表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/120

第57話 (閑話)ベロシニア子爵(5)

 ベロシニア子爵の元にイスラーファの情報を提供した商人と名乗る男が現れます。

 ベロシニア子爵はガランデァス伯爵にイスラーファの情報を知らせた商人について一度話をしたいので紹介してくれと頼んでいた。

 その商人が伯爵の紹介だと、彼の紹介状を持って現れ、ル・ボネン国の商人コシ・カッチェと名乗った。


 子爵はコシ・カッチェ商人を応接室の一つへと招き入れ話を聞く事にした。


 商人は最初から狙いがイスラーファについての情報であることは隠そうともせずに堂々と対価に銀の棒を積み上げても良いと嘯いた。


 ベロシニア子爵もあからさまな商人の態度に後ろにどちらの国が居るのかそれ次第では取引しても良いと思っている。


 伯爵の紹介状にはル・ボネン国の商人と書いてあったが、ロマナム国を経由してこの国に来ている以上ロマナム国の商人でもおかしくは無い。


 今現在ロマナム国とは戦争に成っていて西の大公領の領都ガトヴォツェ要塞都市で攻防が続いている。

 商人は戦争があっても行き来はしているので戦争に直接的には関係無いが物資の供給と云う点では商人から購入するしか手に入らないような物も多い。


 結局ベロシニア子爵は商人が伯爵に話したというイスラーファのダキエ国での地位の事が本当の事なのか聞いてから判断する事にした。


 その商人の話はイスラーファにまつわる2つの国の争いの事であった。


 ダキエ国から漁船に乗って一人の樹人がル・ボネン国へやって来たのは聖樹が燃えた1月の中頃だったらしい。

 その樹人は聖樹をあしらった家紋をマントに大きく刺繍で描いた物を防寒の為に纏っていた。

 他には背負う形のバッグを一つ以外に何も持たずに海を渡って来た。

 その樹人がイスラーファだと分かったのはル・ボネン国に上陸してセルボネの城塞都市へ入る時にイスラーファと名乗った事からダキエの次期エルフの王候補のイスラーファ・エルルゥフ・ダキエと分かった。


 ル・ボネン国から王族が派遣されてイスラーファを受け入れる話し合いをする積りだったが、肝心のイスラーファがセルボネを離れてふらふらとル・ボネン国の中を彷徨い始めた。


 ル・ボネン国側がイスラーファの行動に振り回されて対応できずにいる間にロマナム国がちょっかいを掛けて来た。

 具体的には傭兵を雇ってイスラーファを誘拐しようとしたらしい、幸い仕掛けたが失敗してしまったらしいが他国で傭兵とは言え好き勝手をされたル・ボネン国がロマナム国へ猛烈に抗議をしたらしい。


 半年前に争いを始めたル・ボネン国とロマナム国が争う事に成った顛末、それはイスラーファを取り込もうと友好的な関係を築く事から始めたル・ボネン国に対して焦ったロマナム国が強硬策に出てイスラーファを攫おうとした事から始まったと言う事らしい。


 戦争はイスラーファの取り込みを邪魔され、挙句はイスラーファを追いかけて傭兵が国の中で暴れ回り、国境を越えてロマナム国の兵がル・ボネン国へ入ろうとした事から始まった。

 国土侵犯の事態を知ったル・ボネン国がロマナム国へ兵を差し向けて実力で排除した事から本格的に戦争と成って行ったそうだ。


 戦争は同じネーコネン一族と言う事から積年の恨み妬みが激しい憎しみとなって終わりそうに無く、肝心のイスラーファが行方不明になった事が混迷を更に深める様になった。

 お互いにイスラーファを手に入れているのではないかと疑心暗鬼となった両国が益々戦争をエスカレートして行き、もはやどちらかの国が倒れるまで続きそうである。


 元々ロマナム国はオウミ王国へ侵略戦争を仕掛けており、西のクララフ大公がオウミ王国の援軍と共同で防衛にあたって居る。


 ベロシニア子爵が知っているオウミ王国の最近の戦況は、ガトヴォツェ要塞での防衛に成功してロマナム国軍を押し戻したと聞いている。

 数年前に奪われている更に西に在るヴァトワヌ砦の奪還へと兵を進めているそうだ。


 しかし、商人の話が本当ならル・ボネン国との戦争が影響してロマナム国の軍隊が引いたのだと思われる。


 商人に両国が何故イスラーファを手に入れようとしたのか、その理由を聞いて見たが商人は「樹人だから魔術や医術の知識を欲しているのでしょう。」と当たり障りの無い理由しか言わなかった。


 国王派のガランデァス伯爵にイスラーファの事を伝えたのは何故かと聞くと。

 「商談の中の有益な話として出した事ですから、色々と儲けさせていただきました。」

 などとのらりくらりと言い逃れともとれる事しか言わない。


 結局先日のイスラーファとの争いの一件を話すことに決めたベロシニア子爵はイスラーファが子供を産んだ事以外の事柄をすべて話した。


 対価に棒銀の山を得たベロシニア子爵はこれほどの対価を支払うほどイスラーファの情報に価値が有るのだろうかと疑問に思うのであった。


 空を飛んで逃げる事が出来る相手に、どうやって追いつく事が出来ると言うのだろう、王家の様に最初から友誼を結ぼうとでもしない限り無駄だと思うのだ。


 大公家は初めの接触から間違えた対処をしてしまった、取返しの付かない悪い印象を持たれたに違いない。

 ホレツァの町の代官の様に対応するのなら其の内友誼を結ぶ事も出来るだろうが、キラ・ベラ市での印象が悪すぎるのでキラ・ベラ市の大公がイスラーファと友誼を結ぶ事は難しいだろうし、増してや追いかけて捕まえようとしたロマナム国などは大公家と同じ印象しか無いだろう。


 追手の手先が現れました、彼はイスラーファの現状までは調べる事が出来ませんでしたが、オウミ王国にイスラーファが居る事を確認しました。

 新章はイガジャ族の魔女見習いとしてイスラーファが過ごした3年間をプロローグで始めます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ