表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/120

第53話 飛竜討伐(9)

新年明けましておめでとうございます。

今年も投稿を続けていきますので宜しくお願いします。

 飛竜が餌の羊を見つけたようです。

 飛竜が急降下するようにⅤ字の軌道で餌の羊に襲い掛かった。


 ラーファは風の魔術を行使して、飛竜の上にダウンバーストの空気の流れを出す用意だけして推移を見守ることにした。

 実際に行ったのは、魔力を行使する場所を飛竜の上まで伸ばし魔術陣を作ったまま行使を実行直前で待機する事だ。


 飛竜が羊に襲い掛かる寸前に大きく羽ばたき急降下の勢いを打ち消し、両足で羊を捕まえた。

 羊の断末魔の悲鳴だけが「メェーッ」と聞こえてきた。

 飛竜は声を出さず羽ばたきの激しい音のみを残して羊を鷲掴みすると空へと飛ぼうとした。


 クロスボウ隊10人の撃つロープが飛竜の上を通り、クロスさせている為飛竜の翼の動きを邪魔した。

 ラーファにはそのロープでは飛竜の勢いを殺せないと判断し、ダウンバーストを行使した。

 飛竜が上からの突風に邪魔されて地面に留まっていたのは数舜の間だが、弩を撃つには十分な時間だった。


 1本の弩から放たれた鉄の矢は右の翼を貫いた、もう1本は左足に当たり掴んでいた羊を放してしまった。

 鉄の矢に繋がれたロープを弩の5人組が力を合わせて引っ張って飛竜の動きを邪魔する。

 切り込み隊が5人組毎に前後左右から切り込んで行った。


 飛竜はブレスを吐く動作をしたがブレスは無効化されたまま出せなかった。

 正面から切り込んだ5人組の長柄の槍が飛竜の心臓を突くことに成功した。

 飛竜は力無く大地にその体を横たえた。


 飛竜に近寄ったダンガー隊長が剣先で飛竜の首を切り裂いたが飛竜は既に死んでいるのか動きは無かった。


 ダンガー隊長が飛竜を切り裂いた剣を掲げて叫んだ。

 「飛竜を退治したぞーっ!!!」


 隊長の声に討伐隊の隊員は全員が腕を振り上げ、槍を捧げて勝鬨を上げた。

 「「「ウォーッ!!!」」」、「「「勝った!!!」」」


 イガジャ男爵様が見張り台の上でラーファの肩を叩いて喜びを表すので、叩かれてラーファは体を支えるのに必死になっていた。

 「やりましたぞ!!、ラーファ様!!、快挙ですじゃ!!、飛竜討伐じゃ!!、ご先祖様でも出来なかった事を成し遂げましたぞ。」


 浮かれているままでは次の飛竜を討伐できませんし、叩かれるラーファの肩が痛いです。

 散々ラーファの肩を叩いたイガジャ男爵様が落ち着くのを待ってラーファは声をかけた。

 「イガジャ男爵様次の飛竜が来る前に広場を片付けなければなりません、ご指示をお願いします」


 ラーファに言われて「ハッ、そうじゃった!」と我に返ったイガジャ男爵様は広場で勝鬨を上げる隊員に木の上から号令した。

 「皆の者よくやった!! だが、飛竜はまだ居る事を忘れるな! 広場を片付けるのじゃ!」


 散々叩かれてヒリヒリする肩を摩りながらラーファは、木の上から支持を出すイガジャ男爵様を見て次の時は手の届かない場所に移動しようと思った。


 討伐隊の面々に空地の飛竜や餌の羊、それに弩の鉄の矢やロープを片付けさせた。


 クロスボウの錘を付けたロープの拘束力不足の件はイガジャ男爵様もダンガー隊長も気が付いていた。

 2人とラーファは広場で話し合った。


 「ラーファ様、次回も魔術を使って貰えないじゃろうか?」

 イガジャ男爵様は遠慮がちにラーファに聞いてきた。


 「魔術の行使は何ら問題は無いのですが、できれば領兵の力で倒せる方法を考えて、ラーファの魔術は予備か念の為程度にする事の方が大切です」

 ラーファは、領兵の力だけで倒せる実績が積み重なればイガジャ族に対して敵対的な動きがし難く成ると思っている。


 ラーファの思いを感じ取ったのかダンガー隊長も賛成とばかりにイガジャ男爵様へ思いの丈を伝えた。

 「ラーファ様の言う通りですぞ、イガジャ族の力だけで飛竜を倒してこそ自治が守れるのだと考えます。」


 イガジャ男爵様も納得したのか頷いている。

 「うむ、良くぞ言ってくれたイガジャ族の為にも我らの力で飛竜を倒そうぞ!」


 問題のクロスボウでの拘束方法はそれぞれが考えて持ち寄ることになった、変更するにしても道具を作る必要を考えると変更に時間が掛かると思えたからだ。


 仕留めた飛竜は森の奥へと運ばれてキャンプ地の側に作られた解体用の場所で翼と首と尻尾と胴体に切り離され梱包されてインベントリのカバンに収納された。


 飛竜や羊の流した血と毒の跡は丁寧に土毎入れ替えられ、再び空地は長閑な森に空いた空間に戻った。


 餌の羊は飛竜に鷲掴みにされたときに死んでいた、しかし毒の革袋が破れて食べられなくなっているので、土を掘って埋めることになった。


 毒餌に頼らずに飛竜を倒すことができたので、次回からは毒餌は用いずに餌の羊のみを用意することになった。

 ラーファは最初の羊を土に埋める時に討伐隊員が「もったいねえだが、毒が掛かってなきゃ食えたのによう。」と言っているのを聞いていたので、毒餌を用いないのは多分に自分たちで食べる気満々なのだと思った。


 次の飛竜を待ったが、結局その日は飛竜は現れなかった、昼10時(午後3時)に5人組を2組キャンプ地に残して後は引き上げることにした。


 結局毒の効果は判らないまま使わない事になってしまいました。

 1頭目討伐出来ました、クロスボウのロープ投擲は次回までには改良できると良いのですが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ