気が付かない、偵察には最適だ。
使い魔の使役中は意識が使い魔と繋がっているので使い魔が見たり聞いたりした事は全て魔女に伝わる。
注意しなければいけないのは使い魔は魔力にしか反応しないので光や音に在る魔力を見て聞いている事だ。
実際に見たり聞いたりする感覚に近いが魔力の多い少ないで強弱が変わってくることが在る。
おばば達はラーファに比べれば魔力が少ないので1日ぐらいしか使役出来ないが、ラーファだと使役しても 魔力は減らないし、使役以外の魔術の行使も出来る。
使い魔のワイバーンに西の巣分かれする前に住んでいただろう飛竜の生息地を調べさせた。
数日間使い魔を使って飛竜の生息域を飛んで調べたが3頭の飛竜が古巣に帰っているか分からなかった。
他にもイガジャ領をくまなく探してみたが飛竜は居なかった。
分かった事はイガジャ男爵領には飛竜は住んで居ないと言う事だ。
年が明けてマーヤも離乳食に慣れてそろそろ乳離れをラーファは考える様になった。
次回は下記のお話です。
1,ロマナム国の商人コシ・カッチェのオウミ王国でのその後の動き。
1,ル・ボネン国とロマナム国の戦争の推移。
1,ロマナム国とオウミ王国との戦争の推移。
1,ラーファを追う者達の動き。